登場から10年、衰えないiSCSI SANのパフォーマンス(後)
1GbEでも十分なスループットを提供するiSCSI SANの先進機能
ファイバーチャネルや10GbEを用意しなくても、iSCSI SANのストレージ連携機能はパフォーマンス、運用コストの両面で顧客ニーズを満たすことが可能だ。採用企業の声を紹介する。
iSCSI SAN(Storage Area Network)が登場してから10年になる。10ギガビットイーサネット(10GbE)の普及とイーサネットストレージの機能強化により、大企業市場での採用も増えている。前編「10GbEとサーバ仮想化の普及が追い風となったiSCSI SAN」に続き、iSCSI SANの導入事例を紹介する。
FC SANからの移行で導入・保守コストを削減
ペンシルベニア州ステートカレッジの天気予報サービス会社AccuWeatherの技術ディレクター、クリストファー・パティ氏は2008年、DellがEqualLogicを買収した1カ月後に2基のPS5000アレイを導入した。AccuWeatherは、その後さらに4基のEqualLogicアレイを購入し、iSCSI SAN上におよそ50Tバイトの利用可能ストレージを持つ。
AccuWeatherは個別のプロジェクト用に購入したEMC Clariion、HP EVA Fibre Channelアレイ、そしてNASシステムをEqualLogicに統合した。同社は現在、VMwareとSQL Serverクラスタ向けにPS5000XV SAS、PS5000E、PS6000E SATAアレイを持っている。AccuWeatherはSASアレイ上でSQL Serverを実行し、仮想マシンと低パフォーマンスアプリケーションをSATA上で利用している。
パティ氏と同氏のチームは、EqualLogic上でストレージを管理、割り当てる方が簡単であることを知った。「われわれのストレージ管理者は同時にVMware管理者でもある。彼は何でも屋だ。われわれはストレージを素早く立ち上げ実行できる必要があった」
パティ氏によると、ファイバーチャネル(FC) SANからEqualLogicへの移行は、初期コストとサービスおよび保守コストの削減につながった。オリジナルのEqualLogicインストレーションは1時間もかからず終了し、メジャーアップグレードも外部コンサルタントの力を借りずに1日でできるという。
「Clariionのアップグレードでは、FLARE(ClariionのOS)をアップグレードするための専門知識が要求された」と同氏。「われわれはそれを恐れた。SANはすばらしいテクノロジーの1つだが、心配もあった。われわれにはダウンタイムが許されない。天気予報は世界中の顧客が常に待っている。土曜日だからといってオフラインになることはできない。われわれの仕事は9時から5時までではない」
パティ氏によると、AccuWeatherのストレージにとってはハイパフォーマンスよりもアップタイムの方が重要だという。同社には天気予報に必要な膨大な衛星データが保存される。それらのデータは、最新の情報によって更新されるまでの短時間の命だ。
「われわれのデータは1時間以上古くなるとほとんど価値がなくなる」と同氏。「われわれは高度なアップタイムが要求される。例えば大量のレーダーデータも、有効な時間はわずかに15分程度だ」
パフォーマンスという面では、iSCSIで同社のニーズは十分満たされる。
「8GbpsのFCは、われわれにとって必要以上のスループットだった」とパティ氏は語る。「現在、われわれは1Gbpsのスループットを4チャネル束ねて、4Gbpsのパフォーマンスを実現している」
iSCSI SANの先進的機能
この10年、iSCSI SANは幾つかのハイエンド機能を取り込んできた。HPは同社の新しいストレージ連携機能「Peer Motion」を「HP LeftHand」とハイエンドの「HP 3PAR」に組み込んだ。Peer Motionを利用すれば、顧客はアクティブボリュームをアレイ間で動的に移動できる。
ニュージーランドのインフラストラクチャホスティングプロバイダーvBridgeは、Peer Motionを用いて3カ所のデータセンターにあるLeftHandアレイ間でデータをやりとりしてストレージの調整を行う他、ダウンタイムなしでデータを移行している。
「顧客があるサービスから別のサービスへ移行したいと望めば、われわれはダウンタイムなしにストレージノードを移すことが可能だ」と説明するのは、vBridgeのディレクター、ハミシュ・ロイ氏だ。
ロイ氏によると、vBridgeはSANにFCや10GbEを用意しなくても、ストレージを効果的に管理しているという。
「われわれは1Gbpsで問題なくやっている。LeftHandの調整機能は、ノードを追加するたびに特別のスループットを提供してくれる」と同氏。「FCは価格がネックだったが、どのように調整するかについても心配だった。パフォーマンスの天井に突き当たったときが問題だ。LeftHandではパフォーマンスのスケーリングを高度に維持できる」
vBridgeでは全体で24基のLeftHandノード(P4500およびP4300の混合)を持ち、最大120Tバイトの利用可能キャパシティーを実現している。ロイ氏によると、そのキャパシティーの約半分が利用されているという。同社は2010年にサービス提供を開始したときからLeftHandを利用している。
「これまでのところ、計画、非計画を合わせて、ストレージのダウンタイムはゼロだ」とロイ氏は語る。
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