15年分の文書の変換や研修を受けたがらないユーザーに手こずったが、現在はOpenOffice.orgをかなり満足のいくスピードで実行している。
デイブ・リチャーズ氏はある市役所のIT管理者だ。この市がOpenOffice.orgを使うようになって約6年。同氏はLinuxの伝道師的存在で、大型サーバ1台とかなり旧式のダム端末多数でエレガントかつ効率的なLinuxネットワークを運営し、OpenOffice.orgをかなり満足のいくスピードで実行している。
リチャーズ氏にとっての誇りは、同市が公式には一度もWindowsを使ったことがないことだ。同氏が勤め始めたのは1993年。当時はまだキャラクタベースだったWordPerfectをVAXとSCO UNIX上で使っていた。運用に問題はなく、まず初のグラフィカルバージョンであるWordPerfect 6へ、次いでX Window Systemで動作するWordPerfect 8へとアップグレードした。IT部門にとってはやりやすかった。UNIXネットワークは管理しやすくパワフルで、全員がWordPerfectを使っていたからだ。
90年代後半、WordPerfectはUNIXバージョンのサポートを打ち切った。同市はJavaバージョンのWordPerfectを試したが、これはスピードが遅過ぎた。さらに面倒なことには、ユーザーの一部が数少ないWindowsコンピュータで、CorelのスプレッドシートではなくExcelとPowerPointを使っていた。このため事態は複雑になった。OSの種類が多過ぎると一部のコンピュータはネットワークから外れ、さまざまなアプリケーションを多数サポートしなければならなくなるからだ。
同市はLinuxの運用を続け、サポートするオフィススイートは1つのみとすることを切望していた。そこでStarOfficeの評価を行ったが、特にサーバからシンクライアントへのリモート表示に関して問題があった。しかしその後OpenOffice.orgが発表され、開発スタイルがオープンソースだったため、市のIT担当者がOpenOffice.orgの開発者と密接に連携することができた。開発者らは、マルチワークステーション環境におけるパフォーマンス向上のためのフィックスを導入。市の職員と共同でWordPerfectのインポートフィルタにもかなり手を加えた。技術的に最も難しいのは古い文書の変換だった。
この時点でOpenOffice.orgは利用可能なソリューションだった。WordPerfect、Excel、PowerPointに匹敵し、マルチワークステーションのLinux環境に対応したアプリケーションという、優れたソリューションと思えるものがこれで見つかった。1年がかりのテストの後、同市は2003年、正式にOpenOffice.orgに乗り換えた。
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