違いが分かりにくい復旧サイトのオプションを解説
災害復旧におけるホット、ウォーム、コールドサイトの違い
災害復旧関連の用語として、ホットサイトやウォームサイト、コールドサイトといった言葉が用いられる。それらの中から、どうすれば自社に最適なオプションを選択できるのだろうか?
災害復旧(DR)関連の用語は分かりにくい。ホットサイトやウォームサイト、コールドサイトといった言葉は、DR用語としてしばしば用いられる。いずれも信頼できる災害復旧サイトの選択肢だ。では、あなたの会社ではどのオプションを選択すればいいのだろう? 以下に、災害復旧のホット、ウォーム、そしてコールドサイトの相違、それぞれの利点と欠点をまとめた。
ホットサイト
もし目標復旧時間(RTO)の許容範囲が数分ではなく数時間程度であれば、恐らくホットサイトが最適だろう。ホスティングサイトとの最大の違いは、サーバや周辺機器などのインフラコンポーネントを共有する点だ。ストレージは専用のものが用意され、プロダクションサイトから災害復旧サイトへデータを移すためにリアルタイムのデータレプリケーションが行われる。
DRサイトの機器は複数の顧客によって共有されるため、ホットサイトはホスティングサイトよりコストを大幅に抑えることができる。「ホットサイトとウォームサイトは、アウトソーシングすればインハウスで行うより経済的に実装できる。必要な機器を他の顧客と共有できるからだ」と語るのは、米Hewlett-Packard(HP)の事業継続復旧サービス部門、ワールドワイドサービスセグメントマネジャーのジョージ・ファーガソン氏だ。「DRサービスプロバイダーは、必ずしも全ての顧客が同時に災害に見舞われることはないという予測を前提にサービスを提供している」
ホットサイトの不利な点は、機器が共有されるため柔軟性に欠けることだ。顧客は、DRサービスプロバイダーが提供する機器に縛られる。もっとも、利用可能な機器の選択を制限しているプロバイダーもあるが、多くのプロバイダーはもっと柔軟だ。「共有機器の時間稼働率は約90%。残りの時間は、それらの機器がちゃんと機能するよう顧客とともに整備している」と語るのは、バックアップやストレージ、災害復旧サービスを提供するプロバイダー、米Recovery Point Systemsの社長、マーク・ランジャー氏だ。大手のサービスプロバイダーの場合はそれほどの柔軟性はないかもしれない。そのため、ホットサイトあるいはウォームサイトのプロバイダーを選択する場合、共有機器の利用に関する契約内容が判断材料となるだろう。
共有機器が装備されたサイトを利用する場合のもう1つ問題は、災害が発生したとき共有機器をどれくらい長く利用できるかという点だ。利用期間はサービスプロバイダーによって異なるが、一般的には30日から90日の範囲だ。「顧客は必要に応じて、あるいはコールドサイトへ移行するまで、共有機器を最大60日間利用できる」とレンジャー氏は説明する。米IBMなど、多数のデータセンターを擁する大手のサービスプロバイダーの場合は、もっと柔軟に対応することが可能だろう。「われわれは他のデータセンターにワークロードをシフトできるため、比較的オープンエンディッドではある」と語るのは、IBMのシステム&テクノロジー部門、事業継続戦略および計画担当上級コンサルタント、ジョン・シング氏。いざというとき思わぬ事態に慌てないよう、複数年にわたる契約を結ぶに当たっては、災害復旧サービスの契約内容、条件、管理上の制限など、明確に理解しておく必要がある。
ウォームサイト
ホットサイトとは対照的に、ウォームサイトの復旧はバックアップが中心だ。そのため専用のストレージは必要なく、より経済的な共有ストレージのメリットが生かされている。別の言い方をすれば、ウォームサイトのコンポーネントは、ストレージも含め、全て複数の顧客で共有されている。従って、ホットサイトで検討すべき点の多くがウォームサイトにも適用される。
以前、ホットサイトとウォームサイトには大きな違いがあった。バックアップの手段がテープに限られていたからだ。そのためウォームサイトによる復旧には数日を要した。復旧をテープベースのバックアップに依存していたウォームサイトは、DRサービスの中では明らかにローエンドの位置付けだった。
だが、ディスクベースのバックアップが登場し、ウォームサイトとホットサイトのギャップは一気に狭まった。今では、ほとんど全ての災害復旧サービスプロバイダーが、ネットワークを経由してプロダクションデータをディスクベースでバックアップする電子保管オプションを用意している。電子保管ウォームサイトのRTOや目標復旧ポイント(RPO)は一般的には1日未満で、ホットサイトのRTOと比べても遜色がない。それでありながらコストは大幅に下がる。
「複製DRインフラと電子保管を含む共有インフラには、およそ10倍の価格差がある」とHPのファーガソン氏は説明する。「電子保管はテープベースの復旧と複製DRインフラのギャップを解消しつつある。顧客は価格と信頼性の両面から、その辺りをよく検討する必要がある」
コールドサイト
コールドサイトは、電源や空調、接続回線などを備え、必要な機器を持ち込むことができるレンタルスペースだ。RTOが1週間ないしそれ以上となるコールドサイトは、長期間ダウンしても支障のないビジネスプロセスのみに利用できるオプションだ。コールドサイトはまた、災害が長期にわたる場合、ホットサイトやワームサイトを補完するものになる。「顧客の中には災害が6週間以上長期化した場合に備えて、共有インフラから移行するための緊急対策としてコールドサイトを契約するケースもある」と、Recovery Point Systemsのランジャー氏は語る。
災害時にコールドサイトに機器を用意するのは顧客側の責任だ。コールドサイトに依存する災害復旧プランは、災害が発生したとき、コールドサイトに持ち込む機器の購入、配備のプロセスを明確に定義しておかなければならない。必要になったときに機器をオープンマーケットで購入するというのは、極めてリスキーな戦略だ。コールドサイトに必要な機器をタイムリーに購入できるとは限らない。より有効なオプションとしては、Agility Recovery Solutionsなどが提供する即時出荷サービス契約が考えられる。Recovery Point Systemsのランジャー氏によると「月額50ドルから機器を借りられる他、必要ならば買い取ることも可能だ」という。
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