クラウドサービスを安全に利用できる仕組みを構築
従業員が仕事でDropboxを利用? 管理者が取った意外な行動とは
従業員が自分の「Dropbox」や「Google Drive」のアカウントを業務でも使うことが大きな問題になりつつある。従業員が社外とのデータ共有にDropboxを使っていることを知った企業のある管理者が取った行動を紹介しよう。
IT管理者は現在、モバイルコンテンツ管理、ファイル共有、クラウドストレージに多様なアプローチを採用しており、1つで全てをこなせるような万能な方法はないのが現状だ。
企業向けのモバイルソリューションとしては、例えば、米Citrix Systemsは「ShareFile」を提供し、米VMwareが最近買収した米AirWatchは「Secure Content Locker」を提供している。米Good Technologyは2012年に米Copiunを買収して製品ラインアップにモバイルファイル共有機能を追加しており、競合のEMMベンダーである米MobileIronはMCMソリューション「Docs@Work」を提供し、「AppConnect」プラットフォームで多くのアプリ開発者と提携している。
「だが、デバイスやアプリケーションやサービスの管理、コンテンツ、コラボレーションなど、エンタープライズモバイル管理のあらゆる側面をカバーしている完全な製品となると、まだどのベンダーからも提供されていない」と、米VDC Research Groupの上級モバイルアナリスト、エリック・クライン氏は指摘する。
「今後はこうした各種の機能を統合してシームレスに連係させることが、本当に重要となる。正直なところ、まだどのベンダーもその域には達していない」と、同氏は続ける。
米Enterprise Strategy Groupの上級アナリスト、テリ・マクルーア氏によれば、多くの場合、エンタープライズモバイル管理(EMM)ベンダーは既に企業の技術責任者やセキュリティ責任者とつながりがあるので、モバイルコンテンツ管理(MCM)機能を追加で提供するのは難しいことではない。
「だが、ただ簡単という理由だけで従業員が自分の『Dropbox』や『Google Drive』のアカウントを使い続けることが、大きな問題になりつつある」と、同氏は語る。
AirWatchの「Secure Content Locker」はモバイルライブラリを提供
AirWatchはMCMソリューション「Secure Content Locker」によって、ファイル共有やコンテンツ管理分野の競合他社から一歩抜きん出ることができるかもしれない。米テキサス州の保守製品流通会社でシステムアナリストを務めるロバート・デボー氏が同製品に注目したのは、デバイス管理とコンテンツ管理の両方の機能を総合的に備えていたからだという。
「Secure Content Lockerは、われわれが営業チームに提供している全情報のモバイルライブラリとしての役割を果たす」と、デボー氏は語る。
デボー氏の会社では、Secure Content Lockerを使うことで、AirWatchが提供するSaaS型モバイルデバイス管理(MDM)プラットフォームにデバイスを迅速に展開できるだけでなく、ユーザーはIT部門に依頼せずに文書を公開できるという。
「Secure Content Lockerへのログイン時にはオフラインかオンラインかを選択でき、自分のデバイス上の文書が更新されていれば、その旨が通知される。私には極めて価値のある機能だ」と、デボー氏は語る。
AirWatchのアラン・ダビエール会長によれば、AirWatchがVMwareの傘下に入ったことは、Secure Content Lockerなどのクラウドサービスのコスト削減につながるはずという。「コスト効率の高い製品を販売することで、AirWatchはDropboxやBoxに対する競争力を維持できる」と、同氏は語る。
AirWatchのSecure Content Lockerには「View」と「Collaborate」の2バージョンがある。Viewの料金はデバイス1台当たり月額1ドル50セントで、初期費用として別途20ドルが掛かる。Collaborateの料金はデバイス1台当たり月額4ドルで、初期費用は50ドル。比較として、Boxの「Box for Business」とDropboxの「Dropbox for Business」はいずれも1ユーザー当たり月額15ドル、Boxの「Box for Enterprise」は1ユーザー当たり月額35ドルで提供されている。
AcronisのMCMソリューションはバックアップ以上の価値を提供
MCMソリューションを提供しているのは、EMMベンダーだけではない。
世界的な包装梱包資材製造会社である米Selig Groupで欧州IT部門の責任者を務めるダレン・ホーク氏によれば、同社はデバイス間のファイル共有とコンテンツ管理のためのセキュアなプラットフォームへの移行を検討していたという。
2年ほど前、より完全なITインフラの実装に着手したホーク氏は、従業員が世界中の相手とのデータ共有にDropboxを使っていることを知り、「パニックに陥った」という。
「ユーザーのデータを管理、制御しながら、なおかつ、ユーザーが自分のデータに確実にアクセスできるようにするのは、絶え間ない戦いだ」と、同氏は語る。
ホーク氏が選んだのは、米Acronisの製品だった。Acronisは最近、MCM製品「Acronis Access」をアップデートしており、最新版には同社の既存のファイル共有ソリューション「activEcho」と、モバイルデバイス間のファイル共有を可能にするモバイルファイル管理ソリューション「mobilEcho」が統合されている。
Selig GroupがactivEchoを購入した際(activEchoにはmobilEchoの無料版が含まれていた)、同社は既にバックアップにAcronisのソリューションを使用していた。ホーク氏によれば、同社はグローバルなファイル共有とコラボレーションにAcronisのソリューションを使用しており、販売スタッフは海外出張時にAcronisのソリューションを使ってデータを同期化し、ユーザーはコンテナコンポーネントを使って仕事のデータと個人のデータを分けることができているという。
「当社のIT部門には限られた数のスタッフしかいない。私には、自分で面倒をみなければならない製品を導入する余裕はない。ユーザーからもAcronisに対する不満は一切上がっていない」と、ホーク氏は語る。
Acronisはまだデバイス管理機能にはそれほど力を入れていないが、mobilEchoはコンテナの他にも、リモートワイプ機能など、幾つかMDMライクな機能を備えている。またAcronis Accessは、主要なEMMプラットフォームであるGood Technologyの「Good Dynamics」とMobileIronの「AppConnect」と直接統合されている。Acronisの製品管理担当ディレクター、ブライアン・ウルマー氏によれば、同社はGood Dynamicsのファイル暗号化とポリシー機能を組み込んだバージョンのモバイルアプリも提供しているという。
Acronis Accessはユーザー数に基づき、サブスクリプション方式か無期限ライセンス方式で利用できる。サブスクリプションモデルは1000ユーザーまでは1ユーザー当たり年間50ドルで利用でき、ユーザー数がそれ以上の場合は料金が変わる。現在、21日間の無料トライアルも提供されている。
コンテンツ管理とファイル共有には、他にも米Accellionや米AppSense、米WatchDox、米Soonr、米FilesAnywhere、米Biscom、米Novellなど、多くの企業が取り組んでいる。
nCrypted Cloudで既存のファイル共有サービスを安全に利用する
アプリケーションをラップして、コンシューマー向けファイル共有サービスのセキュリティを確保するという方法もある。米nCrypted Cloudがまさにこうした機能を備えた製品を開発し、無料版の他、最低契約数が25ユーザーで月額1ユーザー当たり10ドルで利用できるエンタープライズ版を提供している。
nCrypted Cloudのソフトウェアはゼロ知識証明を利用した独自の暗号技術と256ビットAESの暗号化技術を使用し、DropboxやGoogle Drive、「Microsoft OneDrive」といったクラウドストレージサービスのセキュリティを確保する。
米大学の学術研究者であるキャロライン・クオ氏にとっては、無料版もエンタープライズ版もどちらも有用だという。同氏のチームは機密扱いとなる健康情報の厳しいセキュリティガイドラインに従わなければならないが、予算が限られていることから、nCrypted Cloudを使ってセキュリティを確保した上でDropboxでデータを共有している。
クオ氏はnCrypted Cloudのセキュリティとアクセシビリティには満足しているが、「Dropboxに依存していることによるマイナスの側面もある」という。
「Dropboxの容量を増やすために、私は多くの時間を費やし、同僚をDropboxに招待している。何かプロジェクトに取り組んでいるときに、容量が制限されるのは困るからだ」と、同氏は語る。
前出Enterprise Strategy Groupのマクルーア氏によれば、アプリケーションをラップした上でDropboxを利用するというやり方には、ユーザーの私物端末を管理する場合と同様の問題があるという。
「『Dropboxのアカウントには家族写真や個人資産に関する書類も置いてあるから、会社には管理されたくない』という反発が出るはずだ。私だって、会社に自分のDropboxアカウントを管理されるのはごめんだ」と、マクルーア氏は語る。
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