Microsoftに夏のセールはない
「Office 365」価格のからくり、値上げを避けるには?
米Microsoftがボリュームライセンスの利用者にアップグレード保証や各種サポートなどを提供するソフトウェアアシュアランス。未締結者はOffice 365の価格引き上げ対象になる。
米Microsoftは2014年8月に、Microsoft製品のソフトウェアアシュアランス(以下、SA)未契約者を対象に「Office 365 Enterpriseプラン」の価格を15%引き上げる(以下は米国での情報がベース)。一方、SAの契約者は、追加コストを支払うことなくOffice 365を3年間アップグレードできる。「Open License」の「Office Professional Plus 2013」のSAの推定価格は295ドルである。
Microsoftの「Office 365」に夏のセールはない
米ワシントン州カマーノ島にあるPica Communicationsでは、Microsoft製品のライセンスに関するコンサルティングを行っている。主任コンサルタントのポール・デグルート氏は次のように自身の見解を示している。「この価格の引き上げには驚いている。多くのユーザーにOfficeを更新する意思が見られないという事態にMicrosoftが対応した結果かもしれない」
オンプレミス版のOfficeでは無期限のライセンスが提供されている。そのため、「Office 2010」を展開しているユーザーが「Office 2013」にアップグレードしたり、Office 365に移行したりする動機となる要素はほとんどない。
デグルート氏は次のように指摘する。「今Office 365を導入して『Enterprise 3サブスクリプション』や『Enterprise 4サブスクリプション』を契約しても、提供されるOfficeのバージョンはOffice 2013で使用しているものと同じだ。ライセンスは既に購入している。つまり、この状況は『住宅ローンを完済したから、次は銀行に家賃を支払おう』といっているようなものである」
現在、Office 365の「Enterprise 1/3/4」(以下、E1/E3/E4)サブスクリプションの契約者は、ユーザー1人当たり月々8ドル(E1)、20ドル(E3)、22ドル(E4)を支払っている。価格が15%引き上げられると、月々の支払い額はそれぞれ9.20ドル、23ドル、25.30ドルになる。E1サブスクリプションでは、デスクトップ版が使用できるオプションとモバイル版Officeの編集機能は提供されない。
米ワシントン州のITシステムインテグレーター、New SignatureのCEO兼創立者であるクリス・ハーツ氏は次のように話す。「Microsoftは、製品価格とサービス価値のバランスを保つためにOffice 365の価格を引き上げようとしているのだろう。Office 365スイートだけでなく、各製品の価格がどのように変化するのかは見ものだ」
「大半のユーザーはOffice 365の価格引き上げ対象にはならないとMicrosoftはいう。確かに『Office 365 Enterprise Agreement』(以下、EA)を契約している既存ユーザーには、契約期間中に価格が変更されないことが保証される。だが、これまでMicrosoft製品を購入したことがないOffice 365 EAの新規契約者は、Microsoftの他のチャネルに合わせるため、価格の引き上げ対象になる」と某企業の広報担当者は話す。
15%の値上げを回避するために25~29%の追加費用?
一部のユーザーは、Microsoftのこの対応が新規SA契約者を獲得するための販売戦略だと見ている。
「根拠が不自然だ。SAを購入すれば、今回の15%の価格引き上げは適用されない。『今すぐ追加料金を支払えば、今後の支払いが少なくなる』というからくりだ。だが、実際、多くの人は後から追加で支払う方が経済的だと考えている」とデグルート氏は話す。
同氏は次のように矛盾を指摘する。「価格のバランスが取れていない。Office製品のSAを購入すると、年間支払額はサブスクリプションの29%に相当する。『Exchange』や『Lync』のような他のサーバ製品のSAを購入すると、年間支払額はサブスクリプションの25%に相当する。ユーザーが25~29%の追加コストを毎年支払えば、15%分を優遇するとMicrosoftは主張している」
ハーツ氏は、Microsoftの狙いがSAの追加契約者数を増やすことだという点について同意している。だが、SAを契約するとユーザーが常に最新の製品を使用できるというメリットがある点も付けくわえている。
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