タレントマネジメント製品紹介【第5回】
ヨドバシカメラ、カルビーが採用 「Rosic」の日本的人材管理とは
「Rosic」が追求するのは日本企業に最適な人材管理だ。人材情報の可視化や分析で、組織全体のパフォーマンスの底上げを目指す。ヨドバシカメラやカルビーも採用する同ツールの特徴とは。
人材管理にかかわる全ての人の利用を想定
「Rosic(ロシック)人材マネジメントシステム」は、インフォテクノスコンサルティング(以下、インフォテクノス)が開発・提供する、純国産の人事システム。国産の人事システムというと、人事部門の業務効率化を目的とした昔ながらの人事・給与パッケージのイメージが強いかもしれないが、Rosic人材マネジメントシステムは当初から、人事部門に限らず経営層や現場マネジャーなど、企業内で人材マネジメントにかかわる全ての立場の人が活用できるシステムを指向している。
同製品は、アーキテクチャの面でも従来の人事パッケージ製品とは一線を画する。そのベース部分には「Rosic」というアプリケーション開発ミドルウェアが位置し、Rosic人材マネジメントシステムは、その上に構築されたパッケージソフトウェアの1つという位置付けだ。これにRosic上で稼働するオプションモジュールと、同じくRosic上で別途カスタマイズ開発したモジュールを加えることで、顧客のニーズに柔軟に対応するというのが、Rosic全体のコンセプトになっている。
こうしたアプローチを採用した理由について、インフォテクノス セールス・マーケティング事業部 奥野聡子氏は次のように説明する。
「人材マネジメントは、“人”という流動的な対象を扱うため、パッケージ製品だけではどうしても顧客ニーズに100%フィットしない。そのためRosic人材マネジメントシステムでは、基本機能をパッケージの形で提供した上で、さらに拡張機能やカスタマイズの柔軟性も提供し、より顧客のニーズに合致したシステムを目指している」
また同製品は、特にここ数年の間で急速にユーザーを増やしており、導入企業の規模も管理従業員数100人から2万人と広範に及ぶ。その中には、本田技術研究所(管理従業員数1万4000人)やヨドバシカメラ(同7000人)、カルビー(同3000人)といった、日本を代表する大手企業も数多く含まれている。こうした動向について、奥野氏は「日本企業における人事業務の在り方が変わってきた」と説明し、以下のように述べる。
「成果主義の導入や非正規雇用の増加、グローバル化といった環境の変化に伴い、人事の仕事そのものも旧来の単純な労務管理から、経営戦略の一部へと変わりつつある。そんな中、システムに求められる要件も、静的で均一な業務ルールへの対応から、より変化や独自性に柔軟に対応できることが求められるようになってきた」
まず組織ありきのタレントマネジメント
こうした新たな要件に応えるソリューションとして、今まさに注目を集めているのがタレントマネジメントであり、そういう意味ではRosic人材マネジメントシステムもまさにタレントマネジメント製品の1つだといえる。だが、奥野氏によれば同製品は他社のタレントマネジメント製品ともまた一線を画するという。
「タレントマネジメント製品の多くは海外ベンダーの手によるものだが、これらは企業にとって重要な“コア人材”を選抜して育成することに重点を置いている。しかし日本型組織は、少数のエリートが全体を引っ張っていくというよりは、組織全体で動いていくという考え方が根強く、必ずしもコア人材の考え方がマッチするとは限らない。そこでRosic人材マネジメントシステムでは、『まず初めに組織ありき』という考え方に基づいて各機能を設計している」
では、組織に重点を置き、かつ幅広い立場のユーザーが活用できるという同製品には、具体的どのような機能が備わっているのか。ここでは、その代表的なものを幾つか紹介してみたい。
まずは、経営層の立場から見た一例を挙げてみよう。例えば、Rosic人材マネジメントシステムを使えば、ある特定の組織に所属している人材を、性別や年齢、職種、職位、経年などさまざまな切り口で分析し、グラフィカルなチャートの形で分布図を表示できる。さらに、データのフィルタ条件を絞り込んでいけば、より細かい単位で人材配置の分布や傾向を見ていくことが可能だ。そして最終的には、従業員個々人のデータにまでドリルダウンしてたどり着くことができる。
こうした人材情報の可視化の在り方を、インフォテクノスでは「俯瞰から個へ」というキーワードで言い表している。
「日本企業の経営層は、個人単位ではなく、まずは組織単位で人材の状況や動きを見たいというニーズが高い。従って人事システムにも、組織や役職とひも付いた形で人材データを管理し、それを組織の切り口から可視化できる機能が求められる」(奥野氏)
人事異動をシミュレーション
Rosic人材マネジメントシステムには、単に人材データベースの内容を可視化するだけでなく、その内容をさまざまな切り口で統計・分析し、チャート形式で表すBI(ビジネスインテリジェンス)の機能があらかじめ実装されている。そのため、このように組織全体から個人へと、自社の組織構造に沿ってデータをドリルダウンしていきながら、人材情報を任意の切り口で切り取ることができるという。
もちろん、こうした可視化や分析の機能は、経営層だけでなく現場マネジャーにとっても有効だ。データの統計と分析の粒度を、全社レベルではなく自身が管理する組織やプロジェクトの単位に設定すれば、そこに所属する人材の情報を同様に、さまざまな角度から分析できる。
また、現場マネジャー向けの便利な機能の1つに、「ワークボード」がある。これは、ウィンドウ上に複数の従業員のアイコンを配置し、それらを自由に移動したりグルーピングできるというもので、チーム編成や昇格の検討を行う場での活用を想定している。その際、従業員個々人の属性データが見たくなったら、写真付きアイコンをクリックすることで、年齢、住所、所属といった基本属性から、これまでの異動歴や人事考課データなど、ありとあらゆるデータをその場で表示できる。また、その場で各従業員に対するコメントを記入できる機能も用意されている。
もう1つのユニークな機能が、「異動シミュレーション」だ。これは、システム上で仮想的な人員異動を行い、その結果出来上がる組織構成や人員構成を人材マップなどで確認できるというものだ。この機能は、ユーザーに非常に好評を博しているという。
「人事部の方にはもちろんのこと、日本企業では部門長が人事権を握っていることが多いため、部門長が自らこの機能を使って人事異動のシミュレーションを行っている」(奥野氏)
人事部門で使われることを想定した機能にも、さまざまなものが用意されている。これまで紹介してきたようなデータ可視化の機能を使って、人事情報をさまざまな角度から参照・分析できることはもちろんのこと、システムのオーナーとしてデータベースを設計・更新したり、ユーザーのアクセス権限を管理することも人事部門の重要な仕事の1つになる。Rosic人材マネジメントシステムには、管理ツールを通じてデータベースのスキーマや画面フォームを簡単に定義できる機能や、データベースに対するアクセス権限をユーザーごとに細かく設定できる機能が用意されている。
「こうしたシステムの基盤部分の開発には10年近くの歳月をかけており、その品質や使い勝手には自信を持っている。このベースの部分がしっかりできているからこそ、その上に載る可視化や分析の機能が極めて容易に構築できるようになっている」(奥野氏)
システム導入時の作業を開発元が支援
ワークフローエンジンを本体に内蔵している点も、Rosic人材マネジメントシステムの大きな特徴の1つだ。具体的には、人事評価や目標管理といった業務のワークフローをツールを使って定義し、かつ自動実行できる。ユーザーは、Webブラウザを通じてワークフローシステムにアクセスし、これを利用する。
「ワークフロー機能がRosic人材マネジメントシステム本体に内蔵されているため、組織変更などが生じた際、ワークフローのルーティングが変更後の組織構成に合致するよう、自動的に変更される。通常は外付けのワークフローが人事システムと一体化されていることのメリットは大きい」(奥野氏)
このワークフロー機能は、2012年8月に予定されているアップデートで機能強化される予定だ。またそれと同時に、新機能「人件費分析・シミュレーション」を実装したオプションモジュールもリリースされる予定。これは、Rosicに蓄積された従業員の属性データや給与データ、さらには会計システムのデータなどを使って人件費の過去の推移と現状を分析し、さらにはシミュレーションで将来予測までを行う機能だ。
インフォテクノスでは、今後もこうした製品機能の強化を行っていくとともに、コンサルティングや導入サポートの提供により顧客の人事ソリューションを全面的に支援していくという。Rosic人材マネジメントシステムの導入に当たっては、まずは同社のコンサルタントがユーザーのニーズや課題をヒアリングした上で、パッケージのフィット&ギャップを行う。その上で、カスタマイズ機能が必要となった場合には、やはり同社の技術者が自らRosicの開発プラットフォーム上でモジュール開発を行う。また、マスターデータベースの設計や実装なども、基本的には同社の技術者が直接手を動かして行うという。
同社では今後、先述したような日本企業における人事業務の変化を背景に、Rosic人材マネジメントシステムのビジネス規模をさらに拡大していきたいとしている。
「これまでは主に、企業の人事部門に向けてソリューションを訴求してきたが、今後は情報システム部門の方にもRosicに興味を持ってもらえるよう訴えかけていきたい。またこれからは、これまで経営企画部門が管理していた経営指標の一部を、人事部門が受け持つようなことが増えると思う。こういった部分にこそ、Rosic人材マネジメントシステムのソリューションが生きてくる」(奥野氏)
なお同製品の価格は、ライセンス費にサポートサービスとサーバハードウェアを合わせ、最小構成時で800万円からとなっている。
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