米国ではノートPC販売の35%が「Chromebook」
「Chromebook」の販売が急拡大、WindowsノートPCの置き換えを真剣に考えるべき?
米Googleの「Chromebook」をVDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)と組み合わせれば、Windows PCの代わりに利用可能だが、導入前にその長所と短所をよく検討する必要がある。
2014年7月に米ボストンで開催されたカンファレンス「BriForum」のセッションで、米Ericom SoftwareのCTO、ダン・シャピア氏は、Chromebookを業務利用に導入する前にIT管理者が検討すべきこと(コスト、管理性、業務用アプリケーションのサポートの問題など)について語った。
「Chromebookが発売されたが、これを最初に使いはじめるのは教育分野だろう」と、米大手製薬会社でモバイルイノベーション責任者を務めるブライアン・カッツ氏は話し、「使い方次第では企業でも良い選択になり得る」と付け加えた。
「Googleアプリを使うならChromebookはいい。問題は何がしたいかだ。用途に合えば、Chromebookは素晴らしい選択になる」(カッツ氏)
Chromebookの良いところは
米ホールセール保険ブローカーSwett & Crawford Groupのインフラ管理者トラビス・コンリー氏は、同社はChromebookを個人用端末と同様に扱っているため、その管理方法について心配はないという。
同社では臨時での利用にChromebookを利用している。例えば、普段は内勤だが1週間だけ社外でノートPCを使いたいという従業員に、Chromebookを貸し出し、VDIを使って会社に接続してもらう。
実際、ChromebookはVDIを利用する企業にとって都合がいい。そのような環境では、従業員はVDIを使ってWindowsアプリケーションを実行できる。企業データはローカルに保存されないので、安全性も確保可能だ。Chromebookをシンクライアントとして使って「Google Appsコンソール」で管理することもできるし、IT管理者が「Google管理コンソール」でChromebookを管理する機能もある。
「そこがVDIのいいところだ。データをデータセンターに置いておきたい当社にとって、Chromebookは素晴らしい解決策になる」とコンリー氏は話した。同氏によると、Swett & Crawfordでは以前、米Dellの「Wyse」シンクライアントを使っていたが、費用対効率が芳しくなく、管理コストの「割に合わなかった」という。
Chromebookの登場
商業/小売チャネル経由の販売(セルスルー)データを調査している米調査会社NPD Groupによると、2014年1~5月の米国チャネルのノートPC販売のうち、35%がChromebookだったという。ベンダー別の内訳は、韓国Samsung Electronicsが48%、台湾Acerが31%、米Hewlett-Packard(HP)が17%、残り4%がそれ以外だ。
また、2014年6月の最初の3週間にChromebookの売り上げが急増した。これはこの時期が教育分野の購買期間に当たるため、とNPD Groupは述べている。
「Chromebookは、TCO(総所有コスト)をWindows PCよりもはるかに抑えられる」と前出Ericom Softwareのシャピア氏は話す。TCOを左右する要素としては、ハードウェアの購買と保守の費用に加え、管理関連費、ITソフトウェアとインフラ、エンドユーザーコストなどがある。
「こうした計算に米Microsoftも反応を示している」とシャピア氏はいう。
Microsoftは2014年7月、HPなど大手OEMパートナーの低価格ノートPCの利点を宣伝した。2014年秋には、HPから199ドルのノートPC「Stream」が発売される予定だ。Chromebookの最低価格が199ドルであり、ハイエンドモデル「Google Chromebook Pixel」は1299ドルと幅広い価格設定になっている。
Swett & Crawfordの場合、Chromebookの採用によるコスト削減効果が大きかったので、「不具合が発生した場合でもコストを気に掛けることなくプラットフォームを変えることができた」と同社のコンリー氏は語った。
企業にとってChromebookにはそれ以外にも多くの利点がある。使い方が簡単、Google Appsとの連係、オーディオビデオ会議機能、バッテリー駆動時間の長さなどだ。Googleは先日、Chromebook上で実行できる「Android」アプリのプレビューも行っており、「利用可能なアプリの範囲が広がりそうだ」とシャピア氏は話している。
米PowWowなどのサードパーティーベンダーも、Chromebookや他のモバイル端末に企業向けアプリを配信するサービスを開始した。
端末の管理もIT管理者の検討課題の1つだが、それも格別に複雑な問題というわけではなさそうだ。「ずっと簡単なリセットと再発行で同じことができ、しかも数分で済む」と前出のカッツ氏は述べる。
企業で利用する場合のChromebookの短所
一方で、Chromebookでは能力不足になる場合も考えられる。「オフライン機能やVPN(仮想プライベートネットワーク)オプションが不十分だったり、ローカルストレージが少なかったり、『Microsoft Office』との互換性に問題が起こったりする可能性がある」とシャピア氏は指摘する。
IT管理者は、Chromebookで発生し得る問題をよく検討する必要があり、VDIとリモートデスクトップ(RD)セッションホストサービスの問題や、「Windows」「Mac OS」「Linux」など他のどんなシステムを運用するかも考える必要があるという。
シャピア氏はまた、「Chromebookのキーボードが従来のWindows PCキーボードと若干違う点や、印刷などの基本機能の必要性、セキュリティ保護されたリモートアクセスとSSL VPNの互換性に関して社内で使われているポリシーについても、IT管理者は考慮しなければならない」と付け加えた。
Chromebookの業務利用にはさまざまな利点があるとはいえ、条件が合わない場合もある。特に、クラウドに対応していない環境にはあまり適さない。
クラウドを使わない環境の場合や、端末でオフラインアクセスが頻繁に必要な場合、また、モバイルユーザーがより強力なコンテンツ作成機能を必要とする場合には、「Chromebookはエンタープライズ向けとして適さない可能性がある」とシャピア氏は語った。
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