次世代IT環境に備えるための一歩先行くクラウド活用術まずはSFAやSaaSから試す

拡張性が高く柔軟なサービス提供を目指すクラウドの方向性は、社内データセンターが目指すべき方向性と一致している。ただし、どの業務システムをクラウドに置くかを見極めなければならない。

2009年12月01日 07時30分 公開
[Christina Torode,TechTarget]

 クラウドの展望を見通すことは簡単ではない。しかし企業のCIOは現時点で、たとえクラウドコンピューティングそのものに飛びつかないまでも、手始めにクラウドコンピューティングサービス事業者が描く青写真を参考に、次世代アーキテクチャのための基礎を築くことはできる。

 多くの点で、クラウドコンピューティングモデルはデータセンターで既に起きていることを進化させたものだ。すなわち仮想化、自動化、インフラの動的プロビジョニングなど、すべて柔軟性が高く動的なサービス提供のためのリアルタイムインフラ構築を目指している。

 「クラウドコンピューティングがやってきたのは、仮想化、SOA(サービス指向アーキテクチャ)、Webアプリ、グリッドコンピューティングといった技術をすべて組み合わせ、拡張性が高く柔軟なサービスとしてのIT機能を作り出すことだった。これは、いずれにしても組織が自社のデータセンターで目指すべきことだ」。米Gartnerのアナリスト、デービッド・シーリー氏はこう解説する。

 シーリー氏がCIOに勧めるのは、SFA(営業支援)や、実績のあるSaaS(Software as a Service:サービスとしてのソフトウェア)モデルといった手の届きやすいものから試し、クラウド事業者がオートメーション技術やリソースのプールと共有をどのように使っているかを知った上で、こうしたベストプラクティスを自社のデータセンターに取り入れることだという。

 もう一歩先へ進み、Webベース環境のためのアプリケーション開発を目標にしてもいい。従来型のアプリケーションは、クラウドコンピューティングに見られるようなマルチテナントや並列処理モデルを活用できる設計になっていないからだ。

 シーリー氏は言う。「戦略的な考えを持つCIOなら、クラウドに存在するデータ分散・処理分散モデルを活用したWeb思考アーキテクチャの恩恵を受けるため、アプリケーションのアーキテクチャを組み直すだろう。そうすることによって、外部のクラウドが成熟した時点でそれを活用できるアプリケーションの態勢が整い、同時に自社環境の効率性と先進性も高まる」

 アプリケーション開発チームから出発するのはいいが、考慮すべきはパブリッククラウドへの移行が及ぼす影響だ。ネットワークトラフィック、経理部門の決済モデル、バックアップ・災害復旧対策戦略、社内アプリケーションとの相互運用性、情報プライバシーなど、考慮すべき点は幾つもある。

 「クラウド導入は会社全体で決断すべきことであり、一分野たりとも無視できない」と指摘するのは米Burton Groupのアナリスト、クリス・ハワード氏。「アプリケーションの観点からは素晴らしく見えても、ネットワーク担当者は実際の環境でそれをサポートしなければならず、ファイアウォールの外にデータを置くことにリスク管理者(あるいは総務)がダメ出しをするかもしれない。性急なクラウドプロジェクトではCIOが必要な工程を飛ばしてしまう危険があり、さらにバックエンドでもインテグレーション問題への対処を迫られる」(同氏)

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