アウトソーシングは状況判断モデルで
データセンターのアウトソーシング、見極めポイントは?
アウトソーシングすべきか否かは「状況次第」だ。それを見極めるためのモデルを紹介する。
データセンターサービスはアウトソーシングすべきか否か、それが問題だ。自社独自のデータセンターを保有・管理する方が崇高なのか、それともこのようなサービスはアウトソーシングした方がいいのか。人生において直面する真に興味深い問題は大抵がそうだが、答えは「状況次第」といえる。
「状況次第」とは? これは答えを逃げているようにも思える。どうして単純にイエスかノーで答えないのか。なぜなら、実に幅広い要素によって答えが変わってくるからだ。そうした疑問と選択肢を整理するに当たり、わたしの「Purpose Alignment Model」が役に立つ。
このモデルについては「ERPプロジェクトのコストと時間を半分に減らす方法」でも触れたが、もう一度紹介しておくと、Purpose Alignmentではデータセンターのアウトソーシング(あるいは事業上のどんな意思決定についても)にまつわるビジネスプロセス、アクティビティー、疑問点について、2つの角度から検討する。まず第1に、そのプロセス、アクティビティー、決断が市場においてわが社の差別化にどうつながるか。第2に、それらがわが社にとってどの程度ミッションクリティカルなのか。
もしそのプロセス、アクティビティー、決断が差別化につながり、かつミッションクリティカルなものであれば、それらは競争相手よりも上を行く必要がある。一方、そのプロセス、アクティビティー、決断がミッションクリティカルではあるが差別化につながるものではない場合、それらをパリティーなやり方で実行する──すなわち、プロセス、アクティビティー、決断を合理化、簡素化、標準化する──ことを良しとしなければならない。
それでは、わが社のデータセンターアウトソーシングにかかわる決断について、Purpose Alignmentの観点から見てみよう。独自のデータセンターサービスを使って市場で自社の差別化を図っている人間が、社内に何人いるのか。わが社のIT部門がいかにデータセンター管理に長けているかを説き、新規顧客を獲得している営業担当者がどのくらいいるのか。わが社がLinuxではなくHP-UXを、あるいはDB2ではなくOracleを使っていると説明して顧客獲得につなげている人間はどのくらいいるのか。多分、それほど多くはないだろう。実際、データセンター管理会社の経営者くらいのものかもしれない。
しかし、データセンターサービスは市場における差別化にはつながらないかもしれないが、ミッションクリティカルであることはほぼ間違いない。すなわち、わが社のデータセンターサービスはパリティーなやり方で提供する必要があるということだ。ほかのどこよりも優れたデータセンターサービスの運営で利益を生み出しているわけではないが、標準以下のやり方で行えば事業に支障が出る。
データセンターのアウトソーシングにまつわる決断を下す上で、この思考プロセスがどのような助けになるのか? データセンター管理はパリティー業務(つまり差別化につながるものではない)なので、データセンターサービスを提供する上でどんなギャップがあるのかを検討する必要がある。もしギャップがあるのなら、パリティーのレベルに達するために、そのギャップを埋めなければならない。
では、パリティーのギャップを埋める最善の方法とは何か? データセンターサービスと管理に関しては、わが社をすぐにもパリティーに到達させてくれる相手にサービス提供を委託することは、可能性として考えられる1つの手段だ。ただし、パリティーに達しないやり方でサービスを実行するような相手に、ミッションクリティカルな業務を託すようなことがあってはならない。データセンターサービスはミッションクリティカルな業務だということは、肝に銘じておきたい。
このような思考プロセスにより、アウトソーシング/社内ソーシングにまつわる意思決定のアプローチが変わってくる。決断は、わが社のデータセンターサービスが現在どんなギャップを抱えているか、そして市場でベストプラクティスと見なされているのは何かにかかってくる。埋めなければならないコスト上のギャップ、サービスレベル上のギャップ、テクノロジーのギャップ(例えば「DEC Alpha 64ビットサーバは永久に使い続けられるわけではない」など)もあるかもしれない。何を重点的に管理するかというギャップも埋める必要がありそうだ。つまり、データセンター管理に時間を取られ過ぎて、市場での差別化につながるITサービスに時間を避けないといったギャップだ。
こうしたギャップを抱えている場合、アウトソーシングがそのギャップを埋める最善の手段になるかもしれない。そうなると今度は、どんなアウトソーシングサービスが利用でき、社内で運用する場合と比べて品質はどうなのかという点に、データセンターアウトソーシング戦略がかかってくる。
つまりそういうことだ。一律の、確固たる答えなど存在しない。その代わり、わたしが見いだした思考プロセスなら、大概は非常に良い答えを導き出してくれる。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略プランニング担当副社長。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社シーイーシー] 脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] ランサムウェア攻撃を“二重の防御構造”で防ぐ、クラウド型基幹システムの実力 -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] 動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは -
市場調査・トレンド
[セコムトラストシステムズ株式会社] EDR導入を成功に導くロードマップ:選定/稟議/運用のつまずきを防ぐコツ -
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
6
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
7
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
8
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
9
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
10
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー