モバイルアプリとバックエンドをつなぐ
急激に盛り上がり始めた「MBaaS」、注目製品をまとめた
アプリケーションのモバイル対応が迫られる中、今後のモバイルアプリ開発で重要になるのがAPIとMBaaSだ。関連ベンダーの動きをまとめた。
モバイル端末の業務利用が増えていることから、IT部門には、モバイル端末対応の業務アプリケーションを開発・デプロイすることが求められている。しかし、そこで問題になり得るのがバックエンドとの統合だ。
多くのIT部門は、多大な投資をしてきた独SAP、米IBM、または米Oracleのシステムを破棄して入れ替えるのではなく、既存のデータストアを利用するクロスプラットフォームのモバイルアプリを開発することを望んでいる。このようなレガシーのデータベースとモバイルアプリケーションをつなぐ役割を果たすのがAPIだ。
調査会社の米Current Analysisのアナリスト、シャーロット・ダンラップ氏は、「バックエンドとの統合は、エンタープライズ開発者にとって最大の頭痛の種だ」と言う。「従業員へのモバイルアプリの提供は急務であり、それに伴いレガシーシステムのデータをモバイルから利用できるようにしなければならない。しかし、オンプレミスからクラウドまで、データはあちこちに分散している可能性が多いにある。そこでAPIが非常に重要になる」
そして問題があるところには必ず、「ソリューリョン」を提供するベンダーが程なく現れる。
ベンダーたちは現在、モバイルアプリケーション開発プラットフォーム(MADP)のリーダーの座を競い合っている。MADPには、通常、フロントエンドアプリケーション開発環境と、バックエンドとの統合サービスおよびAPI管理ツールが含まれる。
調査会社、米Forresterのシニアアナリスト、マイケル・フェースマイア氏は、「開発ツールは、急速に成熟しつつある。また、モバイルは次の新分野であり、現在MADPを開発しているベンダーは、次世代のアプリケーションライフサイクル管理のデファクトスタンダードになる可能性がある」と話す。
「究極の目標は会社全体のモバイル化であり、そのための有効な手段が、開発ツールとMobile Backend as a Service(MBaaS:サービスとしてのモバイルバックエンド)にAPIを管理する機能を追加することだ」(フェースマイア氏)
2013年8月にAPIプロバイダーの米Singlyを買収した、モバイルアプリケーション開発ベンダーの米Appceleratorは、このレースの先頭グループを形成するMADPベンダーの1社だ。他にも、米IBM(製品はWorklight、以下同)、米Adobe Systems(PhoneGap)、米Verivo Software(Akula)、米Xamarinがこのグループに入っており、いずれも米Gartnerが2013年8月に公開したMADPのマジッククワドラント(Magic Quadrant)において名前が上がっている。
業界ウオッチャーは、APIとMBaaSは、企業向けモバイルアプリ開発にとって非常に重要なため、今後半年~1年の間、関連ベンダー間の買収はさらに活発になるとみている。
「高度なモバイルプロジェクトが動き出せば、必然的に多くのIT運用ベンダーがアプリの開発とデプロイを集約する動きに巻き込まれる」と、前出Current Analysisのダンラップ氏は言う。「モバイルまたはクラウド事業の足場を築こうと、開発プラットフォーム企業がAPIやバックエンドサービス企業を買収し、さらに大規模な企業向けベンダーが開発プラットフォームを買収して、統合が進むのは当然の流れだろう」
この動きを裏付けるかのように、2012年は、米Intelが米Masharyを、米CA Technologiesが米Layer 7 Technologiesを、米Facebookが米Parseを、米AxwayがアイルランドのVordelを買収するなど、有力なMBaaSおよびAPIベンダーが買収されている。
AppceleratorのSingly買収の狙いはAPI管理
前述の通り、AppceleratorはSinglyを買収している(買収金額は非公表)が、他にも、2012年2月には、APIを介したバックエンドとの統合を手掛けるモバイル向けクラウドサービスプロバイダーの米Cocoafishを買収している。
Singlyの主力プラットフォームはDataFabricとAppFabricだ。DataFabricは、Yammer、Dropbox、Googleカレンダー、GitHubなど、約40種類のWebサービスに対応するAPIゲートウェイになる。また、DataFabricは、APIが更新されてもモバイルアプリの動作を止めないように、APIの抽象化レイヤーも提供する。AppFabricは、認証、友達検索、ソーシャル共有など一般的なWeb APIを制御する。
Singlyが扱うAPIのほとんどはコンシューマーアプリ向けのAPIではないが、iOS、AndroidおよびWebアプリケーション向けのソフトウェア開発キット(SDK)が提供されており、エンタープライズ開発者はこのSDKを利用して、独自のAPIを作成できる。
ただし、Appceleratorのノーラン・ライト最高技術責任者(CTO)によると、ストレージの同期、フィルタリング、重複排除、インテリジェントインデックスなど、Singlyのデータ管理機能はエンタープライズ分野で活用できるとAppceleratorでは考えているという。
「ファイアウォール内部のデータソース向けのSDKを作るつもりだ。これは、既存のシステムからのデータ取得を実現し、データがモバイル端末に送られる際のペイロードの最適化機能も備えた、1つのAPIになるだろう」(ノーラン氏)
ノーラン氏はさらに、最終的には課金制限、アクセス制御、セキュリティ、詳細な管理ポリシーなど、エンタープライズ向けの機能も追加する予定で、これらのエンタープライズ機能の暫定版は、2014年の第1四半期までに提供すると語った。
Singlyは、最大100万ユーザーまで使えるAppFabricの商用版を月額99ドルで販売している。DataFabricの価格は顧客の要件に応じて決まる。Singly製品はAppceleratorの既存のTitantiumプラットフォームに統合されるが、Appceleratorでは既存のSinglyユーザーの移行をサポートするとしている。Singlyブランドはゆくゆくは廃止される予定だ。
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