米国に広がるIT市場の構造変化(後編)
Microsoft、リセラー、その他企業の取り分(利益)は?
顧客の意識変化に伴い、戦略転換を迫られるベンダーとリセラー。両者の駆け引きや製品が売れた際の取り分も変わっていくのか?
前編「ハードウェアは『サービス』のオマケ?」では、顧客がハードウェアやソフトウェアではなく、「ソリューション」を求めるようになった市場動向について解説した。この流れの行きつく先にあるものは、ベンダーとリセラーの関係にも影響を及ぼさざるを得ない。
ベンダークラウドによるリセラーの切り捨て?
結局のところ、企業が提供するサービスは、顧客に販売する製品がけん引するものだと話すのは、米I.T. WorksのパートナーでCOO(最高業務執行責任者)を務めるグレッグ・スター氏。同社は米Cisco Systemsの製品を中心に手掛けるネットワークインテグレーションVARだ。
「これは相関関係にある。顧客はハードウェアを必要としているが、バックエンドで全てを結び付けているのはサービスだ。互いが互いを必要としている」とスター氏。
同社の売り上げは約60%が顧客へのITソリューション販売、約10%がハードウェアの販売、残りを管理サービスと修理サービスが占める。
「(ベンダーは)『わが社の製品を売れ』と言ってくる。顧客はわれわれに、製品を販売してそれを自分の会社で使えるようにしてほしいと思っている。しかしわれわれの仕事は製品を売ることだけではない。顧客のニーズをかなえるソリューションを設計することだ」(スター氏)
ベンダーがVARに対して支払うのは製品が売れた分の直接的な対価のみで、付随するサービスの対価は支払わないのが普通だが、それは構わないとスター氏は言う。
「私が注目してきた唯一の変化は、一部のベンダーがわれわれのような中間業者を切り捨ててクラウドに進出し、顧客と直接接していることだ。これがうまくいかず、その状況にどう対処したらいいかを理解していない場合は問題になる。ベンダーはわれわれに製品を売れと言っておいて、一方でわれわれを切り捨てている」と同氏。
ベンダーがホスティングするクラウドによって、取引先が地元のVARやインテグレーターからベンダーに移ってしまうことへの懸念は広がっている。
ベンダーパートナーの取り分
カール・マッツァンティ氏がネットワーク戦略副社長を務めるVARの米eMazzanti Technologiesは、2006年まで売り上げの60~70%をハードウェアとソフトウェアから得ていた。しかし今ではハードウェアとソフトウェアが売り上げに占める割合は約25%に減り、残りを顧客への幅広いITソリューション提供が占める。これは嘆かわしいことではなく、市場の様相が変化している現実だと同氏は話す。
「ハードウェアとソフトウェアは今でも売り上げをリードする大きな要因だ。売るべき部品はまだあるし、やるべきこともある」
eMazzantiの事業の約90%はパッケージソリューション、つまり顧客のニーズを解決することで成り立っている。残り10%をハードウェアのみが欲しいという顧客が占める。
最初はハードウェアのみを購入していた顧客が、ソリューション販売のけん引役になることもあるという。「ある学校区は4~5年の間、われわれから製品を購入していたが、われわれが別の学校区の問題解決を支援しているという記事を見つけ、さらに多くを求めて電話してきた」
優れたソリューションプロバイダーは、企業に製品を販売する機会を全て、付加的な製品とサービスを売り込むためのきっかけと見なす。よく言われるのは、新製品の導入は顧客を再度訪問して新たなニーズやチャンスについて語る口実になるということだ。
VARとしてのeMazzantiはCiscoとMicrosoftを含む大手ベンダー5社と取引がある。ベンダーの製品の売り上げが増えるほど、ベンダーパートナーから受けられる値引き率も上昇する仕組みだという。
マッツァンティ氏などパートナーの話では、Microsoftは全てを仕切っており、パートナープログラムも以前からある。VARへの販売奨励金などMicrosoftのインセンティブプログラムは、HPなど他社が提供しているインセンティブプログラムと組み合わせると、VARの実入りがさらに増える仕組みになっているという。
このような状況でも、ハードウェアとソフトウェアに対する顧客の出費はVARにとって依然として魅力的だ。こうした製品の販売による直接的な利益はそれほど大きくなくても、顧客のニーズ拡大と出費拡大につながるからだ。
「顧客がMicrosoft製品に1ドル費やすごとに、さらに16ドルをサービスとハードウェアに費やしてもらえる。このうち1ドルがMicrosoftに、6ドルがVARに、10ドルが残りの企業に行き渡る」とマッツァンティ氏は解説した。
本稿筆者のトッド・R・ウェイス氏は受賞歴もあるテクノロジージャーナリスト、フリーランスライター。2000~2008年、Computerworld.comの記者をしていた。趣味は1957年のMilwaukee Bravesの無名選手に関する本に取り組むことと、ハンフリー・ボガートの名作映画を見ること。
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