いち早くクラウドサービスの導入に踏み切った米製薬会社Amylin Pharmaceuticals。同社のCIOが、クラウドコンピューティングサービスの採用に向けて、IT部門および全社でどのような準備作業を行ったかを語った。
米製薬会社Amylin Pharmaceuticalsでは、いち早くクラウドコンピューティングサービスの導入に踏み切った。同社はその際に、どのような準備をしたのだろうか。
同社では20年間近く、売れる薬を持っていなかったが、FDA(米食品医薬品局)に認可された2種類の薬(糖尿病用と肥満防止用)を2004年に投入したことで状況が一変した。経営陣は、同社が5年後には年商30億〜50億ドルの大企業になり、この成長を支える大規模なITインフラが必要になると予想した。
同社では、既にその時点で導入後5年になるハードウェアを更新する必要があり、2カ所のデータセンターも容量と電源の限界に達していた。しかし機器の設置スペースに余裕はなく、同社幹部は新たにデータセンターを建設すべきかどうかの判断を迫られた。
同社のスティーブ・フィルポットCIOは、クラウドコンピューティングサービスを利用することによって、これらの問題を一気に解決しようと考えた。だがこのアイデアが全社的に受け入れられるまでには、多くの準備作業が必要だった。
同社は最終的に、販売ターゲットの絞り込みと人事・給与管理のクラウドアプリケーションには「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」を採用し、アプリケーション開発用としてSalesforce.comの「Force.com」、そしてクラウド内でのストレージには、NAS(Network Attached Storage)クラウドプロバイダーのNirvanixのサービスを利用することに決めた。
フィルポット氏は米Burton Group主催の「Catalyst Conference」のセッションにおいて、クラウドコンピューティングサービスの採用に向けてIT部門および全社でどのような準備作業を行ったかについて説明した。同氏の経験をToDoリスト形式で以下にまとめた。
Amylin PharmaceuticalsのITチームは、ビジネス部門のユーザー向けに、どのアプリケーションが差別化要因であり、どのアプリケーションがコモディティーと見なされるかを示した表を作成し、なぜコモディティー的アプリケーションが電子メールや「LiveOffice」などのクラウドサービスに適しているかを説明した。人事・給与管理や販売分析などのスタンドアロン型アプリケーションもクラウドに適していることを示した。
「これらのアプリケーションやシステムは、ほかアプリケーションと連係することが少ないのでクラウドに適していると説明した」とフィルポット氏は語る。
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