クラウドコンピューティングにおけるネットワークの注意点について、パブリッククラウドとプライベートクラウド、クラウド内ネットワークとクラウド外ネットワークに分けて考察してみる。
クラウドコンピューティングは、さまざまな場所にあるサーバとストレージをネットワークで接続し、リソースプールを作成してリソースを共有する技術だ。アプリケーションが実行されると必要に応じてリソースがこのプールから割り当てられ、ユーザーに接続される。リソース(サーバとストレージ)をリソースプールに接続した上でユーザーを適切なリソースに接続することが、クラウドコンピューティングにおけるネットワークの役割だ。
クラウドコンピューティングアプリケーションの多くでは、ネットワークのパフォーマンスがクラウドのパフォーマンスの鍵を握る。これは2次元マトリックスで考えると分かりやすい。このマトリックスは、行の項目が「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」、列の項目が「クラウドアクセスネットワーク」と「クラウド内ネットワーク」というものだ。
パブリッククラウドにアクセスするためのネットワークは、大抵はインターネット経由で実現されるが、一部のクラウドプロバイダーは大口顧客向けにVPN(仮想プライベートネットワーク)をサポートしているかもしれない。パブリッククラウドにアクセスする場合、常にセキュリティとパフォーマンスのトレードオフが発生する。すべてのクラウドプロバイダーが暗号トンネルをサポートするとは限らないため、企業はインターネットを介して情報を無防備な状態で送信することになるかもしれない。一方、暗号化が利用可能な場合、利用することで遅延が増えるのは確実であり、パフォーマンスに影響が出る可能性がある。
セキュリティを損なうことなく遅延を減らす唯一の方法は、通過する「ホップ」を最小限に抑えることだ。インターネットは、相互接続されたプロバイダーのネットワークの集合体であり、特定のクラウドサービスにアクセスする場合、そのトラフィックが幾つかのプロバイダーのネットワークを通過する可能性がある。選択肢となっているクラウドプロバイダーとISP、特に通常利用するISPとがどのように接続されているかを確認しなければならない。遅延を減らすという観点で最適なクラウド/ISPの組み合わせは、ほとんどの場合ホップ数が最も少ない組み合わせだろう。
クラウドにおけるネットワークの2つ目の考慮点は、プライベートクラウドにアクセスするための方式だ。大抵の場合、企業は自社のプライベートクラウドにアクセスする際、データセンターにアクセスするのに利用していた技術を使う。その中にはインターネットVPNや、ネットワーク事業者のVPNサービスなどが含まれるだろう。「クラウド化する前」の構成でアプリケーションに快適にアクセスできていた場合には、プライベートクラウドへの移行は、アクセスのパフォーマンスに影響しないだろう。
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