ファイル仮想化ソフトウェア3製品比較
Windowsファイルサーバのスプロール対策で使えるファイル仮想化ソフトウェア
ファイル仮想化をWindowsファイルサーバのスプロール(無秩序な増殖)対策として利用する手法を紹介する。
ファイルサーバやNAS(Network Attached Storage)を管理したことがある人は大抵、これらの技術のシンプルさと手軽さを気に入っているはずだ。多くの中堅・中小企業(SMB)がこれらを共有ストレージとして利用しているのはそのためだ。皆さんの多くも、これらを「D」ドライブや共有ドライブとして使っていることだろう。
しかし、多くのファイルサーバをネットワークに追加すると、ファイルサーバのストレージを利用する非構造化データやアプリケーションの管理が煩雑になる。データの負荷分散や、システム間での頻繁なデータ移行が必要になる上、それらを行っても、やはりストレージの利用に偏りが生じてしまうからだ。システムを個別に管理しなければならず、ストレージシステムごとに電力、冷却、インフラのコストが掛かる。また、古いデバイスのメンテナンスは、新しいデバイスよりも頻繁に行う必要があり、コストが高くつく。
この問題の解決策としては、スケーラブルなNASシステムを購入し、ファイルサーバを集約する方法や、従量課金制のNASサービスを導入する方法がある。だが、ファイル仮想化ソフトウェアを詳しく検討することで、より良い選択肢が得られるかもしれない。Windowsファイルサーバのスプロールに対処するためのファイル仮想化ソフトウェアとして、以下のようなものがある。
- 米Microsoftの無料のDFS(分散ファイルシステム)ソフトウェア
- 米SanbolicのMelio FS(Windowsソフトウェア)
- 米AutoVirtの社名と同名のソフトウェア(Windowsソフトウェア)
MicrosoftのDFS
米MicrosoftのDFS(分散ファイルシステム)には、無料であるという明確なメリットがある。DFSはWindowsファイルサーバ上でしか動作しないが、Windowsファイルサーバの複数の共有フォルダを、1つまたは複数の論理的な名前空間でグループ化できるようにする。この名前空間は、複数のサブフォルダを持つ1つの共有フォルダに見える。DFSはユーザーやアプリケーションを、使用可能な同じActive Directoryドメインサービスサイト内の共有フォルダに自動的に接続する。DFSは、不要なLANまたはWANルーティングの問題を緩和し、DFSのレプリケーション機能は、ローカルなファイルサーバ間で、あるいは地理的に分散されたファイルサーバ間をWAN経由で、フォルダを自動的に同期できる。
しかし、DFSには大きな難点がある。例えば、利用するには幅広いWindowsの知識とノウハウが必要だ。さらに、異なるサーバ、特に、地理的に分散したサーバ間のファイル同期が厳密ではない。このため、リモートサイトのユーザーやアプリケーションが、更新される前のファイルにアクセスする可能性がある。これらの他、DFSには以下のような問題もある。
- NFSベースのファイルサーバやLinuxファイルサーバに対応していない
- スケーラビリティが限られている
- ファイルレベルでのきめ細かな管理ができない
- 重複ファイルが大量になり、ストレージの使用率が低下する
- 一般的に、ハードウェアインフラコストがかさむ
- 膨大な数のファイラに対応できるスケーラビリティが設計上、あまり考慮されていない
DFSはWindowsファイルサーバに対応しており、これらのファイルサーバのバックエンドストレージとしては、内蔵型DAS、外付けDAS、SAN、NASが利用できる。
SanbolicのMelio FS
米SanbolicのMelio FSは、MicrosoftのDFSよりもはるかに機能が豊富で、直感的に利用でき、DFSのような制約がほとんどないクラスタファイルシステムだ。Windowsファイルサーバのスプロールの問題をOSレベルで解決するようにゼロから設計されている。このソフトウェアは、バイトレンジロックを実現する。この機能は重要だ。バイトレンジロックは、複数の物理または仮想サーバからSANストレージ上のデータへのリードとライト両方の高性能の同時共有アクセスを可能にするからだ。これにより、高い可用性、ファイルサーバの水平方向のスケーリング、アプリケーションのスケーリング、クラスタ処理によるパフォーマンス向上、直感的なストレージプロビジョニングおよび管理が実現される。
また、Melio FSでは、ストレージ帯域が限られた環境において、サービス品質を設定することで、特定のワークロードに優先順位を付けられる。さらに、構成の自動化により、複数のWindowsファイルサーバのクラスタを構成する際に付きものの問題の多くを回避できる。
Melio FSは、DFSやNTFSに見られる難点はほとんどないが、無料ではない。だが幸いなことに、非常に高価というわけでもない。しかし、DFSと同様に、Melio FSは他のNASシステムに対応していない。Melio FSは、Windowsファイルシステムに取って代わる。言い換えれば、NTFS(Windowsのネイティブファイルシステム)の代わりに、多数のシステム全体にわたって分散あるいは仮想ファイルシステムを提供する。バックエンドストレージとしては、NASなどさまざまなタイプのストレージが利用できるが、クラスタNAS(具体的には、CIFSやNFSベースの)は利用できない。
AutoVirt
AutoVirtは社名と同名のソフトウェアである。MicrosoftのDFSやSanbolicのMelio FSに似た純粋なファイル仮想化ソフトウェアの選択肢だ。このAutoVirtは、スプリットパス方式のWindowsベースのファイル仮想化ソフトウェアアプライアンスだ。AutoVirtが作成するグローバルな共有名前空間は、MicrosoftのUNC(ファイルのWindowsパス名)を仮想化し、実際の物理的な位置から切り離す。これにより、ネットワーク上のすべてのファイルを包含する、物理ファイルサーバから独立した1つまたは複数の論理的な名前構造が実現される。
言い換えれば、この機能のおかげで、多数の物理または仮想Windowsファイルサーバが1つのファイルサーバイメージ、あるいはマウントポイントに見える。また、その名前空間はスプリットパスアーキテクチャ(制御パスとデータパスが分離されている)のおかげで、極めてスケーラブルだ。
また、AutoVirtはさまざまな管理タスクやデータ保護タスクの自動化を実現する。管理者の作業負担を軽減するためだ。こうして、AutoVirtはWindowsファイルシステムのスプロールの問題を解決する。
AutoVirtを利用するには、そのライセンス料とメンテナンス料に加えて、物理または仮想サーバのコストやインフラのコストも掛かる。またAutoVirtは、NFSやNFS NASシステムに対応していない。AutoVirtは、CIFSのみに対応し、NFSには対応していないGNS(グローバル名前空間)アプライアンスなのだ。
以上の3つはSMBにとって、Windowsファイルシステムのスプロールの問題を解決するのに利用できるファイル仮想化ソフトウェアの代表例だ。いずれも有効な選択肢だが、一長一短がある。選択を行うに当たっては、このことを念頭に置かなければならない。
本稿筆者のマーク・ステイマー氏は、米Dragon Slayer Consultingの創業者で、シニアアナリスト兼CDS。12年以上にわたって戦略計画、製品開発、市場開発といった分野を中心にコンサルティングを手掛ける。インフラ、ストレージ、サーバ、ソフトウェア、仮想化のマーケティング、営業などの実務に30年以上携わった経験を持ち、業界の第一人者の1人と目されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー