クラウドコンピューティングの定義は1つではないが、その意味を理解する手助けになる幾つかの関連用語について解説する。
今日、多くのベンダーがクラウドコンピューティングサービスを宣伝しているが、アナリストやジャーナリストたちは今でも、多くの人々が「要するにクラウドコンピューティングとは何なのか?」と質問するのを耳にしている。クラウドコンピューティングの定義は1つではないが、本稿で解説する関連用語がその意味を理解する手助けになるだろう。
ある意味では、クラウドコンピューティングは決して新しいアイデアではない。IBM、EDS、Hewlett-Packard、Microsoftなどの企業は何年も前から、ユーティリティベースのコンピューティングモデルを提唱してきた。これは、受話器を持ち上げるのと同じくらい簡単にITを利用でき、ITを電話のように信頼性の高いサービスにするというコンセプトだ。このモデルではサービスが中断することはないとされた。サービスを支えるITインフラでは、利用企業のニーズの変化に応じて自動的にシステムの入れ替え、増強、縮小が行われるからだ。
今日の状況が以前と異なるのは、これらの約束の多くが現実化しつつあることだ。それはSaaS(Software as a Service:サービスとしてのソフトウェア)の人気を見れば明らかだ。この分野を代表する企業が、5万9300社の顧客を抱え、独自の開発プラットフォームを擁するSalesforce.comだ。企業ユーザーは、携帯電話の契約と同じように同社とサービスの契約を結ぶだけでサービスを利用できるようになり、利用した分だけ料金を支払えばよいのだ。
多数のベンダーがクラウドコンピューティングの流れに乗り遅れまいと、この分野に次々と参入している。これは仮想化ブームのときと同じ状況だ。1990年代末に流行語となったASP(Application Service Provider)のときもそうだった。かつてSalesforce.comはASPと呼ばれていたことがある。やがて同社はSaaSプロバイダーとして知られるようになった。今では、Force.comという開発プラットフォームを提供している同社をPaaS(Platform as a Service:サービスとしてのプラットフォーム)プロバイダーと見なす人もいる。Salesforce.comの姿勢、そして同社がアプリケーションと開発プラットフォームで顧客に提供する価値にけちを付けようというわけではない。ソフトウェアベンダーやハードウェアベンダーが提供するサービスの内容に応じて、技術用語が変化することを示す例を挙げたにすぎない。
本稿では、「SIaaS」「HIaaS」「PaaS」など幾つかの用語の意味を説明する(ASPについては割愛させていただく)。これらの用語の定義を述べる前に、まずクラウドコンピューティングの定義を見ることにしよう。
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