「Lightning」と「Office 365」が統合
MicrosoftとSalesforceの提携強化、“本当のニュース”から見えること
MicrosoftとSalesforceが提携を強化し、開発プラットフォーム「Lightning」とOffice365が統合される。さらに両社はIoTに向けて、大きな取り組みを考えている。
米Microsoftと米Salesforce.comは、Salesforceの新しい開発プラットフォーム「Lightning」とMicrosoftのクラウド版オフィススイート「Office 365」との統合に向けて提携を強化すると発表した。ただし本当のニュースは、両社が「IoT(モノのインターネット)」向けの新しいクラウドプラットフォーム「Salesforce IoT Cloud」(IoT Cloud)での連携を見据えていることだ。
クラウドベースのCRMベンダーであるSalesforceとOS大手であるMicrosoftは2014年、Salesforceの年次カンファレンス「Dreamforce 2014」において提携を発表した。かつてライバル関係にあった両社だが、2015年のDreamforceカンファレンスでは提携の強化を発表。MicrosoftはSalesforceの開発プラットフォームであるLightningのサポートを表明している。
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Lightningとの統合が予定されているのは、「Skype for Business」「OneNote」「Office Delve」などのOffice 365コンポーネントと次世代OS「Windows 10」だ。両社は2015年、提携の成果として、「Salesforce App for Outlook」と「Salesforce1 Mobile App for Microsoft Office」の2製品のリリースも発表した。両社技術の新たな統合により、MicrosoftユーザーはSalesforceのプラットフォームから直接、Webミーティングを設定したり、同僚がオンライン状態なのかを確認したり、音声/ビデオ通話を発信したりできるようになる。
ただしMicrosoft製品がLightningと統合されるのはまだ先の話であり、プレビュー版の提供開始は2016年下半期以降に予定されている。
米Wired誌のジェシー・ヘンペル氏が指摘するように、この提携は、両社技術の継続的な進化だけでなく、企業間の提携が必要とされるよう文化が変化したことの表れともいえる。
「2年前なら、Microsoftの幹部がDreamforceカンファレンスに登場するなど考えられなかっただろう」。Dreamforce 2015の基調講演にはMicrosoftのサティア・ナデラCEOが登壇したが、その席でナデラ氏と対談したヘンペル氏はそう語った。
IoT市場を見据えて提携を強化
かつてライバル同士だったMicrosoftとSalesforceの関係は提携によりますます強化される。一方で、この提携からは、モノのインターネット(IoT)市場が過熱する中、相互運用性の基盤を構築したいという両社の思惑も読み取れる。
両社はともに、IoT市場に積極的に進出している。SalesforceはDreamforce 2015の開催に当たり、ヘルスケア業界と金融業界向けの新しい業種特化型クラウドに加え、IoT Cloudを発表した。IoT Cloudはパイロット運用が2016年上半期に開始され、その後2016年中に一般提供される予定である。IoT Cloud担当執行副社長のアダム・ボズワース氏はIoT Cloudについて、「データから小さなトレンドを読み取り、即座にアクションを実行できるプラットフォームだ」と説明し、そうしたサービスの一例として、米Amazonが荷物を追跡し、同時に配送状況やトラブルを顧客に通知している事例に言及した。
Salesforce IoT CloudはMicrosoftとSalesforceの技術を利用し、デバイスのデータを利用可能かつ実用的なものにする。Salesforceのマーク・ベニオフCEOによれば、IoT Cloudは受信するデータストリームの処理にMicrosoftのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を使う予定であるという。一方、MicrosoftはWebサイトやアプリケーション、デバイスから収集したデータをIoT Cloudを使って処理し、Office 365のイベントデータを把握する。SalesforceはOffice 365のデータにルールエンジンを適用し、それをマーケティングプラットフォーム「Salesforce Marketing Cloud」で活用する。
Salesforce共同創業者のパーカー・ハリス氏によれば、IoT Cloudは1日数十億件ものOffice 365イベントのデータを取り込み、そのデータを事業機会に生かせるという。「例えば、Office 365を登録しているのに、まだSalesforceアプリをダウンロードしていないユーザーに対し、Salesforce Marketing Cloudからメールでリマインダーを送信できる」と同氏は説明する。
米戦略コンサルタント会社THINKstrategiesのマネージングディレクター ジェフ・カプラン氏によれば、両社の提携は、文化の変化だけでなく、オープンなエコシステムを促進する技術が新たに必要とされていることの表れでもあるという。
「両社の提携は、Microsoftの経営陣が刷新されたからこそ実現したものだ。もはやクローズドなシステムは受け入れられない。APIによってオープンシステムの考え方が広がり、それがIoTへの関心の高まりにもつながっている」と同氏は話す。
米コンサルティング会社CRM Essentialsの共同経営者であるブレント・レアリー氏は、「どこか1社がIoT市場を独占することにはならないだろう」と指摘する。
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