Vistaに移行するにはどのみちマシンを買い換える必要があり、またOSに依存しないアプリケーションも増えてきた――自動車サービス会社のオートウェアハウジングでは、フロントエンドへのMacの導入を検討している。
Macintoshのコンピュータは、以前からビジネスユーザーの間でも、デザイン関係者などに根強い支持者がいる。だが、ビジネスで使われるMacの絶対数は圧倒的に少ない。そうした中で、一部のCIOはWindowsプラットフォームに幻滅し、WindowsからMacintoshへの全社的な移行という思い切った試みに着手している。
北米最大の自動車サービス会社、オートウェアハウジングのCIO、デール・N・フランツ氏は、自社開発したERPシステムの利用環境の変更に向けた概念実証プロジェクトを進めている。このシステムはマイクロソフトのSQL Serverをベースにしているが、同氏は、フロントエンドアプリケーションを再構築することで、Macからこのシステムを利用できるかどうかを検証中だ。
「われわれはプロプライエタリなアプリケーションを利用して業務を行っている」とフランツ氏。同氏は、Windowsのライセンス料の上昇と、同OSのアップグレードに伴うハードウェアコストに嫌気がさしているという。「このアプリケーションは自前で開発したものだが、マイクロソフトの技術にかなり依存している。われわれのプロジェクトのポイントは、LinuxやMacに対応した中立的な技術をベースに、フロントエンドを再コーディングできるかだ」
フランツ氏はプロジェクトの初期段階で成功を収めた。だが、テスト環境で概念実証ができたとしても、全社での運用に対応できる保証は必ずしもない。
「われわれの業務ニーズを満たす十分なビジネス機能を実行できるフロントエンドアプリケーションを、本当に作り出せるか。それが問題だ」と同氏。「今のところ、概念実証はうまくいっている。だが、概念実証から実運用に進むには、大きな飛躍が必要だ」
オートウェアハウジングは、年間に550万台の自動車を預かり、付属品を取り付けてディーラーに納品している。フランツ氏がMacへの移行に踏み切った場合、その成否はこの大規模なビジネスを左右することになる。
フランツ氏は、Vistaプラットフォームにアップグレードするには、オートウェアハウジングのコンピュータはどれもリプレースしなければならない上、「マイクロソフトは、『OSは新しいバージョンほど、その価値からして価格が上がって当然』という発想のようだ」と語る。OSのコストが増え続けるのは、フランツ氏にとって大問題だ。
「われわれとしては、マイクロソフトにお金を払い続けるか、ほかのOSに目を向けるかということになる」(同氏)
フランツ氏をへきえきさせたもう1つの大きな問題がある。えげつない営業手法だ。マイクロソフトは2006年、「オートウェアハウジングがソフトウェア製品のライセンスを適切に取得していなかった可能性がある」と同氏に通知した。アナリストを派遣して、オートウェアハウジングの社内でライセンス違反の調査を行いたい、というのがマイクロソフトの意向だった。
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