マンダリンオリエンタルが「Surface Pro 3」を客室に導入
何に使う? 「Windows 8.1タブレット備え付けホテル」が増えている理由
大手ホテルや旅行会社は、宿泊客や利用客の満足度向上の手段として、「Windows 8.1」搭載タブレットに期待を寄せる。ただし、導入は一筋縄ではいかないようだ。
米Microsoftの「Windows 8.1」搭載タブレットは、ホスピタリティ(接客)業界や旅行業界にゆっくりと浸透している。ただし、導入の成功は、一般的な企業とは異なる環境で発生する課題を、IT部門が解決できるかどうかに掛かっている。
過去1年間に、ホテルや旅行会社で導入されたWindows 8.1タブレットの台数は増えている。その目的は、宿泊客に合わせたサービスを提供したり、従業員が親しい人と連絡を取ったりすることだ。
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大手ホテルチェーンでWindowsタブレット導入が相次ぐ
米Royal Caribbean Internationalは2014年10月までに、カナダHEXA Electronics製の8インチ「Windows 8」搭載タブレットを4万台導入し、従業員に提供する予定だ。この大規模導入により、クルーズ船の乗組員はクルーズ中の海上からでも家族や友人と連絡が取れるようになるという。
香港のMandarin Oriental Hotel Groupは最近、米ラスベガス、米ワシントンD.C.、東京にあるホテルの客室にMicrosoftのタブレット「Surface Pro 3」を試験的に導入するプロジェクトを始めた。同ホテルの経営陣は、最終的に約2000台のタブレットを追加で導入することを見込んでいる。
「Sheraton Hotels & Resorts」などを運営する米Starwood Hotels and Resorts Worldwideは2013年、中国Lenovo製の「ThinkPad Tablet 2」を一部のホテルのバー、レストラン、スパに導入した。Windows 8.1ではないが、米Delta Air Linesは最近、1万9000台のスマートフォン「Windows Phone 8」を客室乗務員に配布した。
モバイルデバイスによって個人の体験が変わるのか
ホスピタリティや旅行用のアプリを使用するためにモバイルデバイスを導入しているホテルや旅行会社は、宿泊客、利用客、従業員とやりとりする新しい方法を模索している。
Mandarin Orientalの技術部長であるトッド・ウッド氏は、次のように話す。「モバイルデバイスの導入には2つの側面がある。1つは、どのようにデバイスを使用して宿泊客に優れたサービスを提供するかという側面。もう1つは、どのようにして宿泊客にデバイスを利用してもらいセルフサービスモデルを実現するかという社内的な側面だ」
客室に導入したSurface Pro 3では、コンシェルジュアプリとエンターテイメントアプリが使用できる。また、無線LANを使った動画転送技術「Miracast」を使用してテレビに動画をストリーミングすることも可能だ。
Mandarin Orientalは既に、Microsoft製品を使ってインフラを構築しており、Surface Pro 3の導入に伴うデバイスの管理負荷を抑えることができた。
このように、ホスピタリティ業界でWindows 8.1タブレットの導入率は伸びている。ただしMicrosoftは、Windows 8.1搭載モバイルデバイスの導入を促す新たな方法を見つける必要があるとアナリストは分析する。
米カリフォルニア州フォスターシティに拠点を置くTECHnalysis Researchの社長で創設者のボブ・オドンネル氏は、「Windows 8/8.1タブレットがコンシューマーに与えた影響は小さい」と述べる。コンシューマー市場におけるタブレットの成長は過飽和状態で鈍化している。一方のビジネス市場にはビジネスチャンスがあると指摘し、米Appleの「iOS」や米Googleの「Android」を搭載したデバイスにも同様にチャンスがあると付け加えた。
立ちはだかる障害
ホテル業界や旅行業界が置かれている環境は、一般企業とは異なる。そのため、これらの業界で働くIT担当者は、幾つかの特殊な問題に直面している。
1つ目は、プライバシーの問題だ。Mandarin Orientalの宿泊客は、たとえチェックアウト後にリモートワイプされるとしても、Surface Pro 3にサインインするために個人情報を入力することは望まないかもしれない。「宿泊客には、Surface Pro 3に個人情報を入力する前に、リモートワイプの機能を試すことができるようにしている」とクリーチバウマー氏は話す。
2つ目は操作性である。宿泊客や利用客は、Windows 8.1のユーザーインタフェースになじみがないことも考えられる。Windows 8/8.1は誕生してから日が浅い。「時間がたてば、新しいWindowsデバイスのインタフェースを知っている人は増えるだろう」とウッド氏は述べる。ただし、宿泊客は操作方法を覚えなければならない。ホテルは、宿泊客が新しいユーザーインタフェースの操作を短時間で習得できる方法を考える必要がある。
3つ目は、Miracastを使用した動画のストリーミングをネットワークがサポートできるかどうかの判断だ。Mandarin Orientalのネットワークでは、追加のワイヤレスデバイスをサポートすることは可能だ。だが動画をMiracastでストリーミングできるにようにするには、帯域幅の増強が必要になる。
Royal Caribbean Internationalは、英海峡チャンネル諸島のジャージー代官管轄区に本社を置く技術パートナーのO3b Networksを通じて衛星を利用し、タブレットの導入に必要な追加帯域幅を確保している。
4つ目は、利用客や宿泊客に提供しているモバイルデバイスをどのようにロックダウンするかという問題だ。例えば、宿泊客がSurface Pro 3をホテルの外に持ち出す可能性があるし、盗難に遭う可能性もある。そのような事象が発生した場合には、個人データが漏えいする恐れがある。このような問題への対策も必要になるだろう。
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