15%のマルウェアが“素通り”
Windows 8で強化されたセキュリティは本当に強固か?
新しいセキュリティ機能が数多く実装されたWindows 8。ただし、安全性は完璧とはいえないようだ。Windows 8のセキュリティ機能を整理しつつ、脅威の実態を示す。
米Microsoftの新しいOS「Windows 8」のセキュリティ機能を検証する際、ITプロフェッショナルが主眼を置くのは、Windows 7と比べてどうかという点だ。
Microsoftは、Windows 8に新しいセキュリティ機能を幾つか追加した。だがマルウェア対策ソフトベンダーの報告によると、それでもまだWindows 8は、一般的なマルウェア群など、一部の攻撃に対して脆弱だ。
機械の設計や製造を手掛ける米Waltonen Engineeringのネットワーク管理者、ティム・ロビンソン氏は、「セキュリティはわれわれにとって、そしてセンシティブなデータを扱う者全てにとっての生命線だ」と話す。
米政府から多数の業務を請け負っているWaltonenのような企業には、特にそれが当てはまる。Windowsの脆弱性を1つでも悪用されれば、貴重な契約を失いかねないとロビンソン氏は言う。
Windowsの新しいセキュリティ機能
Windows 8で強化されたセキュリティ機能の1つ「Secure Boot」は、ブートローダーとrootkit攻撃の防止を支援する(参考:Windows 8の「Secure Boot」を批判するLinux陣営)。さらに、ブートプロセスで正規のコードよりも前にウイルスがロードされるのを防ぐ「早期起動マルウェア対策」もサポートした。Secure Bootは、Windows 8でBIOSファームウェアに入れ替わった「Unified Extensible Firmware Interface」の仕様を活用している。
Windows 8にはこの他、Microsoftのウイルス対策エンジンが、セキュリティパッケージ「Windows Defender」の一部として組み込まれている。また、「アドレス空間配置のランダム化」「データ実行防止」など、Windowsの既存のセキュリティ機能も強化された。こうした技術には、メモリのどこに脆弱なシステムコードがあるか推定されるのを防ぐ狙いがある。
こうした技術により、攻撃者がWindows 7を制御するために使っていたメモリ悪用の手口の多くは、Windows 8に対しては通用しなくなるとMicrosoftは解説する。
Windowsの脆弱性はなくならない
こうした新しいセキュリティ機能があっても、Windows 8の安全性は完璧とはいえない。2012年10月下旬のWindows 8リリースから数日後、トレンドマイクロは、脆弱性を悪用する2種類のマルウェアを発見した。
この中には、マルウェア対策プログラムを装ってユーザーから偽ツールの料金をだまし取ろうとする、いわゆる“スケアウェア”も含まれていた。仏セキュリティ企業VUPEN Securityも2012年11月初旬に、Windows 8の脆弱性を複数発見している。
ルーマニアのセキュリティ企業Bitdefenderの2012年11月中旬の報告によれば、Windows Defenderを有効にしたWindows 8は、上位100種類のマルウェア群のうち85%の実行を阻止できた。翻せば、15%は阻止できなかったということだ。米Symantecの実験でも同じような結果が出ている。
SymantecでNortonマルウェア対策製品の製品管理上級ディレクターを務めるジェリー・イーガン氏は、「MicrosoftはWindows 8でセキュリティ水準を引き上げはしたが、無敵には程遠い」と話す。
セキュリティベンダーは、こうした調査結果を自社製品の宣伝のために使うこともある。それでもIT部門が、こうした結果を割り引いて考えても構わないというわけではない。
米調査会社Forrester Researchのデービッド・ジョンソン氏は言う。「(ベンダーは)抜け穴を見つけようとしている。もちろんベンダー1社の実験ではあるが、結果が正しければ、懸念はある」
Microsoftは2012年11月、Windows 8向けに初のパッチを公開した。同社にコメントを求めたところ、「セキュリティと保護対策技術の継続的な向上のため、引き続き重点的に投資する」との返答だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[TXOne Networks Japan合同会社] 沖電気工業に学ぶ、OT環境の「リスク可視化」から始めるセキュリティ対策 -
製品資料
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] 「SCS評価制度」への対応が急務に、現場に立ちはだかる“壁”をどう乗り越える -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント -
事例
[ファインディ株式会社] 事例:開発内製化と生成AI活用を阻む壁、「現場と経営層の認識のズレ」をなくす方法 -
製品資料
[株式会社ネットワールド] 中小企業も狙われる時代 コストと運用負荷を抑えてセキュリティを強化するには
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
4
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
5
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
6
AIエージェントで「ERPの魔改造」復活の懸念 せっかくのクリーンコアが崩壊
-
7
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
8
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
9
SAPクラウド移行の「想定外」とは? 移行済み企業が明かす最大の壁
-
10
増えすぎたAIエージェントが野良化 幹部の36%がインシデント発生時に隠したいと回答
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
4
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
5
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
-
8
SASE選定は「見極め力」で大きな差――本当に必要な製品を選ぶための6つの視点
-
9
Wi-Fi 7はまだ導入しなくてよい? AI時代の企業ネットワーク戦略、次の一手は
-
10
脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー