次世代技術の導入検討前に考えること
「Windows 10」への移行準備、「企業は何もしないのが一番」に納得できる?
自社で保有するモバイル端末を管理するためいろいろな手段を取る企業は多いが、ユーザーが持つモバイル端末を管理している企業は少ない。このような管理をする場合の良い方法を紹介する。
私にとって2015年のカンファレンスシーズンは忙しい日々となった。
私はカンファレンスが好きだ。短い時間の間に多くの人と話ができるからだ。これは個人的な市場調査の機会であり、それを通じて多くのエンドユーザー企業で何が起きているのかを感じ取ることができる。
最近のカンファレンスで私が交わした会話の内容を要約すると、「混乱」の一語に尽きる。大手企業および中堅・中小企業のユーザーから聞いた話から判断すると、この状況は業界全体に当てはまるようだ。
関連記事
Windows 10の機能を知る
Windows 10のデバイスについて
エンドユーザーのためのIT
多くの企業は、この数年間を米MicrosoftのOS「Windows XP」から「Windows 7」に移行する作業に費やした。これらの企業は、「Windows 8」と「Windows 8.1」を飛び越して、「Windows 10」に直接移行する考えだ。これらの企業の従業員の圧倒的多数は依然として、伝統的なWindowsベースのデスクトップやノートPCを使っている。米Citrix Systemsのアプリケーション仮想化ソフトウェア「Citrix XenApp」は特定のアプリケーションやデスクトップ用として戦略的な理由で使われている。一方、数年前に注目されたものの、本格的に普及することのなかったVDI(仮想デスクトップインフラ)は、ごく一部の企業で利用されている。
モバイル分野では、エンタープライズモビリティ管理(EMM)製品を本格的に配備している企業は少ない。大抵の企業はMicrosoftのモバイル向けメールクライアント「Microsoft Exchange ActiveSync」と個別プラットフォーム専用のアプリケーションを利用して自社のモバイルニーズに対応している。自社で保有するモバイル端末を管理するのにEMMやモバイル端末管理(MDM)製品を利用している企業は多いが、従業員が所有するモバイル端末の管理には、こうした技術があまり利用されていないのが実情だ。
次に何をすべきか
こうした状況を背景として、ITプロフェッショナルたちはエンドユーザーコンピューティング(EUC)のトレンドについて次のような質問をするのだ。
- 「これから、どうすればいいのだろうか?」
- 「Windowsの『リモートデスクトップ(RD)セッションホスト』と公開アプリ用に米VMwareの製品を利用すべきなのか?」
- 「『XenApp 7』に移行すればいいのだろうか?」
- 「Windows 10への移行を準備する必要があるのだろうか?」
- 「DaaS(Desktops as a Service)を検討すべきなのだろうか?」
- 「VDIを積極的に推進した方がいいのだろうか?」
- 「XenAppにアプリをもっと追加すべきなのだろうか?」
私の答えは大抵決まっている。「EUCのトレンドに関しては、企業は何もしないのが一番いい」ということだ。
私は、エンドユーザーが何をどう使うかを事前に決めるのではなく、エンドユーザーが実際に何をどう使うのかという現実によって形成される自然なバランスが最も大切だと思っている。これは、ある大学でキャンパス内の広場を横切る歩道を設置する前に、1年間様子を見ることにしたという有名な話に似ている。この大学では、学生たちがどこを歩こうとするかをあらかじめ推測するのではなく、実際に彼らが歩いて泥だらけにした道筋に歩道を設置するというのだ。
言い換えれば、どの企業にとっても最善のツールというのは、現在使われているツールだということだ。その企業に向いていないツールは、そもそも使われていないはずだ。これは、私が何度か提起した「VDIがそれほど素晴らしいものだとしたら、既に皆が使っているはずだ」という主張に近い。
つまり、現在、社内のデスクトップの80%が物理デスクトップなのであれば、物理デスクトップを使い続けても恐らく大丈夫だということだ。社内の一部のデスクトップでVDIを利用しているだけであれば、これらのユーザーは今後もVDIを使って大丈夫だ。EMM製品を社内で利用していないのであれば、これからもEMMを使わなくても多分、大丈夫だろう。
IT部門は変化や進化を目指すべきでない、と言っているのではない。だが、どの次世代技術を採用すべきか検討しているのであれば、そうした技術なしで今までやってきたことを考えていただきたい。そうすれば、今まで通りのやり方でも大丈夫だと分かるはずだ。
本稿筆者のブライアン・マドン氏は、自分の意見を持ち、専門性が高く、強硬な独立路線を歩む、デスクトップ仮想化およびコンシューマライゼーションのエキスパート。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー