駐車場と情報と販促活動を結ぶと何が起こる?
思いもよらないモノとモノがつながる “コネクテッドシティ”とは?
あらゆるモノがつながる「IoE」の世界では、都市や行政機関の仕組みが大きく変わる。地方自治体や教育機関などの最新事例から、さまざまな先進的な取り組みを紹介する。
「Internet of Everything」(あらゆるモノのインターネット:IoE)で大きな賭けに出た米Cisco Systemsは、都市と公共機関をつなぎ合わせようとしている。Ciscoは2014年5月、地方自治体や教育機関がIoEから受けている恩恵について、その概要を説明する新しい調査報告書を公開した。そこでは主に、米国シカゴおよびテキサス州サンアントニオにおけるプロジェクトと、バージニア大学の遠隔医療プログラムが事例として挙がった。
Ciscoはまた、ミズーリ州カンザスシティを同社の「Smart+Connected Communities(スマートで、かつ接続されたコミュニティー)」プログラムに加えることも発表。5月に開催した同社イベント「Cisco Live! 2014」では、対話型のキオスク端末、スマートな街灯、ビデオ監視システムを盛り込んだモバイルネットワークのパイロットプロジェクトを、カンザスシティ商業地区で立ち上げることを明らかにした。
「こうした“コネクテッドシティ”(接続された都市・行政機関)によって、今後10年間で4.6兆ドル相当のビジネスチャンスが生まれるとCiscoは試算している」と同社システムエンジニアリング部門のシニアディレクターで米国公共部門の最高技術責任者(CTO)、ダン・ケント氏は述べた。「さまざまな自治体での実績を通して、この全ての取り組みが一体となる兆しが見え始めたところだ。何か1つのことだけで実現できているわけではない」
20カ国、40都市に及ぶコネクテッドシティプロジェクトの恩恵
Ciscoでは、20カ国、40都市の行政機関などを対象に、IoE技術が業務効率化とコスト削減にどう活用されているかを調査した。
例えば、シカゴでは、交通カメラを、降雪状況を伝える道路監視カメラに転用し、配車担当者は受信したデータを使って最も重要な地区へ除雪車を回している。サンアントニオでは、1200台以上の信号機の管理にIoE技術を利用している他、IPベースの遠隔ビデオシステムを用いて市内に設置されたキオスク端末やリンクセンター経由で地方裁判所の裁判官が審理を行えるようにした。
「行政機関は、より少ないリソースでより多くのことをしようと躍起になっている。何かそれに役立つものを探しているのは明らかだ」と米Cisco Consulting ServicesでIoE実践担当責任者を務めるヨセフ・ブラッドリー氏は語る。しかし、同氏は、IoEはモノをつなげるだけではないとし、「真の価値は、つながること」にあるという。つまり、人、プロセス、データ、そして、そのつながりを支えるモノを結び付けることが価値なのだ。
駐車場と情報と販促活動を結ぶコネクテッドシティプロジェクト
カンザスシティのプロジェクトは、同市商業地区の活性化戦略と密に関係している。この取り組みの中心の1つは、約3.5キロの路面電車の線路建設だ。「多くの人々がプロジェクトに期待するのは、例えば、車がたまたま線路上に駐車しているときや、優先通行権や線路に何らかの問題が発生したときに、歩道や街灯のセンサーから駐車違反の取り締り機関に通知が入るような仕組みだ」と、同市行政責任者トロイ・シュルテ氏は述べた。だが、それよりも重要なのは、カンザスシティが「このネットワークを水平インフラとして使う」計画を立てていることだ。それが実現すれば、商業地区の小売店やレストランの販促情報やその他のイベント情報を、住民や企業が簡単に共有できるようになる。
「スマートフォンのアプリから、商業地区のある場所で何か面白いことをやっているという情報が伝われば、それによってその場所の存在感は増すだろう。とてもエキサイティングだ。カンザスシティはそうしたインフラを作り、民間市場がそのインフラの隅々まで浸透していく」(シュルテ氏)
デジタル通信と無線通信のメーカーである米Harrisは、サンフランシスコ市の交通機関向けに、IPベースの音声・運行・計画システムを導入中だ。このネットワークは2015年に完成予定で、IoEの基盤を利用して、鉄道やバス、ケーブルカーの現在地を特定したり、信号機を管理したり、さらに発着情報を利用者へリアルタイム配信することが可能になる。
「正しい決定に必要な洞察力を養うために、これらのツールは不可欠だ」とHarrisで主任技術者を務めるダン・バックリー氏はいう。Ciscoは、このシステムを支えるのに必要なルータやその他のコンポーネントを提供している。
コネクテッドシティの駐車場管理
カリフォルニア州サンマテオでは、駐車スペースの管理を改善する計画に診断ツールを使用している。人口10万人のサンマテオでは、「診断結果のデータを基に、新たな駐車料金や駐車ルールを施行する予定だ」と、同市の行政副責任者マット・ブロンソン氏は述べた。
サンマテオ市は2012年、Ciscoと駐車場ソリューションを手掛ける米Streetlineと共同で、商業地区中心部にある135の駐車場に設置されたセンサーを接続するIPネットワーク構築のパイロットプロジェクトを立ち上げた。ドライバーは、Streetlineのアプリから、空いている駐車スペースの情報をリアルタイムに受け取ることができる。
サンマテオでは、「1年以上をかけてデータを集めた上で、駐車スペースの需要をより正確に反映できる駐車ガイドラインを整備した」とブロンソン氏は語る。現在の駐車違反取り締り時間を夜のもっと遅い時間(恐らく8時か9時)にシフトすることも検討している。「現行制度では、午後6時に駐車すると、ドライバーは夜通しそこに置きっぱなしにできる」(ブロンソン氏)
サンマテオ市議会は、商業地区に複数のウェイファインダー(空いている駐車場をリアルタイムで表示するデジタル標識)を当面の間、設置する動議を可決した。これで、路上と路外の両方の駐車スペース空き情報を提供できる。
「こうした全てのことが、より良い意思決定を促し、市民がわれわれに期待している地域社会の実現を可能にしてくれるツールだ」(ブロンソン氏)
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