Microsoftのクラウドサービス「Office 365」。「Google Apps」対抗といわれるこのサービスは中小企業にとって魅力的だが、果たしてどのような企業に向いているのか。
米Microsoftは2010年10月19日、Google Appsに対抗するサービスとして「Microsoft Office 365」(以下、Office 365)を発表した。これは「Microsoft Office」(以下、Office)「SharePoint Online」「Exchange Online」などを月額方式で提供するというサービスで、2011年にリリースされる予定だ。
Microsoftでは、Office 365がパートナー各社にもたらすメリットとして、新たな市場、特にOfficeを本格的に導入する余裕がない中小企業をターゲットとした市場でビジネスを獲得するチャンスがあるとしている。「しかし現実には、Microsoftは多数のOffice 365販売契約を顧客と直接結ぶだろう」と米Directions on MicrosoftのOffice担当アナリスト、ロブ・ヘルム氏は予想する。
「3000シート程度の企業が相手であっても、Microsoftは契約獲得業務の大部分を自分たちだけでやるつもりだ」とヘルム氏は話す。「パートナー各社はMicrosoftが扱わない案件を獲得できるだろうが、彼らの役割はかつてなく縮小することになりそうだ」
Microsoftのゴールドパートナーである米Custom Information Servicesのリチャード・エイヤーズ執行副社長によると、Microsoftが従来同様、中堅・中小企業(SMB)市場に手を付けないのであれば、この市場をターゲットとするパートナーにとってOffice 365は歓迎できる製品だという。
Office 365はMicrosoftの「Business Productivity Online Standard(BPOS)」スイートに近い位置付けの製品だが、BPOSが提供する機能よりもOfficeのローカルインストール版に近い機能をユーザーに提供する。
Office 365の使用料は、1ユーザー当たり月額6ドル(小企業向けバージョン)から月額27ドル(エンタープライズバージョン)までとなっている。
しかし、このサブスクリプションサービスを販売するための営業経費をどう捻出するかという問題がある。
「Microsoftのパートナーの立場から見れば、持続的な収入を期待できるのは魅力だ。しかしこの製品を担当する販売スタッフを維持する経費が問題になりそうだ」とエイヤーズ氏は指摘する。「いつものことだが、今回の発表も多くの問題を提起するものとなった」
しかし全体的に見れば、パートナー各社は、顧客がOfficeからGoogle Appsに乗り換えるのを阻止する可能性がある製品をMicrosoftが投入したことを歓迎しているようだ。米Googleが最近、Google Appsを改良してよりOfficeに近い製品に仕上げたことが各社の危機感を募らせていたからだ。
「Office 365はまさに、Microsoftが市場に提供する必要がある製品だ」と話すのは、ITコンサルティング企業の米Evolve Technologiesのデイブ・ソーベルCEOだ。「Officeはほとんどのユーザーにとってなじみ深い素晴らしい製品だ。クラウドが現実的な選択肢として市場の一角を確保するのに伴い、Microsoftが強力な製品をクラウドに投入するのは当然だ」
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