ビジネスユーザー向け管理機能を大幅強化
2年先を行く「iOS」を抜き去るか 「Android L」で始まるGoogleの戦い
米Googleは長らく待ち望まれていたエンタープライズ機能をついに「Android」に搭載した。だが、この変更をGoogleがどのように実装するのかについては疑問が残る。
米Appleと同様に、Googleはエンタープライズ機能に対するユーザーからの要望に耳を傾けたようだ。その結果として、IT部門向けの管理機能が2014年6月下旬に同社のモバイルアプリケーションに追加された。
Googleは次期OS「Android L」に同梱される新しいプラットフォームの「Android for Work」にエンタープライズモバイルコンテナを含める予定だ。Android for Workでは、個人用のアプリと仕事用のアプリが同じデバイスで共存できる。この状態は、個人用のデータと仕事務用のデータを分離するデータ抑制機能によって実現している。
開発者が既存のアプリケーションを変更する必要はない。顧客は必要に応じてアプリケーションの購入と導入をまとめて行うことが可能だ。
興味深いことに、このコンテナアプローチはGoogleが韓国Samsung Electronicsとの連携によって実現したものだ。一貫性のあるAndroidベースのエンタープライズ製品を作成するためにSamsungが「Knox」のセキュアなコンテナプラットフォームをGoogleに貸し出しているのだ。
Samsungは2014年の前半に新しいバージョンのKnoxを公開している。このバージョンでは、Androidに加えて、Appleの「iOS」もサポートしている。また、セキュアなコンテナ、Webアプリとモバイルアプリの管理、セルフサービス型ポータル、仕事用のプロファイルと個人用のプロファイルが用意されている。
この新しいデバイス管理機能は、個別のアプリケーションにラップされ、複数バージョンのAndroidで機能する。サポートされている一番古いバージョンは4.0(Ice Cream Sandwich)だ。Googleは2014年秋のAndroid for Work搭載デバイス販売に向けてOEM(相手先ブランドによる生産)パートナーと協力している。
Samsungは、ある声明でKnoxの一部がAndroid Lに統合されると発表している。だが、それ以外の詳細は明らかになっておらず、今後もSamsungはKnoxの提供を継続すると補足している。また、Samsungの広報担当者は、それ以上の詳細を語ることを差し控えたいとしている。
Googleが最近買収したモバイルコンテナリゼーション新興企業の米Divideをどのように新しいプラットフォームに統合するのかについても明確になっていない。
Android Lのモバイル管理機能
Googleの動きはAppleが最近発表したエンタープライズ機能に追随している。だが、IT部門は依然としてAppleが提供する機能について懐疑的だ。
「Googleが取るべき賢明な行動は、DivideとKnoxのテクノロジを新しい管理プラットフォームに組み込むことだろう」と米マサチューセッツ州のノースバラにあるJ. Gold Associatesでモバイルアナリストとプリンシパルを務めるジャック・ゴールド氏は指摘する。
「私がIT部門の人間なら、特許で守られている一発屋でコンテナのようなKnoxを使用したいとは思わない。Androidに組み込まれているものを使用したい。あなたがHTCのデバイスを入手しても、私がSamsungのデバイスを購入しても、他の人がLG Electronicsのデバイスを購入しても、同じものを手に入れられる状況がよいだろう」とゴールド氏はいう。
「今後のKnoxのスタンドアロン製品としての生き残りへの影響は未知数だ。SamsungはKnoxの月額使用料を3.60ドルと定めている。だが、Android for Workを使用するための追加料金の有無をGoogleは表明していない」(ゴールド氏)
GoogleがOEMと連携し、以前のバージョンのAndroid OSに対応したAndroid for Workアプリを提供することは、現在市場に流通しているバージョンのAndroidの断片化改善の一助として期待できる。IT部門にとって、この断片化は問題がありコストも掛かるとゴールド氏は話す。
IT担当者は「Google Drive for Work」経由で他の管理機能を使用することが可能だ。例えば、デスクトップ同期クライアントをインストールできるユーザーを制御する機能、管理者がファイルの状態(移動/共有/削除)を確認できる新しい監査ツール、保存時や転送時のファイルの暗号化などがある。
これまでGoogleがAndroid環境の管理機能を提供できていなかったことはモバイル業界の専門家の間で話題となっていた。米ボストンで2014年6月中旬に開催されたイベント「Tech in Motion」では、CEOとCTO(最高技術責任者)によるディスカッションが行われた。トピックは、管理機能に関してGoogleを最大のライバルであるAppleと比較した場合に、前者の管理機能はどのような位置にあるかというものだ。
ボストンにあるモバイルアプリケーション開発会社のRaizLabxでCEOを務めるグレッグ・ライズ氏は次のようにいう。「AppleがAndroidに対して約2年のアドバンテージを持っているのは、ほぼ間違いない。だが、AndroidがAppleに追い付くのは時間の問題だろう。新しいバージョンがリリースされるたびに、Androidではモバイル管理に重点が置かれるようになることが予想される」
Googleドキュメントに搭載されるOfficeの編集機能
Googleユーザーは、より多くのオフィスアプリの選択肢を持っている。「Microsoft PowerPoint」に類似した新しいプレゼンテーションアプリの「Googleスライド」がGoogleドライブに追加された。また、「Microsoft Office」ドキュメントの編集機能も追加されている。
ネイティブなOfficeドキュメントの編集機能により、ユーザーは、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドなどのGoogleアプリを使用してOfficeドキュメントを編集できるようになる。また、作業が完了したらOfficeドキュメントの形式でファイルを保存することが可能だ。必要な場合はOfficeドキュメントをGoogleドキュメントに変換することもできる。これは、2012年に買収したQuickofficeをこれらのアプリに統合することで実現した機能だ。
米カリフォルニア州フォスターシティーにあるTECHnalysis Researchのチーフアナリスト兼創業者のボブ・オドネル氏によると、改良されたGoogleアプリによるOfficeドキュメントの処理方法の細部には癖があり、注意が必要だという。
「ファイル形式について真の互換性を実現することは難しい。Officeドキュメントのファイル形式を所有しているのはMicrosoftだ。ファイル形式の詳細を共有するつもりがMicrosoftにあるかどうかは分からない」とオドネル氏は指摘する。
理論的には、Officeと互換性があるオフィスソフトでGoogleが成功を収めることは可能だ。だが、Microsoftは「Office for iPad」と類似するAndroid向けOfficeアプリのリリースに向けて準備を進めている(Office of iPadは2014年前半にリリースされている)。Android向けOfficeアプリがリリースされると、Googleが追加したOffice編集機能の存在感は薄れるだろうとオドネル氏はいう。
「Google Drive for Work」では、1ユーザー当たり月額10ドル(日本では1200円)で無制限のストレージが提供される。Googleはファイルの同期/共有とクラウドストレージ市場の覇権を巡って同業他社としのぎを削っている。主なライバルは、米Dropboxの「Dropbox」、米Boxの「Box」、米Microsoftの「OneDrive」だが、他にもライバルとなるサービスは少なくない。
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