2009年5月29日、東京・六本木で開催された「VMware 仮想化サミット2009」。4月に発表された新仮想化プラットフォーム「VMware vSphere 4」を中心とした、ヴイエムウェアのクラウド戦略が明かされた。
2009年5月29日、ヴイエムウェアが主催するイベント「VMware 仮想化サミット2009」がラフォーレミュージアム六本木(東京・港区)で開催された。同イベントは、2009年4月にヴイエムウェアが発表した新しい仮想化プラットフォーム「VMware vSphere 4」を中心に同社の製品・ソリューションを紹介するもので、今回の東京会場を皮切りに全国20都市で開催される。
本稿では、同イベントの講演から幾つかをピックアップし、同社が掲げる仮想化ソリューションのコンセプトとその具体的な内容を紹介する。
同イベント冒頭では、ヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏が登壇し、同社が提唱する仮想化戦略の概要について講演を行った。同氏は、企業のIT予算のうち70%以上が既存システムの運用管理業務に充てられており、これを削減してITスタッフの時間をより戦略的なプロジェクトへ割り振れるようにすることが企業に競争優位をもたらすと説明。同社が提供するVMware vSphere 4は、サーバだけでなくストレージやネットワークも含めた仮想化インフラ全体に対して、優れた管理性と自動化をもたらすため、部門レベルだけでなく全社レベルでIT運用コストの削減メリットを享受できると強調する。
さらに同氏は、同社の戦略として「Internal Cloud」「Scale」「People & Info-centric」という3本の柱を提示する。
Internal Cloudは、仮想化技術の活用による企業システムのクラウドコンピューティング化を指す。Scaleは、その企業内クラウドコンピューティング環境を社外のクラウドコンピューティング環境と連携させ、システムをスケールアウトしていくことを意味する。そしてPeople & Info-centricは、企業システムにおけるクライアント環境を仮想化技術によってさらに進化させる概念だ。
VMware vSphere 4はクラウドコンピューティングのプラットフォーム、いわばOSとして機能し、上記3本の柱のうちInternal CloudとScaleを実現するものとして位置付けられる。それによって実現する企業クラウドコンピューティング環境を、同氏は「プライベートクラウド」と表現する。
「プライベートクラウドとは、社内にある既存のシステム資産をそのまま生かしつつ、クラウドコンピューティング環境に移行したもの。これは、他社が提供するパブリッククラウドのサービスのように、クラウドベンダーが提供するプロプライエタリなサービスやプラットフォームに企業が合わせるのではない。既にある企業システムを、社外のクラウド環境でも稼働させられるようにするオープンなプラットフォームこそ、われわれが提唱するプライベートクラウドだ」(三木氏)
続いて登壇した米VMware サーバ事業部門担当副社長兼ゼネラルマネジャーのラグー・ラグラム氏は、同社がVMware vSphere 4で提供するクラウドコンピューティングのビジョンについて、次のように説明する。
「GoogleやAmazon.comが提供するパブリッククラウドの革新性やオープン性は素晴らしい。しかし、企業が既にデータセンターに構築したシステムの安定性や柔軟性、セキュリティの堅牢性も捨てることはできない。VMware vSphere 4は、データセンターに新しいレイヤー、新しい方法を持ち込み、データセンターにクラウドのメリットを取り込むことにより、この両者を橋渡しする」(ラグラム氏)
VMware vSphere 4は、まさに「クラウドOS」としてアプリケーションのレイヤーとインフラのレイヤーに対してクラウドコンピューティングのサービスを提供する、まったく新しい概念のプラットフォームなのだという。
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