Microsoftは合法だとしながらもサポートしない方針
Microsoftのライセンス規約内でIE 6をWindows 7で利用する方法
Windows 7上でIE 6アプリケーションのテストを簡単に実行したい開発者などに向けた、Microsoftが公表する正規の手段とは別の方法が存在する。
米Microsoftは、アプリケーション仮想化ツールを利用したWindows 7上でのInternet Explorer(IE) の仮想化(IE 6などのレガシーバージョンの実行)を認めておらず、ユーザーにMicrosoft Enterprise Desktop Virtualization(以下、MED-V)またはターミナルサービスを使用するように求めている。しかし、一部の企業は、Windows 7上でIE 6の実行を可能にする簡単で合法的な手段を探し続けている。
そこでビジネスチャンスを見いだしたMicrosoftの元幹部3人と元開発者何人かが、2010年にBrowsiumという会社を立ち上げた。同社は2011年3月、Microsoftのライセンス規約に違反することなく、IE 6をWindows 7で実行可能にするソフトウェアをリリースした。
これは「UniBrows」と呼ばれるIEのアドオンで、Browsium社独自のコードを使用して、IE 6のレンダリングエンジンをIE 8またはIE 9のタブ内で実行する製品だ。同社取締役のゲイリー・シェア氏の説明によると、UniBrowsは複数のバージョンのIEを実行するわけでもなく、Webブラウザのエンジンを再頒布するわけでもないのでMicrosoftのライセンスに違反しないという。
「別のエンジンに切り替えているだけで、これはMicrosoft自体の“互換表示”機能の仕組みと同じだ。同じ技術に対して別のアプローチをとっているだけだ」とシェア氏は説明する。
長年にわたりMicrosoftのIE製品グループを指揮していたシェア氏の話では、MicrosoftはUniBrowsの適法性を調べ、ライセンスに違反していないことは認めたが、サポートはしないという。
Microsoftでは、Windows XPを仮想マシンとして実行するMED-Vを使用するか、ターミナルサーバを実行してリモートアクセスによりIE 6を利用することを、Windows 7でIE 6アプリケーションを実行する正規の手段としている。しかし米Gartnerのアナリスト、マイケル・シルバー氏は、この2つの方法は企業にとって理想的な方法ではないという。「どちらの場合も、該当するPCごとに追加でOSインスタンスがまるまる1つ必要になる。自社ネットワーク上で管理、セキュリティ確保、サポートが必要なWindowsインスタンス数が2倍に増えるのを歓迎する企業はまずない」と同氏は指摘する。
以前、米Spoonから、IE 6アプリケーションをWindows 7とIE 8を使用して簡単にテストできるサービスが提供されていたことがある。しかし、WindowsからIEを抽象化するのはライセンス規約に違反するとして、MicrosoftによってこのIE 6ストリーミングは廃止に追い込まれた。当然のことながら、このツールを使用できなくなって途方に暮れたSpoonユーザーは激怒した。
Microsoftが認めるIE 6のWindows 7での実行方法
BrowsiumのUniBrowsは技術的には合法だが、Microsoftは自社製品の使用を求める電子メールを顧客に送っている。
「長い目で見て、より安全で管理しやすい環境が得られるため、アプリケーションを(上位バージョンに合わせて)修正することを推奨する。一時的にアプリケーションの互換性を確保する必要がある場合は、MED-V、リモートデスクトップサービス(RDS)、ターミナルサービスなど、弊社承認のソリューションをご利用いただきたい。Windowsの1インスタンス上で、IEの複数のバージョンまたは一部のコンポーネントのみを実行するソリューションはサポートされない」
他には、Citrix XenAppを使用してリモートでIE 6をユーザーに提供する方法もある。この方法では、IE 6はリモートデスクトップサービスにホストされ、XenAppを使用して提供される。XenAppではOSをIEから分離しないため、完全にサポートされる。同様に、WindowsとIEの連係を維持する他の製品(米Liquidware LabsのProfile Unityなど)もサポートされる。
しかし、Microsoftユーザーは、もっと簡単なツールでIEの互換性の問題を解決できることを知っている。実際、多くのITプロは、規約の解釈を拡大して、VMware ThinAppなどの仮想化ソフトウェアを使ってIEを仮想化し続けている。
シェア氏は「IE 6を実行するためだけに仮想化を使用するのは、大きなハンマーで卵を割るようなものだ」から「実用的ではない」と、ユーザーの不満に理解を示す。
Gartnerのシルバー氏は、MicrosoftがUniBrowsをサポートしなくても、IE 6アプリケーションをWindows 7で“軽い負荷で”一時的に実行できる方法が必要な企業は検討する価値があると話す。
「MicrosoftがBrowsiumやアプリケーション仮想化ベンダーのソリューションをサポートすることはないだろう。しかし、同社はWindows 7への移行の助けになる製品は支持すべきだと思う」とシルバー氏は示唆する。
Browsiumがライセンスに違反しない仕組み
BrowsiumのUniBrowsは、IEの複数のバージョンを実行しているわけでも、IEエンジンを再頒布しているわけでもないので、Microsoftのライセンス規約に違反しない。
UniBrowsの仕組みはこうだ。初めてUniBrowsをインストールすると、クライアント準備ツールがIE6のレンダリングエージェントと併せて起動する。次に、MicrosoftのダウンロードセンターからIE6のコンポーネントをダウンロードすると、UniBrowsによってそれらのコンポーネントがパッケージされる。
UniBrowsがインストールされると、IE 6タブで実行するアプリケーションについてのポリシーを設定できる。
また、UniBrowsの管理コンソールから、イントラネットなどのWebアプリケーションを正常に「フリーズ(停止)」でき、それ以降は、IE 6を使用するアプリケーションしか実行されなくなる。さらに、古いバージョンのJavaやFlash ActiveXコントロールを保存して、特定のアプリケーションをIE 6のタブで実行することもできる。
シェア氏によると、Windows XPでIE 6とFlash 9を使用する場合は問題なく実行できてもFlash 10.2では実行できないアプリケーションがある場合、パラメータを設定して、そのアプリケーションが適切な環境でのみ実行されるようにすることもできるという。その場合、エンドユーザーがIE 6アプリケーションにアクセスすると、IE 8またはIE 9と共に、そのアプリケーションを実行するIE 6タブが開かれる。
UniBrowsは、基本ライセンス料と保守費用が合わせて5000ドル、年間1シート当たり5ドルが必要だ(サポート料は別)。
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