リストアを待たずに仮想マシンのデータを使える
30分までのダウンタイムが許せるなら「リカバリーインプレース」はいい選択肢か?
新たなデータ保護手法の1つに「リカバリーインプレース」(インスタントリカバリ)という高速リカバリ技術がある。この手法は有用だが、多少の事前計画が必要になる点に留意したい。
「リカバリーインプレース」とは、ストレージシステムの障害から復旧する方法を根本的に変える新たなデータ保護手法だ。バックアップソフトウェアの機能であるリカバリーインプレースを使用すると、アプリケーションはバックアップストレージデバイスから直接データにアクセスできる。そのため、問題のあるストレージデバイスを置き換えて、ネットワーク全体のデータを復旧するのに必要な時間を短縮することができる。
リカバリーインプレースとは
リカバリーインプレース技術が最も普及しているのは仮想環境である。一部のバックアップソフトウェア製品やサービスでは、この機能をベアメタルサーバで利用できるようにしている。また、リカバリーインプレースのようなデータ保護の手法では、アプリケーションからアクセス可能なボリュームとしてバックアップジョブを提供することができる。アクセス可能なボリュームにアクセスできるようにするための所要時間は、アプリケーションがデータを保存している方法とアクセスする仕組みによって異なる。データが未加工のネイティブ形式で保存されている場合、ボリュームはほぼ瞬時に準備できる。ただし、ネイティブ形式は容量効率が低いため、テープのようなセカンダリーストレージデバイスへの転送が難しくなる場合がある。
リカバリーインプレースをフル活用するには事前の計画は欠かせず、バックアップストレージデバイスには、長期間にわたってプライマリーストレージとしての「役割」を果たすことが求められる。つまり、バックアップストレージは適切に動作するだけでなく、運用に耐えられるだけの十分な冗長性がなければならない。ただし、ほとんどのバックアップストレージデバイスは、安価にデータを保存するように最適化されている。そのため、必ずしも高いパフォーマンスが備わっているとは限らない。
データ保護手法を検討する場合は、主に次の3つの考慮事項がある。
- 重複排除:重複排除はディスクのバックアップのコスト効率を向上する。だがその一方で、パフォーマンスの問題を引き起こす可能性もある。重要な問題となるのは、マウントされたボリュームではデータを読み書きしながら、瞬時に重複排除する必要があることだ。一部のディスクアプライアンスは、この問題をネイティブ領域、つまり重複排除の対象にならない着地領域を作ることで克服している。また、余分にディスクスピンドルやプロセッサを用意することで、重複排除プロセスを高速化してシームレスに実行できるようにしているディスクアプライアンスもある。
- バックアップ頻度:リカバリーインプレースを使用すると、アプリケーションは30分以内のデータにアクセスできるようになる可能性がある。ただし、前回のバックアップが昨晩だとしたら、ユーザーやアプリケーションは前日のデータを使用して作業することになる。この状況から、リカバリーインプレースのようなデータ保護手法を受け入れられない場合がある。また、リカバリーインプレースを第一のデータ保護手法とする場合、バックアップ管理者はユーザーとアプリケーションの需要を満たす頻度でバックアップしなければならない。
- 通常のパフォーマンスレベルに基づいたユーザーの期待:例えば、ユーザーがオールフラッシュアレイを利用しているとする。その場合、重複排除と圧縮が施されたHDDベースのバックアップアプライアンスでアプリケーションを実行しても、ほぼ役に立たないと見なされる可能性がある。
解決策は、非重複排除領域を備えたディスクバックアップアプライアンスを用意するか、準備用の領域としてセカンダリーディスクアレイを使用するかの2択だ。このディスクアレイには直近のバックアップを送り、本来のディスクバックアップアプライアンスには古いバックアップを送ることができる。
最善のユースケース
リカバリーインプレースは、レプリケーションや他の形の高可用性データ保護の代わりにはならない。IT担当者は、ボリュームの準備中に少なくとも30分のダウンタイムが生じることを想定すべきだ。また、パフォーマンスの低下にも備えなければならない。これは、バックアップアプライアンスがプライマリーストレージシステムと同等の性能を発揮する可能性はほとんどないからだ。最後に、この種のデータ保護手法では、バックアップの頻度を計算に入れる必要がある。30分より短い間隔でバックアップを実行できるなら、リカバリーインプレースは非常に現実味のあるコスト効率の高いアプローチになることだろう。
このような考慮事項はあるものの、大抵の企業では、ミッションクリティカルなアプリケーションが30~60分で復旧すれば満足するだろう。だが、中にはもっと短い復旧時間を望んでいたり、もっと短い復旧時間を必須とする企業も存在する。大体の目安として、30分未満の復旧時間を実現するにはレプリケーションが必要だ。この方法なら、データ保護イベントの発生頻度が高くなり、データはすぐに使用できるネイティブ形式で保存される。
リカバリーインプレースは「インスタントリカバリ」と呼ばれることもある。だが、実際のところ、このようなデータ保護手法は大部分の標準的なリカバリ手法より高速であるものの、データを瞬時に復旧できることはめったにない。このリカバリ手法に期待しているIT担当者は、最低30分の空白時間は想定しておくのが肝要だ。リカバリーインプレースではディスクバックアップアプライアンスの再検討も必要になり、バックアップアプライアンスの代わりにセカンダリーディスクアレイも使用せざるを得ないだろう。だが、ワークロードやデータセンターの大半では、リカバリーインプレースをデータ保護戦略の基礎として使用することができる。
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