2009年06月30日 07時30分 公開
特集/連載

データセンターのアウトソーシング、見極めポイントは?アウトソーシングは状況判断モデルで

アウトソーシングすべきか否かは「状況次第」だ。それを見極めるためのモデルを紹介する。

[Niel Nickolaisen,TechTarget]

 データセンターサービスはアウトソーシングすべきか否か、それが問題だ。自社独自のデータセンターを保有・管理する方が崇高なのか、それともこのようなサービスはアウトソーシングした方がいいのか。人生において直面する真に興味深い問題は大抵がそうだが、答えは「状況次第」といえる。

 「状況次第」とは? これは答えを逃げているようにも思える。どうして単純にイエスかノーで答えないのか。なぜなら、実に幅広い要素によって答えが変わってくるからだ。そうした疑問と選択肢を整理するに当たり、わたしの「Purpose Alignment Model」が役に立つ。

 このモデルについては「ERPプロジェクトのコストと時間を半分に減らす方法」でも触れたが、もう一度紹介しておくと、Purpose Alignmentではデータセンターのアウトソーシング(あるいは事業上のどんな意思決定についても)にまつわるビジネスプロセス、アクティビティー、疑問点について、2つの角度から検討する。まず第1に、そのプロセス、アクティビティー、決断が市場においてわが社の差別化にどうつながるか。第2に、それらがわが社にとってどの程度ミッションクリティカルなのか。

 もしそのプロセス、アクティビティー、決断が差別化につながり、かつミッションクリティカルなものであれば、それらは競争相手よりも上を行く必要がある。一方、そのプロセス、アクティビティー、決断がミッションクリティカルではあるが差別化につながるものではない場合、それらをパリティーなやり方で実行する──すなわち、プロセス、アクティビティー、決断を合理化、簡素化、標準化する──ことを良しとしなければならない。

 それでは、わが社のデータセンターアウトソーシングにかかわる決断について、Purpose Alignmentの観点から見てみよう。独自のデータセンターサービスを使って市場で自社の差別化を図っている人間が、社内に何人いるのか。わが社のIT部門がいかにデータセンター管理に長けているかを説き、新規顧客を獲得している営業担当者がどのくらいいるのか。わが社がLinuxではなくHP-UXを、あるいはDB2ではなくOracleを使っていると説明して顧客獲得につなげている人間はどのくらいいるのか。多分、それほど多くはないだろう。実際、データセンター管理会社の経営者くらいのものかもしれない。

 しかし、データセンターサービスは市場における差別化にはつながらないかもしれないが、ミッションクリティカルであることはほぼ間違いない。すなわち、わが社のデータセンターサービスはパリティーなやり方で提供する必要があるということだ。ほかのどこよりも優れたデータセンターサービスの運営で利益を生み出しているわけではないが、標準以下のやり方で行えば事業に支障が出る。

 データセンターのアウトソーシングにまつわる決断を下す上で、この思考プロセスがどのような助けになるのか? データセンター管理はパリティー業務(つまり差別化につながるものではない)なので、データセンターサービスを提供する上でどんなギャップがあるのかを検討する必要がある。もしギャップがあるのなら、パリティーのレベルに達するために、そのギャップを埋めなければならない。

 では、パリティーのギャップを埋める最善の方法とは何か? データセンターサービスと管理に関しては、わが社をすぐにもパリティーに到達させてくれる相手にサービス提供を委託することは、可能性として考えられる1つの手段だ。ただし、パリティーに達しないやり方でサービスを実行するような相手に、ミッションクリティカルな業務を託すようなことがあってはならない。データセンターサービスはミッションクリティカルな業務だということは、肝に銘じておきたい。

 このような思考プロセスにより、アウトソーシング/社内ソーシングにまつわる意思決定のアプローチが変わってくる。決断は、わが社のデータセンターサービスが現在どんなギャップを抱えているか、そして市場でベストプラクティスと見なされているのは何かにかかってくる。埋めなければならないコスト上のギャップ、サービスレベル上のギャップ、テクノロジーのギャップ(例えば「DEC Alpha 64ビットサーバは永久に使い続けられるわけではない」など)もあるかもしれない。何を重点的に管理するかというギャップも埋める必要がありそうだ。つまり、データセンター管理に時間を取られ過ぎて、市場での差別化につながるITサービスに時間を避けないといったギャップだ。

 こうしたギャップを抱えている場合、アウトソーシングがそのギャップを埋める最善の手段になるかもしれない。そうなると今度は、どんなアウトソーシングサービスが利用でき、社内で運用する場合と比べて品質はどうなのかという点に、データセンターアウトソーシング戦略がかかってくる。

 つまりそういうことだ。一律の、確固たる答えなど存在しない。その代わり、わたしが見いだした思考プロセスなら、大概は非常に良い答えを導き出してくれる。

本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略プランニング担当副社長。


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