Embeddedではない軽量Windows 7
Windows 7の機能縮小版「Windows Thin PC(WinTPC)」は価値も縮小版?
Microsoftはソフトウェアアシュアランス契約者向けに、旧型PCで稼働する縮小版のWindows 7「Windows Thin PC(WinTPC)」を提供する計画だ。
「Microsoft Windows Fundamentals」という名称を耳にしたことはあるだろうか。これは、機能縮小版のWindows XPで、Windowsの「正式な」バージョンを実行する性能がない古いPCでの利用を目的としている。
米Microsoftのガブリエラ・シュスター氏が公式ブログに投稿した2月9日付の記事で、MicrosoftはWindows FundamentalsのWindows 7 Service Pack(SP) 1へのアップデートを計画していることが明らかになった。この新しいバージョンは、Windows Fundamentalsではなく、「Windows Thin PC(WinTPC)」という名称になる予定だ。
シュスター氏のブログによると、「WinTPCは、既存のPCをシンクライアントとして再利用できるようにする、フットプリント(稼働時のリソース使用量)が小さい、機能制限されたバージョンのWindows 7」だという。
この説明を理解しておくことは重要だ。WinTPCは名前に「Thin(シン)」が付いているが、「シンクライアント向けのWindows」ではないからだ(もちろん、Microsoftはシンクライアント用のWindows製品を提供しているが、これはWinTPCではなく、「Windows Embedded」と呼ばれる)。
前身のWindows Fundamentalsと同様に、WinTPCも一般販売はされず、ソフトウェアアシュアランス(SA)の「特典」として提供される。SAの仕組みはというと、PC1台につき年間一定の料金をMicrosoftに支払うことで、最新で最先端のMicrosoftソフトウェアを利用できるようになるというものだ。これは、そんな最新のソフトウェアを使用できる新しいコンピュータがあるなら有益だ。しかし、古いクライアントを使っているのであれば、恐らく「いいえ、結構」となるだろう。
Microsoftは見込みのある収益を逃すことのないよう、この機能を縮小および制限したバージョンのWindowsを作成し、古いクライアントからVDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップインフラ)やリモートデスクトップセッションホストを利用して、最新のOSに接続できるようにしている(これはMicrosoftにとって、SA限定の特典に顧客をつなぎとめる新たなカードになる。この特典を受けるには、顧客はSAを永遠に更新し続けなければならない)。
Microsoftは、WinTPCのメリットの1つとして「通常のシンクライアントではVDIデスクトップにアクセスするために必要となるVDA(Virtual Desktop Access)ライセンスが不要である」ことを挙げている。これは一見すると有益なようだが、WinTPCがSA対象のPCでしか利用できないことを考えると、疑念が湧いてくる。なぜなら、リモートのWindowsデスクトップにアクセスするためのライセンスは、既にSAの特典の1つだからだ。
WinTPCの価値を認めるかどうかはさておき、WinTPCが提供されるのは事実であり、2011年第1四半期の終盤にリリースされる予定だ。Windows 7を実行できないデスクトップに対してSAを既に購入している場合や、Windows XPは使用できないがWindows Embeddedを使用したくもない場合は、WinTPCの利用を考えてもよいだろう。
本稿筆者のブライアン・マッデン氏は、独立系の業界アナリスト、ブロガーで、技術面を超えた洞察を示すデスクトップ仮想化の専門家として世界的に知られている。デスクトップおよびアプリケーションの仮想化について数冊の著書と、1000を超える記事を執筆してきた。マッデン氏のブログBrianMadden.comは、年間数百万の訪問者数を誇り、アプリケーションやデスクトップの仮想化分野について話題を提供する主要な情報源となっている。マッデン氏は、アプリケーションデリバリーについての第一級の独立系テクニカルカンファレンスBriForumの発起人でもある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー