元祖パブリッククラウドのGoogle App Engineは、スケーラビリティに優れ、開発環境をはじめ必要なインフラの多くをほぼ無料で提供する。個人利用には適しているが企業利用ではまだ多様な課題を残している。
本連載ではパブリッククラウドを使った企業向けシステム構築について解説している。第1回はAmazon Web Services、第2回はForce.comを取り上げた。今回は「クラウド」という言葉を最初に使ったとされるGoogleが提供している「Google App Engine」(以下、GAE)を取り上げる。毎度申し上げていることではあるが、変化の激しい分野でもあるので、記載されている情報は原稿執筆時点のものであることをご了解いただきたい。
検索エンジンで創業したGoogleだが、今では何十万人ものユーザーを抱えるフリーのメールやカレンダー、世界中をカバーする地図情報などを提供する「超巨大情報企業」であることは周知の事実である。われわれは日ごろ、これらのサービスを便利に使っているが、少し考えればその裏に膨大なコンピュータリソースと、高度な利用技術が潜んでいることは想像に難くない。その神髄は、無尽蔵ともいえるデータをとにかく蓄積し、かつユーザーのリクエストに応じて瞬時に引き出す技術、そしてこれらのコンピュータリソースを、24時間365日、無停止で運用し続けるノウハウである。
GAEはこの情報インフラの一部を一般ユーザーに開放しているサービスだ。当然、企業が自社のためにこれを利用することも可能である。
GAEは2008年にリリースされたサービス(PaaS:Platform as a Service)である。Googleが自社サービスのために構築したインフラを利用するため、さまざまな恩恵がある一方で、制約も大きいのが特徴である。
多種多様なGoogleのサービスのほとんどが、Webブラウザさえあれば利用できる。つまり、Google自体が大きな「Webアプリケーション」の集合体と考えられる。GAEはこの延長線上にあり、ユーザーが構築できるアプリケーションは「Webアプリケーション」に限定される。「Googleが提供している(メールやカレンダーなどの)アプリケーションを、一般のユーザーも構築・提供できるようになる」というのがオリジナルのコンセプトである。
当初は、開発言語としてGoogleが標準的に採用しているPythonしか利用できなかったが、2009年4月からはJavaでの開発が可能になった。また、2010年5月には「Google App Engine for Business」という構想を発表し、エンタープライズ向けの機能強化のロードマップをアナウンスしている(後述)。
前述のような出自であるので、「Webアプリケーション」を単品で開発・運用する場合には圧倒的な強みを発揮する。
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