従業員1万人のある企業では、60日間の移行期間、ユーザー全員への研修を設けてOpenOffice.orgへの移行を実施した。
最近、ある大企業の幹部と話す機会があった。さまざまな理由から、社名は伏せて仮にA社としておく。しかし話の内容は十分興味深いものだった。この幹部の名を仮にマリーとしておこう。
A社はテストプログラムを実施中で、これがうまくいけば何千台ものデスクトップPCにOpenOffice.orgを導入する予定だ。マリーはユーザーと直接会って話すことが多い。情報が十分でなかったり切り替えについての事前研修が不足しているときは、声を荒らげられることもある。しかしテストプログラムとはそういうものだ。
2年前、A社はいつも通り、Microsoftのライセンスを最新のものに維持する前提で年間予算を立てていた。このプロセスは「True-up」(増加分)と呼ばれる。この増加分を見て、CFOが目をむいた。
Microsoft Officeのコストがそれほどかさんだ一因は、Officeを使うと想定される全ユーザー用のライセンス購入をMicrosoftが要求していたためだ。「Microsoft Officeのライセンスを持っていたユーザーの最大30%は、オフィススイートを使わない業務だった」とマリー氏は説明する。
IT部門責任者は、Microsoft Officeのライセンスを更新せず、OpenOffice.orgに乗り換えることを提案した。この人物は長年のオープンソースファンで、初期のStarOffice(日本ではStarSuite)を使ったことがあり、乗り換える潮時だと考えた。CFOもこのアイデアに興味を持った。自宅で使ってみてこれならいけると判断し、乗り換えにゴーサインを出した。Microsoft Officeを使っていなかったユーザーも念のためにOpenOffice.orgを導入でき、そのための経費は一切掛からないというのも大きな利点だった。
この決定は半年後、年次支社長会議で発表された。支社長たちがこの話を耳にしたのはこれが初めてで、乗り換えについてもこの製品についても、十分な情報が伝わっていなかった。マリーが乗り換えのために幾つかの支社を訪れた際も、恐らく支社長の半分はOpenOffice.orgについて聞いたことさえなかった。
テストプログラムは約200ユーザーで実施していたが、これがうまくいった場合、マリーの部門だけでも最大2000ユーザーがOpenOffice.orgに乗り換えることになっていた。
マリーは1つの手段としてNovellのコンサルタントと契約し、チームに助言してもらった。アドバイスされた内容は、乗り換えが全ユーザーに与える影響を完全に把握するための適正評価の実施、文書の変換、既存のソフトとの相互運用性チェックなどだった。もう1つのアドバイスとして、すべての環境で同じ動作を保証するため、全ユーザーのWindows Service Packを完全に統一するというのもあった。しかし初期段階で実際に従ったアドバイスは、あったとしてもごくわずかだったとマリーは打ち明ける。上からは、OpenOffice.orgは簡単なプログラムだから誰でも簡単に使えるようになると言われており、事前準備はそれほど必要ないはずだった。
コンサルティングの終了に当たり、Novellは移行実施業務の受託と、全ユーザーをNovellのSUSE Linux Enterprise Desktop(SLED)に乗り換えさせることを提案してきた。しかし会社が想定していた以上の料金だったため、Novellの提案は断った。
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