【連載コラム】医療ITの現場から
2014年度診療報酬改定で診療所のデジタル化が加速する
いよいよ間近に迫った2014年度診療報酬改定。診療所の経営に影響を与えると予想される改定項目の中から、特にIT化で注目すべきポイントを解説する。
2014年1月29日に開催された「中央社会保険医療協議会 総会」(中医協)では、平成26年(2014年)度診療報酬改定の全貌が明らかになりました。今回の改定では消費税増税と時期が重なることを受けて消費税引き上げ対応分が盛り込まれていますが、その部分を除くと実質マイナス改定となります。診療所の経営環境が厳しくなることが予想される中、今後はアナログからデジタルへの移行がより重要になると考えます。
特に今回の改定の中で、診療所に大きな影響を与えると予想されるのは以下6項目です。
診療所関連で注目すべき個別改定項目とは?
- 消費税率8%への引き上げに伴う対応 初診料、再診料の引上げ
- 主治医機能の評価 地域包括診療料、地域包括診療加算の新設
- 在宅医療の促進 機能強化型在宅療養支援診療所の評価、在宅患者共同診療料の新設、在宅時医学総合管理料の見直し、訪問診療料の要件の厳格化、機能強化型訪問看護療養費の新設
- 維持期のリハビリテーションの見直し 維持期リハビリテーションの見直し、介護保険リハビリテーション移行支援料の新設
- 画像のデジタル化の推進 眼底カメラ撮影の見直し、電子画像管理加算の算定要件の見直し
- 明細書無料発行の推進
今回の改定では、診療所が「かかりつけ医(主治医)」として、病院や介護への橋渡しを行う役割を担うことを明確に位置付けるとともに、デジタル化を進めることで医療の質と患者満足度の向上を図ることが期待されていることが分かります。
本稿では上記6項目のうち、デジタル化に関係する(5)(6)について解説します。
画像のデジタル化の推進:新たな画像診断料の点数区分
画像診断料で新たな区分が設定される
「眼底カメラ撮影」は、新たな機器の開発や撮影法の登場などにより技術進歩が著しい状況にあります。今回の改定では「診断や治療の質向上に資するイノベーションを適切に評価する」という観点から、「アナログ撮影料」「デジタル撮影料」の2種類の点数区分が設定され、報酬点数に差が付くようになります。この区分設定によって、眼底カメラのアナログ機器からデジタル機器への買い替えが進むと予想されます。
電子画像管理加算の対象範囲にも変化
今回の改定では、「電子画像管理加算」の対象はデジタル撮影した画像であり、「アナログ撮影した画像をデジタル化処理して管理・保存した場合は算定対象にはならない」ことが明確にされました。これにより、アナログフィルムをスキャナなどで読み込み、デジタル化する場合でも点数加算ができなくなります。そのため、CR(Computed Radiography)方式やDR(Digital Radiography)方式のデジタルX線撮影装置への買い替えが進むことになるでしょう。
このように画像分野ではデジタルとアナログの点数差がはっきりと付いたことで、政府のデジタル化推進の施策が明確になっていることが分かります。デジタル撮影を取り入れることで医療の質の向上、患者の待ち時間短縮などの効果が高く評価されていると考えられます。
明細書無料発行の推進:レセコンの買い替えや無料発行の対象機関が拡大
前回(2012年度)の改定を受け、電子レセプト請求の義務付け対象となる400床以上の保険医療機関、保険薬局では2014年4月から明細書を無料で発行することが義務付けられています。昨今の電子レセプト請求の普及状況を考慮して、その範囲が拡大されることになります。400床未満の病院でも2015年3月末までに無料発行対応の必要があることに加えて、診療所においても明細書発行機能がないレセプトコンピュータ(レセコン)を使用する場合などの「正当な理由」に該当する場合は、その内容を厚生局に届け出ることになりました。その影響を受けて、レセコンの買い替えが進むと予想されます。
社会保険診療報酬支払基金の調査(平成25年12月請求分)によると、電子レセプト請求の普及状況(医療機関ベース)は、病院では400床以上で99.6%、400床未満で99.0%となるなど普及がほぼ完了しており、診療所の導入率も85.5%となっています。この流れを受けて今後、明細書発行の義務化範囲は全医療機関に広がると考えられます。
レセプトコンピュータの導入、そして請求データのデジタル化を進めることで、請求事務の効率化が大幅に図れるとともに、最近ではレセプトのチェック処理もシステム化が進んでおり、請求自体の精度の向上にも一役買っています。
診療所にとってデジタル化を進めることは、投資を伴うことであり、慎重に考える必要はあります。一方、慎重になりすぎては機会を逸することにもつながります。医療機関の経営においては、政府の意図をくむことも経営戦略の1つであり、より迅速な対応が求められているといえるでしょう。
著者紹介
大西大輔(おおにし だいすけ) メディキャスト株式会社 メディプラザ統括マネージャー
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年日本経営入社。2002年に医療機関の“選ぶ”を支援する展示場「メディプラザ」の1号店を東京(神田)に立ち上げ、その後2003年にメディプラザ大阪、2005年にメディプラザ福岡を順次開設。2007年より東京・大阪・福岡の3拠点を統括する統括マネージャーに就任。専門の医療IT分野については、医師会、保険医協会などの公的団体を中心にセミナー講師を多数実施。
【関連サイト】
ITを活用した経営改善・業務効率化が実現できるショールーム「メディプラザ」
医師の右腕を育成する「電子カルテ+クラーク養成講座」
医療機関のための製品導入事例紹介サイト「事例Plaza」
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