クラウドコンピューティングとは何か? どのような技術が使われているのか? 特徴は何か? といった疑問に答える。その具体例として、GoogleとAmazon.comのサービスを取り上げる。
「クラウドコンピューティング」とは、インターネットという「雲(クラウド)」の向こう側にある無数のコンピュータから、ユーザーが具体的なハードウェアなどを意識せずにサービスを受けられるというものだ。
ネットワークの先にあるコンピュータに処理をさせてサービスを受けるという考え方は、もともとメインフレームがコンピュータの中心であった30年以上前から存在していた。インターネットが普及した今日においては、オンライン上での株式取引やショッピングなどがその流れをくんでいる。では、クラウドコンピューティングは、それらのサービスと比べて何が違うのだろうか。
ここでは、従来型サービスである銀行のATM(現金自動預け払い機)とクラウドコンピューティングの1つといえるGoogleの検索機能を比較してみよう。これらは、まったく異なる目的のサービスではあるが、ネットワークを介してサービスを提供している点では同じである。違いは、「サービスの提供範囲」にあるのだ。
ATMの場合、専用の機械が設置されている場所に行かなければ一切の取引が行えない。また、キャッシュカードの多くは、ユーザーが契約を交わした金融機関が所在するその国の中でしか利用できない。しかし、Googleの検索機能は大きく様子が異なる。PCや携帯端末がインターネットにつながってさえいれば、世界中のどこからでも利用できる上、ATMのように設置場所を確保する必要もないからだ。
クラウドコンピューティングらしさは、ほかでも見ることができる。アプリケーションシステムの構築時に、具体的なハードウェアにひも付ける必要がないのだ。従来はそれぞれ個別にハードウェアを用意し、ミドルウェアを設定し、その上でアプリケーションを動作させる必要があった。ところが、クラウドコンピューティングの世界では、ストレージであったり、CPUリソースであったり、ミドルウェアであったりが、インターネットを介して提供される。つまり、それらの「リソース」を使って自由にアプリケーションシステムを構築できるということだ。これは、システムを「作る」という発想から、「使う」という発想への転換を意味している。
また、クラウドコンピューティングと似た考え方を持つものとして、SaaS(Software as a Service)が挙げられる。SaaSは、CRMをはじめとした業務系アプリケーションをインターネット経由で提供し、既存のアプリケーションと連携しながら稼働する。つまり、SaaSもシステムを「作る」のではなく、カスタマイズしながら「使う」という考え方に基づいている。その意味で、SaaSとクラウドコンピューティングの本質は同じものといえるのだ。
しかし、SaaSは特定のベンダーやデータセンターからサービスを提供するが、クラウドコンピューティングはインターネット上の広範なデータセンターから仮想的にコンピュータリソースを集めてサービスを提供しようというもので、より上位な概念といえる。とはいえ、サービス面からクラウドコンピューティングを解説しただけでは、どのような技術が使われているのか、特徴は何であるかといったことが明確には見えてこない。ここからは、技術的な背景や具体的なサービスを例に挙げながら、クラウドコンピューティングの実体に迫ってみたい。
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