Windowsサーバクラッシュの3大原因とその回避策(前編)
古いウイルス対策ソフトウェアによるWindowsサーバクラッシュ
Windowsサーバをクラッシュさせる3つの原因について詳しく説明し、それらの回避に必要なベストプラクティスを紹介する。
Windowsサーバのクラッシュにはさまざまなタイプがあるが、大部分のクラッシュの原因は3つに大別される。すなわち「古いウイルス対策ソフトウェア」「互換性のないストレージドライバ」「多過ぎるフィルタドライバ」だ。私はこの10年間に世界中から依頼を受けて1000件近くのクラッシュを分析してきたが、その経験からいえるのは、これらは回避すべき問題だということだ。
以下では、サーバをクラッシュさせるこれら3つの一般的な原因について詳しく説明し、それらの回避に必要なベストプラクティスを紹介する。
古いウイルス対策ソフトウェア
Windowsサーバのクラッシュは、「古いウイルス対策ソフトウェアが原因で発生する」ものが断然多い。ウイルス対策ソフトウェアはいずれも、I/O(読み書き)要求を途中で受信して付加的なチェックを行うデバイスドライバ(より具体的に言えば、“フィルタドライバ”)を使用する。ウイルス対策ドライバは、定義ファイルに含まれる既知のウイルスのパターンと検査対象ファイルを照合する。感染ファイルを検出し、感染が広がらないようにするためだ。
フィルタドライバは、低レベルのカーネル関数とデータ構造を介してOSとやりとりするカーネルモードコードから成る。これらの関数とデータ構造には、あらかじめ定義された一連の引数とデータ型が含まれている。これらは、対応するデバイスドライバからの呼び出し時に、存在すると想定されている引数とデータ型だ。関数に誤ったデータ型や不正な数の引数が渡されると、エラーが発生し、カーネルモードでシステムクラッシュを引き起こす可能性がある。
この問題は、サービスパックやメジャーアップグレードなどによるOSのバージョン変更に伴って、こうしたカーネル関数やデータ構造が開発者によって変更された場合に起こる。Microsoftは、OSに変更を加えるに当たっては、自社のデバイスドライバの互換性テストを常に適切に行っている。しかし、同社がサードパーティー製デバイスドライバの互換性を保証するためのテストを行っていないのは明らかだ。このため、古いウイルス対策ドライバがこうしたカーネル関数やデータ構造の変更と衝突すると、最終的にシステムをクラッシュさせてしまう。他のフィルタドライバもこの問題を発生させやすいが、ウイルス対策ドライバがこの問題の最大の犯人だ。
例を見てみよう。
このクラッシュは、「Stop 0x8Eエラー(KERNEL_MODE_EXCEPTION_NOT_HANDLED)」が発生し、バグチェックが実行されたことによるものだった。Windowsデバッガで「!analyze -v」コマンドを入力すると、以下のスタックパターンが表示される。スタックを末尾から読むと、NtCreateFileの呼び出しに関連するフィルタドライバbuggydrvが、バグチェックを生成させ、システムをシャットダウンさせたことが分かる(この解説の目的は犯人探しではないので、このドライバの名前は変えてある)。「!lmi buggydrv」コマンドにより、このドライバは2006年に作られたことが分かる。だが、OSはWindows Server 2003 SP2であり、これがリリースされたのは2007年だ。これにより、この古いウイルス対策ドライバは、この新しいバージョンのOSでテストされていなかったことが分かる。
nt!KeBugCheckEx+0x1b
nt!KiDispatchException+0x3a2
nt!CommonDispatchException+0x4a
nt!Kei386EoiHelper+0x186
buggydrv+0x13059 ←クラッシュを引き起こしたフィルタドライバ
buggydrv+0x8390
buggydrv+0x8809
buggydrv+0x2940
nt!IofCallDriver+0x45
nt!IopParseDevice+0xa35
nt!ObpLookupObjectName+0x5b0
nt!ObOpenObjectByName+0xea
nt!IopCreateFile+0x447
nt!IoCreateFile+0xa3
nt!NtCreateFile+0x30 ←CreateFileを呼び出すシステムコール
nt!KiFastCallEntry+0xfc
この例のクラッシュは、ベンダーが既知の問題として文書化済みで、対処策としてウイルス対策ソフトウェアの新バージョンを提供していた。実際、ユーザーが遭遇するWindowsサーバクラッシュの大部分は、他の誰かが既に経験しており、通常はその解決策が文書化され、インターネットで公開されている。このため、OSを更新するときには(サービスパックで更新するときも)、必ず事前に使っているソフトウェアの提供元にソフトウェアが更新されていないかを確認しなければならない。このことを覚えておくことが重要だ。
次回は、クラッシュの原因となる残りの2つでる「互換性のないストレージドライバ」「多過ぎるフィルタドライバ」に対する解決策を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
“攻撃者優位”なサイバーセキュリティ、全ての「穴」をふさぐ方法とは? -
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
製品資料
HubSpotの機能を拡張する法人データ活用法 -
製品資料
面倒で非生産的な「名寄せ」作業 高精度&高効率に実施するには? -
製品資料
名刺管理には「その先」がある 成果のでない営業活動から脱却する秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
2
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
5
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
6
マンガで解説:KSK2稼働で何が変わる? 税務調査の高度化に備えるデータ管理
-
7
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
8
脱VMwareに待った? AI基盤を掲げるBroadcomの思惑と情シスが直面する新コスト
-
9
レガシーコードを捨てJavaで勘定系を再定義 ソニー銀行、フルクラウド化の全容
-
10
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
5
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
8
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
9
3分で分かる経理DX 富士通が約20%の業務効率化を実現した方法とは
-
10
ランサムウェア攻撃を“二重の防御構造”で防ぐ、クラウド型基幹システムの実力
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー