プラグイン無しで音声やビデオ通話が可能
Appleが発表した「Safari」のWebRTC対応計画、大喜びはちょっと待つべき?
AppleはSafariで、Webブラウザで音声やビデオ通話が可能になる「WebRTC」対応することを発表した。これにより一部で祝杯ムードになっているが、専門家はそれは次期早々と話す。その理由とは。
Appleは、同社のWebブラウザ「Safari」用にオンラインコミュニケーション規格「WebRTC(Web Real-Time Communications)」の技術開発をしていることを明らかにした。WebRTCは、Safariの他、Googleの「Chrome」、Mozillaの「Firefox」がサポートすることになる。一部の業界専門家はAppleの動きを称賛し、「WebRTC規格の本格普及への大きな一歩」と評しているが、「浮かれるのは早過ぎる」と警告する専門家もいる。
WebRTCの技術は、4年ほど前から存在している。企業はWebRTCのおかげで、Webブラウザ間でピアツーピアの音声やビデオ通話が可能な顧客対応Webアプリケーションを使用できるようになった。なお、WebRTC対応アプリケーションを販売するベンダーにはLiveOps、Avaya、Genesys、CafeX、 Cisco Systemsなどがある。
Appleは2016年4月、SafariのHTMLレンダリングエンジン「WebKit」にWebRTC技術を追加することを発表した。しかし、Appleは追加する具体的な時期を明らかにしておらず、同社に取材を依頼したが回答がなかった。
AppleがWebRTCのサポート時期を正式に表明するまでは、企業のWebRTC技術の利用にはあまり影響を与えそうもない。「AppleがWebRTC技術に対して、ある程度の関心を持って動いていることは分かっている。だがAppleの発表は、いつから、どの環境でサポートするかを正式に表明したものではなかった」と、WebRTC技術を追っている独立系アナリスト、ツァヒ・レベントレビ氏は指摘する。
Appleが、SafariでWebRTCをサポートすれば、WebRTC対応アプリケーションを使用する企業が増えると予想される。これらのアプリケーションがSafari、Chrome、Firefoxという主要なブラウザにおいて全て動作することになるからだ。
「AppleがSafariでWebRTCをサポートすれば、WebRTC対応アプリケーションの普及には弾みがつく可能性がある。普及の障害が1つなくなるからだ。しかもAppleのサポートはこの技術にとってプラスになる」と、調査会社Nemertes Researchのアナリスト、アーウィン・ラザー氏は語る。
Webサイトで音声・ビデオ通話を使うことができる顧客対応アプリケーションで、Safariをサポートしたい企業は、これまでは訪問者にプラグインのダウンロードを求めなければならない。WebRTC技術がWebサイトにもたらす機能には、クリックツーコール(クリックするだけで通話ができる)やビデオ通話が含まれる。
Nemertes Researchが2015年に実施したベンチマーク調査では、WebRTC技術を使用している企業は、回答企業全体の4%にとどまるが、32%の企業がこの技術を評価中であることが分かった。WebRTC市場の先行きは明るいようだ。また、MarketsandMarketsが公開している調査報告によると、この市場は成長を続け、2020年には44億5000万ドル規模に達する見通しだという。
「WebRTC技術の明るい見通しとAppleの最近の動きから、この技術の支持者は祝杯を挙げている。だが、それは時期尚早だ」と、レベントレビ氏は指摘する。「実のところ、先日の発表では、Appleは何も言っていないに等しい。それなのに、WebRTC支持者は皆、お祝いムードになっている。具体的には一体何を祝っているのだろうか」(レベントレビ氏)
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