BYODも手軽に実現、ただし対応USBメモリが必要
WindowsがUSBメモリに入る「Windows To Go」は使えるか?
Windowsのデスクトップ環境をUSBメモリで持ち運べる「Windows To Go」。企業にとって非常に役に立つ機能だが、他の多くの機能と同様、万能ではない。利点と注意点をまとめた。
デスクトップ管理者は、「Windows To Go」を利用すると、これまでとは違ったやり方でエンドユーザーにデスクトップ環境を提供できる。だがその際、注意すべき点が幾つかある。
米Microsoftは没落してはいないし、近いうちに没落することもないだろう。このところイノベーションといえば米Appleが圧倒的だが、Appleは(設計上)頭からエンタープライズを無視してきた。一方のMicrosoftは、どうすれば働き方を根本的に変えられるかというコンセプトに黙々と取り組み、Windows To Goでそれを実現した。
私は、Windows To Goがあまり知られていなかった2012年初頭から扱ってきた。その間に学んだのは、Windows To Goは役に立つが、使いこなすには頭を使う必要があるということだ。
Windows To Goは基本的に、OSをそのままUSBメモリへ保存できる。「従業員が持ち出すどんなデバイスにも会社の環境を構築できる」とMicrosoftは宣伝している。つまり、組織によってはデスクトップ仮想化の代替としての利用が可能だ。計算方法にもよるが、クライアントシステムの購入が不要になることで、ハードウェア購入経費は平均で17~22%削減できる(少なくとも私が目にした数字や証言によれば)。
それでもデスクトップ仮想化管理者がWindows To Goを検討する場合、その仕組みやデメリットを理解しておく必要がある。
Windows To Goのメリット
Windows To Goは、まず何よりも役に立つ。Microsoftの管理ツール「System Center Configuration Manager」にある標準的なツールを使って、イメージをUSBメモリへ簡単に保存できる。そのUSBメモリを端末に接続すれば、会社で使っているデスクトップが出現する。望み通りのセキュリティ設定(HDD暗号化機能の「BitLocker」やVPN接続など)も含まれるので、端末ごとに手作業で設定する必要はない。
第2に遅延がない。管理者はこれまで、従業員による私物端末の業務利用(BYOD)に仮想デスクトップで対応しようとしてきた。だが特に国外でデスクトップ仮想化システムを運用している場合、入力遅延が生じて従業員のイライラが募ることもあった。Windows To Goは、こうした問題とは無縁だ。
第3のメリットとして、Windows To Goはほとんどの場合、さまざまなOSの搭載端末で利用できる。私が試したのはWindows 7とWindows 8の搭載端末だったので、Windows XP搭載端末でも利用できるかどうかは分からない。また、Linux、Androidの搭載端末やMacでも試してみた。Macではドライバに多少の限界もあったが、この問題の解決は簡単で、米Parallelsの製品などと組み合わせれば、トラブルから脱出できる。
注意すべき点
Windows To Goは、どんなUSBメモリでも利用できるわけではない。Microsoftは対応製品の一覧を公表しており、条件を満たした(大抵の場合、安定性が高い大容量の)USBメモリをオフィスでプロビジョニングする必要がある。リモートからプロビジョニングしようとは思わない方がいい。私たちが試した結果、これは全くあてにならなかった。
また、あらゆる端末に対応しているわけではないことも注意すべきだ。自分のハードウェア用のドライバがUSBメモリ内にあることを確認したい。大抵の場合、前もって端末に必要なドライバをダウンロードしておけば、この問題は回避できるが、ネットワークドライバとワイヤレスドライバには注意が必要だ。こうしたドライバがUSBメモリ内になければ、入り口のところで問題にぶつかる。
Windows To Goで最も頭が痛いのは、USBメモリが破損することもあるという点だろう。そうなった場合、私の知る限りではデータを復旧する術はない。ただ、自分のデータを確実にネットワーク端末やクラウドに保存しておくようエンドユーザーを教育すれば、この問題は回避できるかもしれない。
Windows To Goは、普及という点で未熟だが、前途は極めて有望だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは? -
製品資料
[株式会社みらい翻訳] 音声翻訳活用の課題を解決、“本当に使える”ツールの特徴とは? -
製品レビュー
[Wrike Japan 株式会社] 400店舗を支えるWalmart Canada、散在する情報やアナログな管理をどう変えた? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 年間100件超のDXプロジェクトを統合管理、JERAはどのように実現した? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] グローバルなクリエイティブ業務を合理化、エスティーローダーに学ぶ実践のコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
3
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
4
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
5
「複数AIの野放し」に歯止め Salesforceが6製品統合で挑むAI統制の覇権
-
6
「制御用組み込みPC」に関するアンケート
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
9
“AIコーディング”でどのツールを選ぶ? 「ChatGPT」「Claude」の真価
-
10
OpenAIが叫ぶ法規制の裏で 情シスが今すぐ固めるべきAI防衛策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
9
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー