グループウェア導入事例:INSUITE
ニッケンが解決したNotes移行の2大課題、業務に即したワークフローと膨大なDB移行
Notesを徹底的にカスタマイズして社内情報共有基盤を構築していたレンタルのニッケン。他社グループウェアとWebデータベースの組み合わせへのリプレースで、さらなるビジネスプロセスの効率化を目指す。
Notesベースのグループウェアシステムが運用の限界に
株式会社レンタルのニッケン(以下、ニッケン)は、1967年の創業以来、建設機械レンタルの分野でトップクラスのシェアを維持し続ける、業界のリーディングカンパニーの1社である。同社は早くからITの導入・活用に積極的に取り組んできた企業でもある。1976年の伝票発行システム構築に始まり、80年代にはIBM製のオフコンを大々的に導入し、日本全国に散らばる拠点を結ぶ分散オンラインシステムを構築した。さらに1992年には、このオフコンの機能を応用した社内メールシステムの運用にも乗り出している。
当然グループウェアに関しても、同社はかなり早い時期から利用を始めており、1999年には「IBM Lotus Notes/Domino」(以下、Notes)をベースにしたグループウェアシステムを構築している。このシステムは、Notesに電子稟議活用を含む大幅なカスタマイズを施し、同社の業務ニーズに沿った機能を大々的に作り込んだものだった。
しかし2008年ごろから、このシステムの運用にほころびが見え始めた。同社 管理本部の渋谷健太氏は、当時抱えていた事情について次のように述べる。
「あまりに多くの機能を盛り込みすぎたため、2008年ごろには1つのNotesデータベースの中に保管される文書数が100万件を超えてしまい、インデックスの管理機能が追い付かなくなってしまった」
その結果2008年には、メールシステムが突然ダウンしてしまったり、文書の検索に膨大な時間がかかってしまったりと、システムの不安定ぶりが顕著になってきた。もちろん、システムを改修して問題を解決する試みは何度も行われたが、大々的にカスタマイズを行ったことがネックとなり、根本的な解決は困難な状況だった。同社 管理本部 情報システム部 アプリケーションシステムチーム 秀丸太郎氏は、そのあたりの事情を次のように説明する。
「Notesアドレスが日本語表示に対応していなかったので、サードパーティー製の漢字アドレス帳を導入していたため、Notesで何か問題が発生してもIBMのサポートを受けられない状態だった。もちろん、Notes本体のバージョンアップもままならない。Notes自体は優れた製品だったし、カスタマイズ開発を担当したベンダーも一生懸命サポートしてくれたが、もう限界だと判断した」
Notes移行の2大課題をクリアした「INSUITE」と「ひびきSm@rtDB」
そこで同社は2009年から、Notesベースの現行システムに代わる次期グループウェア基盤の検討を開始した。パッケージに大幅なカスタマイズを施した現行システムの保守性に限界を感じていた同社では、次期システムはパッケージ製品、それもカスタマイズを加えずにデフォルト機能だけで極力ニーズを満たせる製品を採用するという方針を立てた。
早速市場に出回っているさまざまなグループウェア製品の調査を開始したが、その際にどうしても外せない要件が2つあったという。1つが、ワークフローの機能が充実していることだ。同社がそれまで運用してきたNotesベースのシステムでは、メールを応用したワークフロー機能を実装していたが、この仕組みには大きな問題があった。
「メールベースの仕組みなので、メールの宛先を変えてしまえば、本来は業務フローに含まれていない者にも簡単に業務情報を送れてしまう。また、回付中にメールの本文中に記入したコメントを、他の人間が簡単に改変できてしまう。こうした点は、内部統制上の問題点として指摘されており、早急に対応する必要があった」(渋谷氏)
もう1つの要件が、データベース移行の容易性だ。現行のNotesベースのシステムには100万件を超えるデータが保管されており、これを新システムにスムーズに移管できることも重要な要件として挙がっていた。
同社の情報システム部では、国内の主だったグループウェア製品をリストアップした上で、前記の要件を満たすものを徐々に絞り込んでいった。その結果、最終的に選んだのが、ドリーム・アーツのグループウェア「INSUITE」とWebデータベース「ひびきSm@rtDB」を組み合わせたソリューションだった。同製品を選ぶことになった決め手の1つは、ひびきSma@rtDBが持つWebデータベースとしての機能にあったと秀丸氏は言う。
「正直、グループウェア製品としての機能には、どの製品にも大差はないと感じた。しかし、当社では当時でも100万件以上ものデータをグループウェア基盤で管理しており、これら大量のデータを効率的に管理してWebからスムーズに扱うことができるWebデータベース機能に関しては、ひびきSm@rtDBに一日の長があると判断した」(秀丸氏)
こうしてINSUITEとひびきSm@rtDBの採用を決めた同社は、2009年4月から導入作業を開始。当初の方針通り、ソースコードレベルのカスタマイズ開発は一切行わず、製品がもともと備えるパラメータの設定だけに留めた。Notesからのデータ移行に関しては、データ移行用のアドオンプログラムにさらにカスタマイズを加えて対応。また外部システムとの連携インタフェースは、新たなアドオンプログラムを開発した。こうした開発作業は、パッケージ製品の開発元であるドリーム・アーツが中心となって行われた。
導入プロジェクトは、途中幾度かの中断を挟みながらも、おおむねスムーズに運んだ。当初予定していたより若干リリース時期は遅れてしまったものの、2010年2月22日に無事カットオーバー、この日から同社の新グループウェア基盤は本稼働を開始した。
リプレースにより運用管理の効率が大幅に向上
こうしてグループウェア基盤を刷新したことで、旧システムが抱えていた課題のほとんどが解決されたという。特にシステムトラブルが劇的に減ったことで、運用管理コストが目に見えて削減された。またINSUITEとひびきSm@rtDBは、ユーザーが自らポータル画面やコンテンツの内容を簡単に編集できるため、情報システム部門に掛かる負荷はより一層軽減されたという。
また、旧システムで性能劣化が激しかった文書検索処理も、新システムに切り替えた後は大幅にスループットが向上した。メールやアドレス帳、スケジュール表といった基本機能に関しても、何の問題もなく日々の業務の現場で活用が進んでいる。
現在では、INSUITEの大きな強みの1つであるポータル機能も、積極的に活用が進められている。社員が日々アクセスするホーム画面からは、全社レベルの通達や情報共有を目的とした「メインポータル」の他、個人用の情報を管理する「個人ポータル」、支店レベルの情報共有のための「支店ポータル」など、さまざまな種類のポータル画面にアクセスできるようになっている。
また、社長が全社員に向けてメッセージを発信するための専用ポータルも用意されている。その内容も、日記風のものから自社に関する雑学をクイズ形式で問うものなど、実にバラエティーに富んでいる。このように同社ではトップが自ら先頭に立ち、さまざまな工夫を凝らしながらポータル機能の積極活用を全社的に推進している。
ワークフローシステムの整備による業務効率化
しかし、最も顕著な導入効果は、ワークフロー機能で現れたという。前述したように、旧システムではNotesのメール機能を使って業務フローを運用していたため、メールの宛先を勝手に変えてしまうことによる業務の「寄り道」が多かった。その点、INSUITEによる新システムではワークフローの流れを「権限表」に基づいてシステムで自動生成させることにしたため、業務フローが極めてスピーディーに流れるようになったという。極端な例では、旧システムで数週間かかっていた稟議の業務フローが、新システムへの移行後はわずか3日間で完了したこともあったという。
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また、承認者のコメントを第三者が改変することもできなくなったので、コンプライアンス上の不安も解消された。さらには、監査に対応するための作業も大幅に効率化されたという。同社 情報システム部長 兼 企画・統括チームリーダー 春一大志氏は、次のように述べる。
「情報システム部では、システム運用作業の案件管理をINSUITE EnterpriseとひびきSm@rtDBによるワークフローで実装しているが、個々の作業や承認にひも付く資料や報告書をワークフローの画面から全て参照できるようにしている。かつては監査を受ける際、資料を方々からかき集めてこないと詳細な作業履歴が分からなかったが、新システムではこのような煩雑な作業が不要になり、大変助かっている」
同社では今後、このワークフロー機能の使い勝手をさらに高め、より積極的に業務に活用していく予定だという。現在は、そのためのパッケージ仕様の強化をドリーム・アーツと共に検討しているところだ。
「現状では、業務フローの次の行き先がエンドユーザーからは一切見えない仕様になっているが、これに不安を感じるユーザーも多く、事実システム導入直後には混乱もあった。また、複数の職務を兼任している社員は、どの職務の立場に立つかによって業務フローの行き先が変わってくるが、現状の仕様では1人の社員に複数の職務を割り当てることができない。これらの点についてドリーム・アーツに要望を挙げたところ、次回以降のバージョンアップ時に製品仕様に盛り込んでいただけるようだ」(渋谷氏)
ニッケンからのフィードバックを基にワークフロー機能を強化
こうしたニッケンからのフィードバックの内の幾つかは、既にSm@rtDBの将来のバージョンで実装されることが決まっているという。特に注目すべきは、企業で一般的に制定されている「職務権限基準表」を再現したマトリクス表でワークフローをデザインするという機能だ。
ニッケンでは業務フローの一覧を、「業務種別」と「承認者の職務」の2次元で構成されるマトリクス表で管理している。一方、INSUITEは他の多くのグループウェア製品と同様、フローチャート形式でワークフローを入力する仕様になっている。そのためシステム移行時には、マトリクス表に記された個々の業務フローの内容を1つひとつ手動でツールに入力しなくてはならず、かなりの工数を要したという。
「その後、ドリーム・アーツとのディスカッションの中で、ITの専門家でない管掌役員がITと異なる視点で、『申請者と決裁者を組織図の最短ルートで結ぶワークフローのルートを決めるだけのことではないか?』と口にしたところ、そのアイデアを高く評価していただき、製品仕様にも反映されることになった」(渋谷氏)
このような機能はニッケンのみならず、ある程度以上の規模の企業でグループウェアを運用する際には、大いに重宝する機能になりそうだ。このように同社では今後も、ドリーム・アーツと密接にコミュニケーションを取りながら新システムの改良を続け、その利用価値を高めていきたいとしている。
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