オールフラッシュアレイ vs. HDDアレイ
「SSDの価格はもうHDDと同等」のウソとホント、価格差に惑わされないコツとは(1/2 ページ)
I/O速度の向上や信頼性能向上を図れるオールフラッシュストレージアレイ。多くのベンダーがHDDアレイと同等のレベルの価格に達していると主張しているが、果たして真実なのだろうか。
多くのオールフラッシュアレイベンダーが口をそろえて、「オールフラッシュアレイの価格は、HDDアレイと同等のレベルに達している」と主張している。1Gバイト単価はHDDの方がまだはるかに安いにもかかわらずだ。では、この「同等レベルの価格」という主張は正当なのか。もし正当なら、この主張はどのような理屈で成り立つのだろうか。
高パフォーマンスフラッシュストレージ vs. 高パフォーマンスHDD
オールフラッシュアレイベンダーは、「オールフラッシュアレイがHDD並みの価格になった」と主張する。そのとき、ベンダーは大容量でパフォーマンスの低いHDDアレイと比べているのではなく、高パフォーマンスのHDDアレイと比べている。このことを念頭に置くことが重要だ。こうしたHDDアレイは通常、小容量のドライブを大量に搭載している。それらがサポートするアプリケーションや環境におけるパフォーマンスおよび容量の両方の要求に対応するには、小容量のドライブを大量に搭載しなければならないからだ。
また、こうしたHDDアレイの他のコンポーネントは、高パフォーマンス環境を提供できるように調整される。これは、高価なCPUとネットワークモジュールが装備されることを意味する。こうしたことから、HDDアレイは、ドライブ台数がオールフラッシュアレイの2倍になる可能性はある。または、同等容量のオールフラッシュアレイより高価なのにパフォーマンスは低くなることがあり得る。
しかも、オールフラッシュアレイはパフォーマンスが高いため、仮想マシンの高密度化が可能だ。仮想マシンを高密度に集積できれば、仮想サーバや仮想デスクトップ環境のために購入する必要があるサーバの台数は減り、全体的なコスト削減につながる。また、オールフラッシュアレイはデータベースパフォーマンスも向上させる。オールフラッシュアレイを使えば、1台のデータベースサーバがサポートできるユーザー数が数千人とはいかないまでも、数百人増える。このため、購入する必要があるデータベースサーバの台数は減り、データベース設計が簡素化される。1台のサーバで大規模データベースを作成し、それを管理する方が、複数のサーバを使って大規模化したデータベースの場合よりも簡単だ。
データの保存効率
オールフラッシュアレイの価格に影響するもう1つの要因は、データの保存効率を向上させる重複排除や圧縮といった技術の普及だ。これらの技術は基本的に、より多くのデータをより少ないフラッシュアレイに詰め込むものだ。フラッシュアレイは、パフォーマンス要求を満たすためにドライブを増やす必要がないため、ドライブが減ることはオールフラッシュアレイでは問題ない。さらに、オールフラッシュアレイは基本的なパフォーマンスが高いことから、データの保存効率を高める技術を適用しても、目に付く副作用はほとんどない。
重複排除や圧縮の効果は主に、保存されているデータの種類に左右される。一般的に、重複排除の投資効果が最も高いのは、仮想サーバや仮想デスクトップのワークロードで、データ削減率は10分の1に達する。これに対し、データベースにおける圧縮の恩恵ははるかに小さく、削減率は通常4分の1程度にとどまる。仮想化とデータベースを組み合わせて同一システムで利用する場合で、削減率の目安は6分の1程度とされている。
データの保存効率を向上させる技術をHDDアレイに実装することは、理屈上は確かに可能だ。しかし、これについてはパフォーマンスへの影響に関する懸念が大きい。フラッシュアレイとは異なり、HDDアレイはパフォーマンスに余裕がないからだ。特に重複排除が問題で、データの一意性を確保するための大規模なメタテーブル構造が必要になることだ。HDDアレイでは、そのテーブルの参照に時間がかかるため、アプリケーションのパフォーマンスに目に見える影響が出るだろう。
上記のように、高パフォーマンスが要求されるシステムでは、SSDがHDDよりも物理デバイスが少なくて済む場合がある。それに加えて、重複排除や圧縮の効果による使用可能な容量の増加により、「オールフラッシュアレイがHDDアレイ並みの価格になるだけでなく、場合によっては価格面で優位に立つ」というシナリオが成立するようになっている。しかも、これはハードウェアコストを比較した結果であり、オールフラッシュアレイにおける調整と設計の簡素化によるコストの低減効果は考慮されていない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社クレオ] IT部門を“価値創造組織”へ転換 IT管理プロセスの改革で戦略的リソースを確保 -
製品資料
[株式会社クレオ] Excel管理が限界に――ITサービス管理の脱・属人化と運用高度化を実現する方法 -
製品資料
[株式会社クレオ] 西武グループやイオングループも実践 事例に学ぶ「ITサービスデスク業務」改善 -
製品レビュー
[株式会社クレオ] 「使われないITシステム」から脱却 現場が求める業務改善を実現する方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
2
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
3
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
4
世界PC出荷数が20%急減 情シスを直撃するPC先行調達の反動と価格高騰
-
5
326のIPアドレスで1200超のアクセス AIエージェント関与が疑われる攻撃の中身
-
6
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
7
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
8
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
9
IT業界の女性は9割が10年で消える 人材枯渇を招く“見えない壁”の正体
-
10
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー