奇抜なデザインのエッジは一長一短
徹底レビュー:曲面ディスプレー「GALAXY Note Edge」は意欲作だが、完成度に難?
Samsungが独創的な工夫を加えた意欲作「GALAXY Note Edge」。本体の右端から側面に回り込んだ曲面ディスプレーが印象的だ。しかし、曲面ディスプレーは機能性に乏しく、他にも小さな欠点が幾つかある。
モバイル市場で韓国Samsung Electronicsの勢いに陰りが見えている。その一因は、同社が「GALAXY S」シリーズのスマートフォンで無難な路線を続けているのに対し、競合企業は思い切った製品展開を進めていることにある。
このため、Samsungが「GALAXY Note Edge」でこれまでとは全く違う新しいものに挑戦したのは称賛に値する。おかげで、面白い風変わりなコンセプトのスマートフォンが店頭に並ぶことになった。
評価が分かれる湾曲エッジ
GALAXY Note Edgeは、実は基本的に「GALAXY Note 4」の派生モデルで、Note 4と同じ強力な心臓部や中核機能を持つ。しかし、違いは名前の通り、このファブレットの5.6インチ画面が通常の右端の位置から側面に回り込むように曲がっており、この湾曲したエッジ(Edge:端)部分が細い縦長の別画面になっていることだ。明らかに奇妙なデザインであり、大型で高価なフラッグシップデバイスであるだけになおさらだ。だが、これは素晴らしいものなのだろうか。
答えはイエスでもあり、ノーでもある。実のところ、われわれは「エッジスクリーン」と呼ばれるこの特別なスペースとその乏しい機能について、こうした相反する感想を抱いた。このスペースには大きな可能性があり、その一部は実現されている。だが、本体の右側面に160ピクセル幅の画面が追加されても、少なくとも今のところはスマートフォンエクスペリエンスはそれほど変わっていない。
仕上がりとデザイン
前述したようにGALAXY Note Edgeは、Samsungの従来型ファブレットであるGALAXY Note 4と同じデザインをベースにしている。しかし、画面の右端が湾曲してディスプレーになっていること以外にも違いがある。メタルフレームが印象的なNote 4に対して、Note Edgeの側面はマット仕上げのプラスチックとなっている。画面の右端を特殊な形状にしたからであろう。ただし、ディスプレーパネルは細いメタルで縁取られている。また、Note Edgeのディスプレーは、Note 4の5.7インチより0.1インチ小さい5.6インチだ。
Note Edgeは、Note 4と比べて高級感がある。素晴らしいディスプレーだけでなく、ハードウェア全体がかなり洗練されている。ベゼルには魅力的で繊細な横線のパターンが施されている。触ればすぐにレザーではないと分かるかもしれないが、レザー調の背面は多くのSamsungデバイスに見られるラバーテクスチャよりもハイエンドに見える。
Note Edgeは、非常に大型のスマートフォンである。そのため、よほど手が大きい人でないと片手で操作するのは難しい。親指で画面をタッチしようとすると、手のひらでエッジスクリーンのコマンドを実行してしまいがちだ。さらに通常の右側面がないのは違和感がある。欠点ではないが、すぐにはなじめないだろう。
ディスプレー
GALAXY Note Edgeのディスプレーは驚くほど素晴らしい。Quad HD+のSuper AMOLED(有機EL)パネルで、解像度はメイン画面が2560×1440、前述したエッジスクリーンが2560×160だ(厳密には全体で2560×1600)。メイン画面とエッジスクリーンの継ぎ目はなく、全体が1つのディスプレーのような構造を持つ。エッジスクリーンは多くの場合、アプリやUI(ユーザーインタフェース)によって別画面として扱われる。このため、Note Edgeのデータシートでも両者の解像度が区別して記載されている。
ディスプレー表示は非常にくっきりとして色彩豊かだ。Note 4のディスプレーよりもわずかに小さいため、ピクセル密度はより精細な525ppiとなっている。ただし、このレベルのピクセル密度になるとユーザーはその違いに気付くことはないだろう。このディスプレーでは、高精細かつ高解像度の写真や動画などを明るくより鮮やかに表示する。
Note Edgeのディスプレーは表面が完全に平らではないことから、グレア(映り込み)が発生しやすい。また、エッジスクリーンの曲面によって、特定の角度からはゆがんで見えることに気付くかもしれない。さらにこの曲面は、画像の一部が深く沈んで見えるという奇妙な錯覚を感じさせることがあるようだ。これは新しいタイプのディスプレーのデザインや技術に慣れるプロセスの一部にすぎないのかもしれない。後継製品ではどの角度からでもエッジスクリーンの表示内容が一貫した見え方になるのかどうかが気になるところだ。
Note Edgeの画面モードは、デフォルトでは「表示を最適化」に設定されている。この設定ではコントラストと彩度を高めており、豊かな表現力が実感できる。しかし、不自然な発色になり、どぎつい印象も与えることもある。画面モードは、いつでも「基本」に変更することも可能だ。基本設定は「表示を最適化」と比べてフラットに見えるが、より正確で写実的に表示する。
パフォーマンス
一部で予想されていたように、SamsungはGALAXY Note Edgeに強力なパワーを詰め込んだ。同社のフラッグシップファブレットの派生モデルという理由だけでなく、エッジスクリーンで付加機能を提供するためでもある。アプリやメディアで強力なパフォーマンスを実現できるように、最大2.7GHz駆動のクアッドコアプロセッサ「Snapdragon 805」や3GバイトのRAMを搭載している。特にハイエンドゲームでこうした装備が威力を発揮する。
その一方で、OSの動作が全体的に少しもたつくこともあった。大きなトラブルではないが、最近開いたアプリを表示するボタンをタップしたり、メニューを切り替えたりすると、ハングアップすることがある。また、Note Edgeは内部のハードウェアこそ優れているが、使用感という点ではスペックが比較的低いSamsungの「GALAXY Alpha」よりもさまざまな動作が遅い。
その原因は、SamsungがAndroidに適用し続けているUIスキン「TouchWiz」にあると推測する。TouchWizはGALAXY Alphaのようなデバイスでは少なくとももたつきが目立つことなく動作する。しかし、Note Edgeではそうはいかない。Note Edgeで動作が遅くなる理由は、エッジスクリーンがリソースを要求するからだと考える。許容できない問題ではないが、強力なスペックのスマートフォンだけに、Note Edgeのこうした反応の鈍さには時々イライラさせられるだろう。
Note 4と同様に、GALAXY Noteには「Sペン」が付属する。本体下面の右端に収納部があり、ディスプレーがオフのときにSペンを取り外して一定時間が経過すると、音やバイブとポップアップで警告される。この便利で賢い小さなスタイラスを横に配置されたボタンを押しながら画面に近づけると、スタイラス関連の一連の機能にアクセスできるビジュアルメニュー「エアコマンド」が表示される。メモ作成、画像クリップ、画像キャプチャーおよびその画像への書き込みなどの機能を提供する。高精度の筆圧感知機能のおかげで、Sペンは、特にビジネスパーソンや学生にとって使い勝手の良いツールになっている。もちろん、Note Edgeは指のタッチ操作でも便利に使える。
また、Note Edgeはストレージ容量が32Gバイトで、他の選択肢はない。しかしmicroSDカードを最大128Gバイトまでサポートしているため、メディアをローカルに保存しておく必要性が高い場合などは、容量を素早く安価に拡張することが簡単にできる。
われわれはNote EdgeのVerizon版をレビューした。レザー調の背面に同社のロゴが入っているが、それ以外は見た目も動作もSIMフリーモデルと同じだ。ここシカゴでは、Verizonの4G LTEネットワークは非常に信頼でき、テスト中は通話もデータ通信も快適に行うことができた。
バッテリー持続時間
GALAXY Note Edgeは、3000mAhと大容量のバッテリーを内蔵している。Note 4の3320mAhよりは容量が抑えられているが、平均的なユーザーが丸1日使ってもまだ余裕があるだろう。とはいえ、常時ゲームで遊んだり、メディアを利用したりするなら、丸2日使うのは厳しい。GALAXY Note Edgeにはしばらく充電器が使えない状況にある場合でも電力消費を抑える方法がある。その1つが「緊急時長持ちモード」を有効にすることだ。このモードにすると、バッテリーをさらに数時間持続させる必要があるときは重要度の低い機能をオフにすることができる。
充電が可能になったら、「急速充電」機能を利用して、付属の充電器で迅速に充電可能だ。バッテリー残量ゼロの状態から30分間で約50%充電し、1時間強でフル充電することもできる。夜に出掛ける前に手早く充電できるのは、極めて便利だ。
ソフトウェア
本稿執筆時点でGALAXY Note Edgeでは、前述したTouchWizスキンが適用された「Android 4.4.4(KitKat)」が動作している。このデバイスが、ビジュアルが大幅に刷新されたGoogleの最新の「Android 5.0(Lollipop)」にいつアップグレードされるかは不明だ。近いうちにアップグレードが実現されることを願っている。Samsungがこのアップグレードのために、TouchWizに関して時計の針を逆に戻そうとしているとうわさされているだけになおさらだ。とにかく幸運を祈りたい。
TouchWizは、使い物にならないわけではない。しかし、Androidを使いやすくするわけでもなければ、より楽しいものにするわけでもない。特に、Lollipopは洗練された素晴らしいOSであるのに対し、KitKat上のTouchWizスキンは常にごてごてした感じで、あまりにも多くの画面を使ってあまりにも多くのオプションを提供している。また、前述したように動作のもたつきが頻発する。
明らかに、Note Edgeで最も重点が置かれているのは、エッジスクリーンをどう利用し、どう統合するかだ。エッジスクリーンは主に、お気に入りアプリのショートカットや通知の表示に使われる。ホーム画面表示時にはエッジスクリーンに最大7つまでのアイコンを配置でき、こうしたパネルが好みであればもう1つ追加できる。左または右スワイプでパネル間をスクロールでき、いつでも最大6つのパネルをアクティブにできる。
通知は、メイン画面最上部ではなくエッジスクリーンにポップアップする。だが、文字が横書きで表示されるため、読むには本体の向きを変えなければならない。しかし、通知センターやクイック設定メニューは従来通り、メイン画面最上部から下にスワイプすることで表示される。ユーザーはちぐはぐな印象を受けかねない。また時折、ポップアップアラートがパネルで部分的に隠されて表示される。ここには改善の余地がある。もし「Note Edge 2」が登場するなら、こうしたUI要素の整合性を高めてほしい。
アプリの実行時には、エッジスクリーンの一部は使用されない。背景色が黒になり、メイン画面でユーザーが選択した文字列が淡色表示される。われわれは、エッジスクリーンの最大の問題点は間違いなく、このようにエッジスクリーンがまるで役に立たない時間があることだと考えている。さらに見た目が悪いという問題もある。「Comic Sans」風のフォントを使わなければならないからだ。他の点ではモダンなスマートフォンなのに、このフォントだけは安っぽく感じる。
ユーザーはこのフォントを目にする機会が多い。なぜSamsungはこのわずかなデッドスペースについて適切な計画を立てなかったのか不思議だ。今のフォントは800ドルのスマートフォンにふさわしくない。さらに、メイン画面表示時に対応したエッジスクリーンのパネルはごく少ない。ニュースフィードやTwitterのトレンドトピックのフィードを表示するパネル、幾つかの簡単なゲームのパネルが提供されているが、お気に入りのアプリのショートカットを登録できる便利なパネル以外には、重要と思えるものは見当たらない。
とはいえ、エッジスクリーンには気の利いた機能も幾つか用意されている。例えば、画面オフ時にエッジスクリーンで指を上下にスワイプすると、エッジスクリーンだけを起動して、通知パネルに即座にアクセスしたり、お気に入りのアプリを素早く立ち上げたりできる。また、夜間はエッジスクリーンの日時と天候などの表示を暗くすることもできる。置き時計の代わりに手軽に使えるわけだ。これらは賢いアイデアといえる。Samsungがエッジスクリーンの価値をアピールするには、こうしたアイデアを豊富に生み出すか、あるいはむしろ、こうしたアイデアが豊富なパートナーを確保する必要がある。
カメラ
GALAXY Note Edgeは、カメラ機能のためにエッジスクリーンを使う画期的な方法は一切提供していない。だが、工夫を凝らして賢く、この曲面ディスプレーを活用している。すなわち、仮想シャッターボタンをそこに配置している。
横長の写真を撮るときは、エッジスクリーンを上にして構えるようになっており、シャッターボタンはその右端に位置する。オートフォーカスカメラでシャッターを押す感覚がほぼ再現されている。縦長の写真の場合は、シャッターボタンはエッジスクリーンの中央に配置され、片手で撮るときに親指で押しやすい位置だ。撮影関連の他のコントロールもエッジスクリーン上に並んでおり、そのために撮影画面は比較的すっきりとしている。
Note Edgeでは、Note 4のカメラ機能がそのまま踏襲されている。1600万画素のメインカメラはNote 4と変わっておらず、性能をフルに発揮すれば見事な写真が撮れる。われわれは十分な光の中で(屋外の一般的なシナリオ)、人物、自然、構造物、その中間のありとあらゆるものの明るい素朴な写真を撮影してみた。細部までしっかり写り、非常に自然な色に仕上がった。率直に言って、これまでスマートフォンのカメラで撮った中でも最高の部類に入る。
しかし、こうした高品質の写真が常に撮影できるわけではない。暗い場所や何らかの動くものの撮影では、ぼやけた写真になることが多く、人に見せられる写真を撮るのに苦労した。暗い場所での撮影に苦労するのはスマートフォンではよくあることだが、Note Edgeの光学式手ブレ補正機能がこうした問題の軽減にもう少し役立つだろうと期待していた。一方、Note Edgeのカメラには、面白い仕掛けが幾つか用意されている。例えば、撮影後にピント位置を変更できる「選択フォーカス」モード、顔を認識する「リアカメラ自分撮り」モードなどがある。
また、フロントカメラは、オーソドックスな自分撮りをよくする人、とりわけ仲間と一緒に写真を撮るのが好きな人に歓迎されそうだ。この370万画素のカメラは最大広角120°での撮影が可能で、この機能はこうしたグルーフィー(グループでの自分撮り)の際に重宝する。
結論
SamsungのGALAXY Note Edgeは、現在出回っている中でもベストな大型Androidスマートフォンに、興味深く革新的ではあるが残念ながら本質的でない新しい工夫を加えたデバイスだといえる。GALAXY Note 4の素晴らしさの源泉は、Note Edgeでもほとんど失われていない。だがNote Edgeは新しい機軸が打ち出されているものの、完成度に難があって使いたいと思わせるだけの理由を持ち得ていない。さらに、Note Edgeは正価(800ドル)でも契約付き価格(通常、400ドル)でも、Note 4より100ドル高いことから、どちらの場合も、コストに見合っているとは思えない。
それでも、Note Edgeが優れたスマートフォンをベースにしていることに変わりはない。Note Edgeは魅力的で便利なAndroidデバイスだ。エッジスクリーンを時期尚早として切り捨てることができないアーリーアダプターなら、Note Edgeのエクスペリエンス全体に失望することはないだろう。しかし、Note Edgeはやはり未完成品のように思えてしまうに違いない。高価なスマートフォンにはあるまじきことだ。
だが、Samsungも課題に気付いていることだろう。大幅な改良と外部のソフトウェアメーカーからのサポートにより、いずれは後継製品でエッジスクリーンの価値が証明されるかもしれない。同社の展開に期待してよいだろう。
長所
- 素晴らしいディスプレー
- 「GALAXY Note 4」と同じ強力な心臓部
- エッジスクリーンに気の利いた仕掛けが幾つか施されている
短所
- エッジスクリーンが十分に活用されていない
- 動作がもたつきがち
- Note 4よりも高価
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