カスタマイズ性が高く、短期間開発やプロトタイピングを得意とし、セキュアなアプリケーション基盤が強みのForce.com。同サービスは2007年のリリース以来、日本のエンタープライズ向けクラウドサービスで利用が進んでいる。
本連載ではパブリッククラウドを使った企業向けシステム構築について解説している。第1回は、Amazon Web Services(以下、AWS)について概説した(参考:「コンピュータリソースを無制限に活用できるAmazon Web Services」)。第2回の今回は「Force.com」を取り上げる。毎度申し上げていることではあるが、変化の激しい分野なので、記載されている情報は原稿執筆時点のものであることをご了解いただきたい。
Force.comは、Salesforce.comが提供しているビジネスアプリケーションの開発プラットフォームである。同社はマーク・ベニオフ氏が1999年に設立。当初よりITのユーティリティ化(水や電気のように即座に利用可能なサービス)を唱え、エンタープライズ向けのアプリケーションをASP形式で提供してきた。その意味で同社は、消費者向けサービスを原点とするGoogleやAmazon.comとは異なる、生粋のエンタープライズ向けサービス企業である。
Salesforce.comが提供するクラウドサービスは、SaaS(Software as a Service)として提供される「SalesforceCRM」と、PaaS(Platform as a Service)として提供されるForce.comとに二分される。Force.comはSalesforceCRMの稼働を支える基盤でもあるが、当初はサービスとして一般開放されていなかった。欧米ではSalesforceCRMをそのまま利用する企業が多いとされ、Force.comのようなカスタマイズ自由度の高いサービスへの需要が希薄だったと推察される。実際、海外ではSalesforceCRMとForce.comの売上比率は90対10といわれている。一方、日本ではアプリケーションを自社の業務に合わせ高度にカスタマイズすることを好む企業が多く、Force.comは日本のエンタープライズ市場のニーズをくんでリリースされたものと考えられる。現在、日本国内において、SalesforceCRMとForce.comの売上比率は55対45とされている。
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