Google Appsの企業利用を考える【第4回】
Googleに聞くGoogle Apps導入のメリットとユーザーの声
Google Apps for Business導入企業はどのような変革を実現しようとしたのか。他社製品からGoogle Apps for Businessへと移行したユーザーの声をGoogleに聞いた。
前回「Google AppsをNotes、Exchange、サイボウズと比較する」では、Google Appsと代表的な他社グループウェア製品との違いを説明した。では、実際に他社製品から移行したユーザー企業はGoogle Appsに対してどのような印象を抱いているのだろうか? 具体的な導入事例は次回以降で紹介したいと思うが、本稿ではまず、Googleに話を聞いた。
Google Appsへの移行で実現する3つのインセンティブ
Google シニアプロダクトマーケティングマネージャーの藤井彰人氏は、「Google Appsのどこに魅力を感じるのかは、それぞれの企業が直面している課題によるので一概には言えない」と前置きしながら、以下のように語る。
「今やメールを含むグループウェアは企業活動の中枢になっていると言っても過言ではありません。そして、これを3つの観点で『モダン』にすることが企業の競争力を高めるという認識が広まっています」
その3つの観点、1つ目に藤井氏が挙げるのが、「自由なコミュニケーション」だ。例えば、200Mバイトの小さなメールボックスを毎日自社に戻って確認し、メールボックスや添付ファイルのサイズを気にしながらコミュニケーションするのではなく、クラウド化することで面倒な管理やローカルアクセスの制約から解放された自由なコミュニケーションを、ユーザーは求めているという。「日本の企業は工場の生産現場や物流の効率化などに対してはこれまでさまざまな工夫を凝らしてきました。その一方で、ホワイトカラーの生産性向上について改革の余地が大きいと気付いた企業が増えてきています」
2つ目に藤井氏が挙げるのが、「コンシューマライゼーション」だ。Google Appsを導入した企業の社員に聞いてみると、Google Apps導入以前から何らかの形でGmailを使ったことがある割合が8割から9割に上るという。「今どきのデジカメで撮影した画像ファイルは3Mバイトや4Mバイトの大きさになり、無料で7Gバイトのメールボックスを利用できるGmailはファイル共有のための当然の選択肢として存在しているわけです。ところが企業内では200Mバイトのメールボックスを社内からしか利用できない、添付ファイルはできるだけ小さく、となると、大変なギャップが生じます」。そう藤井氏が指摘するように、今後「プライベートのGmail利用は当たり前」の社員が増えてくると、そのギャップは一層顕在化し、深刻になってくるだろう。
最後に藤井氏が挙げるのは「リアルタイムコラボレーション」だ。「共同作業を行うためのスケジュールをサッと決める。スケジュールを合わせなくても、Googleドキュメントを使って必要な人が自分の都合で共同編集に加われる。思い付いたときにすぐにビデオ会議を始める。Google Appsはそういったアクションをすぐに起こすことができます。海外の人とも、同じ機能、同じ操作で共同作業をすぐに始められるのです。Google Appsでコラボレーションを日常的に行っていたというだけで、ITを使いこなす力が自ずと証明されることにもなります」
移行ユーザーの満足度は?
では、他グループウェア製品から移行したユーザーの満足度はどうだろうか。「確かに、他製品からGoogle Appsに移行した企業のユーザーに満足度調査をすると、移行当初は満足度が下がるケースもあります。しかし、その後は急激に満足度が上昇していきます」と藤井氏はいう。
特にMicrosoft Exchange Server(以下、Exchange)ユーザーはGoogle Appsへの移行をためらうことが多いが、問題を突き詰めていくと、実はExchangeを使い続けたいというよりは、メーラーとしてのOutlookの使い勝手を変えたくない、ということ場合が多いという。「そのような場合は、過渡期だけOutloookと併用するのも1つの方法です。それでも、Gmailの機能を使い込むには、Webブラウザの方が使いやすいことがやがて分かってくると思います」
なかなか解消できないセキュリティ不安に対するGoogleの回答
筆者の印象では、パブリッククラウドベンダーのデータセンターのセキュリティに関しては、以前に比べてユーザー企業の理解が大分進んだと考えている。しかし、一方でいくら強力なセキュリティを施していたとしても、「米国政府が愛国者法を発動したら自社のデータがどうなってしまうのか」といったことを懸念して、海外ベンダーのパブリッククラウドの利用に踏み切れないという話もよく耳にする。
この点についても、Googleではきちんと対応している。「第三者から情報開示の請求を受けた場合、Googleの法務部門がその請求が該当する法律に準拠しているかどうかを調べます。請求が法的に有効である場合、Googleのポリシーでは、情報開示を請求されている個人または組織にその旨を通知します」
また、米国政府がGoogleに対して「国外企業にデータを利用させるな」という命令を出した場合、日本企業がGoogleに預けたデータに突然アクセスできなくなる恐れがあるのではないか、という点ももちろん心配いらない。
「セキュリティ監査をパスしているということは、正当な理由なく情報へのアクセスを遮断することはできません。万が一そのような要求があっても、Googleはその妥当性をきちんとチェックします」。海外の評価機関では、そのようなセキュリティに関する情報公開要求に対して、どの程度公平に対応するのかを評価している第三者機関が存在する。この機関によるとGoogleのセキュリティに関しての情報公開はワールドワイドで非常に高い評価を受けている。
「2011年7月に開催したイベント『Google Enterprise Day 2011』で、あるユーザー企業の講演者が『主要なクラウドサービスを比較したところ、システム管理者が“最もガチガチに”セキュリティを固められるサービスはGoogle Appsだ』とおっしゃっていました」と藤井氏が語るように、Google Appsはアクセス元を制限する、Googleドキュメントを使えないようにする、IMAPの利用を制限するといった、一見するとGoogleのサービスを否定していると捉えられかねないような細かいセキュリティ設定が可能だ。
「Googleのサービスは、自由度の高い企業イメージやGmailがコンシューマ向けサービスであるというイメージから、とても“緩い”イメージを持たれているかもしれませんが、とても緩い設定からガチガチの設定まで、システム管理者が自由に選択できます。この幅広い選択肢をユーザーに評価していただいています」
日本の慣習や文化に合わせた拡張は?
ユーザー個別の要望に対して、Google Appsが提供していない機能については、Google Enterprise Partner各社から提供されているApps拡張製品や拡張サービスを紹介している(関連記事:Google Apps for Businessの「使いづらさ」を解決する手段)。その意味について藤井氏は以下のように説明してくれた。
「Googleはこれからもイノベーティブなコラボレーションとコミュニケーション機能にフォーカスしてサービスを提供していきます。このようなサービスを使いこなすことで、ユーザーのリテラシー向上機会、グローバルで通用するリテラシーの獲得機会を提供することを目的としているともいえます。ですので、ワークフローやシングルサインオンなどの機能はパートナー企業の拡張製品と組み合わせることで、ユーザーの要望に応えていきたいと考えています」
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