マルチメディアノートPC購入ガイド
動画編集なら格安ゲームPCがお得? ノートPCの賢い選び方
動画や音楽を再生したり、編集したりすること自体は大半のノートPCでできる。とはいえ、可能であれば再生品質や作業の快適さを求めたいものだ。こうしたニーズを満たすノートPCの賢い選び方を伝授しよう。
最近のほとんどのノートPCでは、音楽や動画といったマルチメディアが楽しめる。だがその処理に強いノートPCもあれば、そうでないものもある。この購入ガイドでは製品選びの手掛かりとして、真のマルチメディアノートPCに求められる要件のポイントを解説する。
ディスプレーのサイズと画質
マルチメディアノートPCのディスプレーは、他の種類のノートPCが備えるディスプレーよりも重要性が高い。ユーザーがマルチメディアノートPCに期待するのは、動画や写真などを高精細かつ色鮮やかに表示したり編集したりできることだからだ。マルチメディアノートPCを購入する際に注目すべきディスプレーの基本的なスペックは、サイズ、解像度、画質の3種だ。
サイズ
一般的に、ノートPCのディスプレーサイズを選択するときに最も優先されるのは携帯性だろう。ノートPCのディスプレーサイズは、インチ単位で測定した対角線の長さで示す。17.3インチディスプレーを搭載するノートPCの方が、12インチディスプレーを搭載するものよりかさばって持ち運びにくいのは自明だ。
マルチメディアノートPCでは一般的に、15.6インチ以上のディスプレーが好まれる。このサイズであれば、ディスプレーから目を50~60センチ程度離しても、画面の内容が十分に見えるからだ。また大きいディスプレーの方が、長時間作業しても疲労が少ない。写真や動画の編集では特にそうだ。
解像度
解像度は、ディスプレーのピクセル(画素)数を指す。ピクセルは、グリッド(格子)状に並んだ小さな正方形のドット(点)であり、その集合体がディスプレーを構成し、一貫性のある画像の生成を可能にする。個別のピクセルは常に何百万という色のうちの1色を表示する。ディスプレーに十分目を近づけて確認すると、ピクセルグリッドが見えるだろう。
一般的に言って、ディスプレーのピクセル数は多ければ多いほど望ましい。その方がより精細に表示できるからだ。解像度は、水平方向と垂直方向のピクセル数で表記する。例えば、1920×1080ピクセルのディスプレーであれば、水平方向に1920個、垂直方向に1080個のピクセルが並ぶ。
15.6インチ以上のディスプレーを搭載するマルチメディアノートPCでは、1080pや「フルHD」とも呼ばれる1920×1080ピクセルのディスプレー解像度が要求される。フルHD(HDは“高解像度”を意味する“High Definition”の略)コンテンツを適切に表示し、HD写真および動画を効果的に編集するためだ。現在販売中の最新ノートPCの一部は、3840×2160ピクセルもの解像度を持つ4Kディスプレーを搭載している。
画質
ディスプレーのサイズと解像度は、必ずしも画質に関係しない。解像度が高いディスプレー(1920×1080ピクセル以上)は、より低いディスプレーよりも画質が高い傾向があるものの、これは信頼できる法則ではない。
最も安価なディスプレーは、液晶パネルの駆動方式にTN(Twisted Nematic)方式を採用する。これはほとんどのノートPCが搭載する駆動方式だ。これに対し、ハイエンドディスプレーの液晶パネルではIPS(In-Place-Switching)方式を採用する。
IPS方式の液晶パネルは、TN方式と比べて多くのメリットがある。例えば、高い色再現性や広い視野角(見る角度によって色や明るさが変わったりしない)などだ。液晶パネルの種類は、コンピュータのスペックに記載されていないかもしれない。知りたいときはノートPCメーカーに問い合わせるとよい。
ディスプレーのスペックとして注目すべきもう1つの項目が、再現可能な色の範囲である色域だ。色域は、全米テレビジョン放送方式標準化委員会(National Television System Committee)が定めた「NTSC」方式、米Adobe Systemsが定義した「Adobe RGB」といった特定の色範囲に対するカバー率として算出できる。Adobe RGBカバー率が90%以上のディスプレーは、ノートPC用として優れていると考えられている。
オーディオパフォーマンス
ノートPCは一般的に、音質の良さは評価されていない。だがマルチメディアノートPCのメーカーは、有名ブランドのスピーカーを製品に搭載して気を吐く。中国Lenovoは米Harman International Industries(以下、Harman)の「JBL」、米Hewlett-Packardは米Beats Electronics Internationalの「BeatsAudio」、東芝はHarmanの「Harman Kardon」をそれぞれ採用する。
マルチメディアノートPCは少なくとも2つのスピーカーを搭載し、大型モデルの一部では、シャーシの下部に小さなサブウーファー(低音再生用スピーカー)も組み込んで低音を大幅に強化している。ヘッドフォンや外部スピーカーを接続することもできるが、外部デバイスがなくても充実したサウンドが出せるノートPCは便利だ。
システムパフォーマンス
システムパフォーマンスは、メモリ、処理能力、ストレージ、グラフィックスという4つの分野が鍵となる。
メモリ(RAM)
RAM(Random Access Memory)は、人間の短期記憶に相当するコンピュータメモリのことだ。システムパフォーマンスの観点では、RAMが多い方が一般的に望ましい。ほとんどの用途には8GバイトのRAMで十分だが、動画や写真の編集を行う場合は、16Gバイト以上の使用を考えよう。RAMは通常、購入後に増強可能だ。
処理能力(CPU)
CPU(Central Processing Unit)はコンピュータの頭脳であり、システムパフォーマンス全体を最も左右する。最近のほとんどのノートPCは、日常的な作業をこなすのに十二分な能力を備える。だが写真や動画を編集する場合は、以下の表の「ハイパフォーマンス」のカテゴリーに挙げたプロセッサを搭載するノートPCを選ぶことを考えよう。
| 用途 | 一般的な作業、HD動画の視聴 | 左記に加え、写真や動画の小規模な編集 | HD写真および動画の編集を含む全ての作業 |
|---|---|---|---|
| 適切なCPUカテゴリー | エントリーレベル | スタンダード | ハイパフォーマンス |
| AMD製CPUの例 | AMD A6 | AMD A8/A10 | ― |
| Intel製CPUの例 | インテルCeleronプロセッサー、インテルPentiumプロセッサー、Core i3 | インテルCore i3プロセッサー、インテルCore i7プロセッサー(デュアルコア) | インテルCore i7プロセッサー(クアッドコア) |
ストレージ
ストレージは、コンピュータ内のデータを保存する場所だ。ここでいうデータにはドキュメント、メディアに加え、OSやプログラムなども含む。ストレージには2つの基本的な種類がある。従来のHDDとSSD(ソリッドステートドライブ)だ。パフォーマンスの理由からSSDを使うことが望ましいが、SSDはGバイト単価がHDDと比べて高くなる傾向がある。SSDはマルチメディアに関しては、ファイルの高速な読み書きが必要な動画編集などの際に威力を発揮する。
グラフィックス
市販されているほとんどのノートPCは、内蔵グラフィックス(オンボードグラフィックスとも呼ばれる)を採用している。これは最も基本的なグラフィックスプロセッサで、ゲームなど3次元(3D)グラフィックスを多用する用途を除けば、ほぼ全ての用途に十分耐える。一方、3Dグラフィックスを多用する用途のためには、少なくとも2Gバイトのメモリを専有する米NVIDIAや米AMD製の専用グラフィックスプロセッサを使用するのがベストだ。
動画を編集する場合も、専用グラフィックスプロセッサを使用するのが得策だ。一部の動画編集ソフトウェアは専用グラフィックスプロセッサを利用して、コンピュータのCPUのみを使う場合と比べて動画のエンコードにかかる時間を大幅に短縮できる。
動画編集に強いマルチメディアノートPCを探している人は、HPの「HP ENVY15」や米Dellの「XPS 15」のようなミッドレンジ製品は購入候補から外した方がよい。代わりにHPの「HP OMEN 15」やLenovoの「Lenovo Y70 Touch(国内未発売)」のようなエントリーレベルのゲーム用ノートPCを検討することで、より低コストの選択肢が見つかるかもしれない。
ゲーム用ノートPCについてさらに詳しく知りたい人は、ゲームをしない人もゲーム用ノートPCの購入を検討すべき理由について記載した「ゲーマーでなくても試したい『ゲーミングノートPC』のパーフェクトな実力」をチェックしていただきたい。
他の考慮点
このセクションでは、マルチメディアノートPCの潜在的購入者の興味を引く関連トピックを取り上げる。
タッチ技術
タッチ対応ディスプレーを搭載したノートPCは、ごく一般的になっている。タッチ操作は、子どもがいる場合や、タッチ用に設計されたプログラムを使う場合は特に便利だ。タッチスクリーンを重視する人は、「ディスプレーが360度回転し、“タブレットモード”でも使えるノートPCも検討したい」と考えているかもしれない。ノートPCメーカーは、製品のタッチ版と非タッチ版を両方販売することが多いため、価格の違いを検討し、自分の使い方から見て、どちらに価値があるかを判断しよう。
音量調整と専用ショートカットキー
どのノートPCも通常、音量を調整したり、他の機能にアクセスしたりするためのキーボードショートカット(一般的に「Fn(ファンクション)」キーと他のキーの同時押しで利用)を用意する。さらに、音量を上げ下げする専用ボタンなどが付いていれば、もっと便利だ。
ワイヤレスディスプレー技術
ワイヤレスディスプレー技術を搭載するノートPCは、ケーブルを使わずに外部のテレビやモニターに接続できる。例えば、ノートPCの画面を映像機器へ無線配信する技術「インテルワイヤレス・ディスプレイ(インテルWiDi)」は、外部ディスプレーデバイスにドングルを接続する必要があるかもしれないものの、一定の利便性を提供する。
結論
このマルチメディアノートPC購入ガイドの目的は、HDコンテンツの視聴から作成まで、あらゆる面でベストなノートPCを見つける手助けをすることにある。マルチメディアノートPCで一番肝心なのは、ディスプレーは解像度、画質とも、平均以上の品質でなければならないことだ。さらに、パフォーマンスについて見たように、動画編集など負荷の大きな作業に関しては、高い処理能力を確保することが重要だ。オーディオパフォーマンスやタッチ技術といった関連要素にも目を配り、納得のいく選択をしよう。
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