Windows 8.1プレビュー版解説(前編)
XP、7ユーザーのための「Windows 8.1入門」
米Microsoftは、IT管理者がOSの次期アップグレード戦略を検討できるように、「Windows 8.1」のプレビューバージョンの公開を開始した。同社の担当者は「サービスパック感覚でアップグレード可能」と語る。
米TechTargetは、米MicrosoftのWindows Commercial担当ゼネラルマネジャー、アーウィン・ヴィッサー氏に話を聞く機会を得た。ヴィッサー氏はコンピュータサイエンスの学位を得て開発者としてキャリアをスタートさせ、現職に至る。今回は、2013年6月末に公表された、Windows 8.1のエンタープライズ向けの機能、Windows 8のセキュリティ、そしてOSアップデート周期の短期化に対応するIT専門家の支援方策について話を聞いた。
――「TechEd 2013」の基調講演で明らかになった問題の1つに、バージョンアップサイクルの短期化という新しい計画が挙げられます。企業のIT部門は、バージョンアップの短期化にどのように対応すべきなのでしょうか?
アーウィン・ヴィッサー氏(以下、ヴィッサー氏) Windows 8.1で当社が力を入れたことの1つとして、システムのアップグレードをより簡単にした点があります。大規模組織のシステム管理の昔からの方法といえば、新しいOSを展開する場合には通常、運用していた既存システムの多くをまず全て消去します。そして、ユーザー情報を抽出してから、システムをクリーンアップし、大規模組織用のインストールイメージをデバイス上に展開して、抽出しておいたユーザー情報をシステム上に戻します。
着実なプロセスですが、これでは、新しいOSの展開はとても負担が大きくなります。そこで当社の約束として、ユーザーの皆さまには今まで以上に簡単に、常に最新技術をご利用いただけるようにします。
Windows 8.1についてぜひアピールしたいことは、システム環境をクリーンにしてから新しいOSを丸ごとインストールし直すのではなく、更新部分の上書きだけにとどめてほしいということです。われわれはWindows 8.1へのOSアップデートのプロセスに自信を持っていますし、少なくともWindows 8.1へのアップグレードに関しては、ユーザーにとっての負担がずっと軽くなっています。
Windows 8.1ではアプリケーションとハードウェアの能力を引き出す機能が大幅に強化されていることに注目してください。Windows 8を利用されているユーザーがWindows 8.1にアップグレードすることは、比較的負担の少ないプロセスになっていると確信しています。OSのアップグレードというよりは、サービスパックを適用する感覚に近いでしょう。
――その方法が有効なのは、Windows 8からWindows 8.1へのアップグレードの場合に限られるのではないでしょうか。まだWindows 8にもアップグレードしていないユーザーはどうすればいいのでしょうか?
ヴィッサー氏 そういったユーザーの場合は、確かに従来の展開(方法)を取ります。Windows 7のユーザーであれば、先述の「旧OSを完全に消去してから新OSをクリーンインストール」の方式を採用していただくことになります。
――まずWindows 7を適用してからでないとWindows 8にアップグレードできないのでしょうか。それとも直接Windows 8.1へのアップグレードは可能なのですか?
ヴィッサー氏 現在も全組織でWindows XP(以下、XP)環境を利用していて、Windows 7へのアップグレードを開始していない顧客は、さほど多くはないと認識しています。世界中を探せば、そのようなユーザーがごく一部に存在するでしょうが、大部分のユーザーは1~2年前からXPから離れる作業に取り組んでいます。「XP離れ」のプロセスは既に始まっているのです。
当社から申し上げられるのは、XPのサポートを2014年4月で終了させることの優先度が高いため、サポート終了に間に合わなくなることのないように、XPからの移行は引き続き滞りなく進めていただきたい、ということです。Windows 7に移行中であれば、それを継続していただいて問題はありませんが、同時に、業務用タブレットなどの特殊なニーズがあるのであれば、Windows 8への移行もぜひ検討していただきたい。
Windows 7とWindows 8を同一のインフラストラクチャ上で併用することは案外容易に実現できます。他社のタブレットを使用している場合とは違い、管理用のインフラを個別に構築したり、それぞれの端末でしか使えないツールを購入したりする必要はありません。Windows 7のクライアントPC管理で使用しているテクノロジーは、Windows 8タブレットの管理やセキュリティにそのまま流用できます。
――サポートについてはどうでしょうか。OSが今後3カ月ごとや1年ごとに更新されるとなると、その動きにぴったり追随できない企業も出てくるでしょう。そうなると、今後サポートの問題が持ち上がるのではないでしょうか。サポートしているライセンスの範囲内で、最新テクノロジーと少し前の機能とのギャップが広がるのでは?
ヴィッサー氏 XPについては、確かにサポートの問題はあります。OSのアップグレードに関しては、サポートへの問い合わせ件数は減少傾向にあります。
ユーザーの皆さまには、使用するシステム基盤は1種類に限定するのが当然、という概念をそろそろ捨てることをお勧めします。5~6年前、あるいは10年前ならば、組織で利用するOSが決定されると、1つのOSイメージを、CEOから現場の作業員に至るまでの従業員全員が使用するのが当然でした。また、そのOSを組織全体に展開し、安定した運用ができるまで3年ぐらいかかるのが普通でした。
現在はイノベーションの波が次々に押し寄せて、新しいビジネスが立ち上がるスピードも速くなっています。この状況に対応するためには、利用するシステム基盤を組織内でセグメント化するといいでしょう。アップグレードの適用を以前よりもむしろ早めたい社員も出てくるでしょう。
セールス部門、戦略立案部門、マーケティング部門、経営幹部などの立場の方々は、2年ごとにシステムを更新したいと考えているかもしれません。その一方で、現場で作業に携わっている従業員にとっては、システムのアップグレードの必要性が薄く、別のサイクルで活動している場合もあるでしょう。
当社は現在、1つの組織の中で複数の環境を混在させて、そのような環境の管理を容易にするツールを利用するようにお勧めしています。そのようなツールは最近使いやすくなっていますし、アジャイル開発の比率を高めるとコストも削減できます。顧客の皆さまに向けたビジネスケースの確立について言えば、私が所属するセールス部門においてシステムアップグレードの適用を早めたことで、生産性が向上するという価値がありました。
――バージョンアップサイクルの短期化はMicrosoft製品全体にあてはまる流れなのでしょうか。それともWindows 8に限った話ですか?
ヴィッサー氏 当社の顧客企業に対して、イノベーション実現の加速化の要求が市場から確実にあると思います。Microsoftはその要求に応えています。
――Windows 8.1でのセキュリティ強化は、大規模組織のためのものなのでしょうか。企業のIT部門にWindows 8を早く適用するよう勧めているのは、セキュリティが理由ですか?
ヴィッサー氏 Windows 8について、現在のところ市場では当社が期待したほどの評価を受けていないことは残念です。そこで当社は、Windows 8.1で相当な投資をしました。
Microsoftはセキュリティを非常に重視しています。ユーザーの多くがセキュリティ対策(中には正しい方法でないかもしれない対策)を取ってきました。セキュリティ対策を怠ることがいかにビジネスに悪影響を及ぼすかについて、ユーザーの見通しが甘かったかもしれません。私たちはこれまで、国家レベルのスパイ活動からマルウェアに至るまでさまざまな種類の機密情報漏えい、そしてビジネスを守るためのセキュリティ対策について多くの事例を目にしてきました。
――そのセキュリティは全てのデバイスに対して、小型のものから大型のものまで適用されるのでしょうか。Windows 8およびWindows8.1、そしてそれ以降のバージョンで、搭載しているデバイスによってセキュリティ機能に差はあるのでしょうか?
ヴィッサー氏 当社はWindows 8の打開策として、セキュリティ面を強化しましたが、Windows自体のセキュリティをOS独自の問題としては考えていません。MicrosoftはWindowsをハードウェアと統合させた形で捉えています。そこで、OSのブート時にセキュアなアクセスを確保するための新しいファームウェアの標準であるUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)だけでなく、プラットフォーム全体のセキュリティを改善する方策としてTPM(Trusted Platform Module)チップも採用しています。
また指紋認証リーダーの改良など認証メカニズムの強化にも取り組んでいます。つい最近も冗談で、生体認証に遺体を使った場合にそれをどのように検出するか、という話をしていたところでした。映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』に(セキュリティを破るためにアクセス権限のある人物の指を切り落とす)場面がありました。最新の生体認証なら、あの方法ではセキュリティは破れません。まあ、自分のクライアントPCにアクセスするために指を切り落とすことはないと思いますが(笑)
今は軍需会社に問い合わせれば、認証コードなどのさまざまなセキュリティ方法など、何か対策を考えているでしょう。今回のリリースで、個人使用のデバイスについてMicrosoftはセキュリティ対策にどう取り組んでいるのか? Microsoftはでき得る全ての策を講じているのだろうか? 個人使用のデバイスを職場に持ち込んで業務データにアクセスしたい人がいれば、セキュリティをどう改善すればいいのか? といった質問が出てくるでしょう。
(Windows 8.1には)選択ワイプ機能もありますし、業務データと個人データを別々に管理できる方法もあります。個人使用のデバイスに多要素認証を強化する仮想スマートカードを組み込むこともできます。今は1要素認証ではセキュリティは不十分です。
さらに、Windows 8.1ではWorkplace Join機能を提供します。これは、デバイスを特定する機能で、個人用のデバイスに機密情報を送信する際には、送信先のデバイスをチェックします。インクリメンタルチェック(逐次検査)のメカニズムも備えています。以上がモバイルデバイスの利用を改善するためのシナリオです。
後編ではWindows 8.1のモバイル対応機能について詳しく聞く。
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Windows 8.1プレビュー版解説
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