ITはこれからもイノベーションの代名詞
クラウドコンピューティングでさらなるITイノベーションを!
イノベーションが新技術を生み、その波及効果でさらなるイノベーションが実現される。ITはこれまでそうして発展してきたし、これからもそうあるべきだ。特にクラウドコンピューティングには、大きな可能性がある。
ITイノベーションについて書かれた記事やコラムの数からすると、ITにはイノベーションが足りないのだろうかと思われるかもしれない。“IT”と“innovation”でネット検索したり(Googleでは3000万件以上ヒットする)、“IT innovation”の完全一致で検索すると(ヒット数は50万件程度に減る)、「ITはもっとイノベーティブ(革新的)でなければならない」と訴える専門家や評論家が多いのは明らかだ。
その一方で、最近では「CIOはもうイノベーションを起こす必要はないかもしれない」と指摘する記事もよく見かける。ITのイノベーションの成果を生かしたサービスを「クラウド」が提供してくれるというのだ。そうした触れ込みで宣伝されていた「マネージドサービス」や「アウトソーシング」といった一連のソリューションと同じように。
だが、この説には全面的に反論したい。IT分野全般にわたって猛烈なペースでイノベーションが進められていなければ、アル・ゴア氏はまだインターネットを構築しているだろうし、わたしのFORTRANのプログラミングスキルはまだ需要が高いだろう(なお、条件文を使ったスパゲティコードの達人を必要としている人がいたら、ぜひわたしに声をかけてほしい)。そして、われわれが新しい技術を生み出すたびに、その波及効果でさらなるイノベーションが実現されていく。
例えば、インターネットがわれわれの生活とエンタープライズITをいかに変えたか。インターネットのおかげで電子商取引、電子メール、アウトソーシングが可能になった。そして今や、クラウドコンピューティングをコモディティーリソースとしてだけでなく、イノベーションのプラットフォームとしても活用できるようになっている。Webの発展とともに、Webサービスの可能性が広がった。間もなく、優秀で革新的なIT技術者たちがその可能性をとらえ、CIOが企業によるIT活用の在り方を変革するチャンスを生み出した。
例えば、われわれは小規模なデータベースマーケティングのパイロットプロジェクトを立ち上げたばかりだ。このプロジェクトは既存のデータセンターインフラで行うのではなく、クラウド上の各種サービス(アプリケーション、アプリケーションサーバ、Webサーバ、データベース、データベースサーバなど)を利用して行う。そうすることで、さまざまなビジネスルールや技術的選択肢、アプローチを手軽に試せる。多様なWebサービスを使った上で、最適な方針を決定することが可能だ。
また、われわれの2009年の計画には、ストレージアレイネットワークの拡張が含まれていた。HDDとコントローラーを買い足そうとしていたのだが、代わりにクラウドストレージを試すつもりだ。
というのも、われわれのストレージは、めったにアクセスしないデータが容量の多くを占めている。ストレージアレイネットワークを拡張する代わりに、めったにアクセスしないデータをクラウドに保存したらどうなるかと考えると、クラウドストレージを使う方がストレージを買うより安上がりだ。
こうした考え方を進めると、われわれはバックアップシステムをアップグレードする必要があるのか、あるいはそうではなく、クラウドにバックアップすればよいのか、という問題が思い浮かぶ。われわれはもともと、リモートユーザーのHDDをバックアップする手段としてクラウドに目を向けていた。であれば、サーバデータのバックアップにクラウドを使ってもよいのでは? 実際、そうすればわれわれの事業継続計画(BCP)も簡素化できそうだ。先走り過ぎかもしれないが、今日の専門化・分業化の時代には、われわれがストレージ管理に精通する必要はないのかもしれない。
エンタープライズITでクラウドコンピューティングが信頼できる有意義な選択肢として受け入れられ、導入されるとともに、次にどのようなイノベーションが生まれるか楽しみだ。それはわたしにとって、ITがイノベーションの代名詞であるという証拠がさらに増えるということだ。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略計画担当副社長。
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