購入せず開発へ
「ソフトウェアスイート」の購入は時代遅れなのか?
ITのコンシューマライゼーションにより、企業はアプリケーション戦略の再考を余儀なくされている。求められるのは、ユーザビリティが高く、変化に対応しやすいアプリケーションだ。
2013年11月初旬にニューヨークで開催されたフォーラム「Consumerization of IT in the Enterprise(企業におけるITのコンシューマライゼーション)」(以下、CITE)のスピーカーと参加者は、「組織は大手ベンダーから一体形のソフトウェアを買うしかなく、従業員がそれを使うしかなかった日々は終わった」と、口をそろえる。今では、エンタープライズアプリケーションは、ユーザーのモバイルアプリからヒントを得て、幾つかの、しかし非常によくできたユーザーフレンドリーなインタフェースから実行できる機能のみを提供する形態にシフトしている。
なぜか? 会社が支給したアプリケーションが期待に沿わなければ、従業員は代わりのアプリケーションを見つけられるからだ。
「アプリケーションに求められるデザインに関しては、非常に高いスタンダードが確立されている」と話すのは、製薬会社の仏Sanofiで、アプリケーションデザインとモバイル担当ディレクターを務めるサルマド・サリム氏だ。
変わりゆくエンタープライズアプリケーション戦略の様相
米Dow Jonesのステファン・オルバンCIOは、このCITEフォーラムの基調講演において、同社の変わりゆくエンタープライズアプリケーション戦略を紹介した。以前は、例えば、経理部がアプリケーションを必要とした場合、独SAPや米Sybaseなど大手ベンダーが提供する製品を調べた。しかし、現在では、解決が必要な具体的な作業は何かを従業員に尋ね、それを踏まえて、社内の開発者がより有効な形でそのニーズを解決できないかを検討するという。
この“購入せず開発する”アプローチは、他にもメリットがありそうだ。米北東部の金融機関のIT担当者によると、製品の評価、RFP(提案依頼書)の作成、ベンダーとの交渉につぎ込む労力を他に回すことができるとし、次のようにコメントしている。
「問題そのものに集中する時間を確保できる」
しかし、このような特定の機能に特化したエンタープライズアプリケーションを作成するには、開発戦略とプロセスを変える必要があるだろう。米AppleのApp Storeや米GoogleのGoogle Playが提供するアプリに慣れた従業員が、迅速なイノベーションと速やかな修正を求めるようになったことで、長期にわたる更新サイクルに従い、リリースごとに完璧を目指して躍起になる日々は終わりを告げたかもしれない。
Dow Jonesではアプリがひとたび完成したら、「そのアプリは、恐らく永遠に手を入れるもの」になるとオルバン氏は語る。
場合によっては、一般に提供されているアプリの中から各自のニーズに最適なアプリを選ぶよう、従業員に任せることもできる。リモートアクセスソフトウェアベンダー米LogMeInの製品マーケティング担当シニアディレクター、エリック・ビセグリア氏は、その方法を次のように説明する。「最初は複数のグループに分かれて、異なるアプリを使って同じ作業を実行してみる。しかし、最終的には、ほとんどのユーザーにとって最も使いやすいアプリ1つを標準として決める」
ビセグリア氏によると、「従業員の間には、そのような自由が与えられることを求める気持ちがある」という。
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