「kintone hive vol.3」レポート【後編】
情シスだからできた、kintoneの広く深い活用方法をDeNA、京王電鉄バスに学ぶ(1/2 ページ)
業務アプリケーション開発用PaaS「kintone」によって、年間5000件に及ぶアカウント管理業務を自動化したDeNA、業務効率化の文化を根付かせた京王電鉄バスの事例をお伝えする。
サイボウズは2016年5月26日、同社が提供する業務アプリケーション開発用PaaS(Platform as a Service)「kintone」の活用ノウハウを共有するユーザー会「kintone hive」を開催した。前編「業務部門主導のkintone事例、東急電鉄がシェアオフィス事業で活用」に続き後編では、情報システム部門/IT部門が中心となって導入したkintoneの事例を紹介する。
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150本のkintoneアプリが稼働するDeNA
「kintoneを使い倒していると言ってもいいほど活用しています」と語るのは、ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)IT戦略部の山本優三氏だ。同社は2013年度にkintoneを導入し、まずIT部門で使い込んで各機能を把握し、その後社内システムに展開していった。
2014年から2015年にかけて、国や地域によってバラバラだった社内のワークフローシステムをkintoneで統一した。その後もkintoneを使ったアプリ(以下、kintoneアプリ)開発は続き、2016年現在では150本程度のkintoneアプリが社内で稼働している。山本氏はkintoneを使い始めたそもそもの理由として、次の4項目を挙げた。
- クラウドで提供されていること
- 海外拠点も含めて全社にスピード感をもってサービスを展開するために、クラウドである必要性があった
- UIが分かりやすいこと
- 日本の従業員だけではなく海外の従業員も利用するため、直感的に分かりやすいユーザーインタフェース(UI)でサービスを提供できなければならない。さらに、必要に応じてUIを自分たちでカスタマイズできることも重要
- 多言語に対応していること
- 単に多言語が表示できるだけではなく、エンドユーザーの設定言語に応じて自動的に表示言語が切り替わることが望ましい
- APIによる外部システムとのデータ連係が可能なこと
- メンテナンスを自動化するためには、外部システムからkintone内のデータにアクセスする必要がある。またシステムが複雑化すればするほど、社内外の他システムとの連携は増えていくため、APIが用意されていることは欠かせない要件
多数のkintoneアプリが稼働するDeNAが今回紹介したのは、社内のアカウント管理システムでの活用例だ。従業員が増えれば増えるほどシステムのアカウント数は増える。現在DeNAで働く従業員はグループ全体で2000人を超えており、「従業員数×システム」数分のアカウント管理負荷がIT部門にのしかかっている状況だ。
しかもDeNAでは「毎月、毎週のように入社する人がいます」(山本氏)という状況で、内定から入社までの期間も短く、短期間で業務に必要なアカウントを用意しなければならない。一方でセキュリティ面を考えると、退社時には速やかにそのアカウントを停止する必要もある。
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年間5000件に及ぶアカウント管理業務を自動化、セキュリティも向上
入社、退社、移動、雇用形態変更は年間5000件に及ぶ。その全てに正しい権限を持つアカウントを発行し、従業員がシステムを使いやすいように提供しなければならない。それも国内だけでなく、世界中にあるDeNAの拠点で働く従業員が対象だ。数も頻度も内容も、人手だけで対応するのは現実的ではなく、システム化は当然の流れだといえる。目指した姿はアカウント管理を完全自動化し、IT担当者が手を加えることなく採用担当部門だけでアカウント管理が可能になることだ。
アカウント管理の統一基盤として使用しているのは、Microsoftのディレクトリサービス「Active Directory」(AD)。またADと連動するシングルサインオン(SSO)システムも導入しており、各システムへのアクセス経路も制御している。
従業員はSSOシステムで一度認証すれば、業務に必要な個別のシステムには再度認証することなくアクセスが可能だ。逆にSSOシステムを経由せずに直接各システムにアクセスすることはできない設定にしている。「入口となるSSOシステムさえ制御すれば全ての業務システムへのアクセスを確実にコントロールできます」と山本氏は述べる。
こうした既存のシステムを背景としてkintoneを使ってアカウント管理システムを構築した。採用担当部門がkintoneで新規アカウントを申請すると、kintoneがバックエンドで、勤怠や給与情報以外の社員情報を人事システムに送信。人事システムは社員番号を払い出し、kintoneへ通知する。kintoneは受け取った社員番号を基に、勤怠給与システムに社員情報を送信する。この後、人事システムがアカウント制御システムに対して社員情報を送信し、アカウント制御システムがADやグループウェアなど業務に必要な各システムに自動的にアカウントを作成する仕組みだ。人事システムはアカウント制御システムに入社日や退社日の情報も送り、退社後には速やかにアカウントを削除するようにしている。
自動化による最大の効果は、やはり省力化だ。年間5000件の入社、退社、移動、雇用形態変更手続きに伴って適正なアカウントを自動的に作成、削除できるようになった。山本氏は「申請から2時間程度でアカウントを自動生成するのでスピード入社にも対応できますし、最終出社日の深夜過ぎにはアカウントを自動停止するのでセキュリティも向上しています」と効果を説明する。
省力化の恩恵を受けているのはIT部門だけではない。従来、人事部の担当者は定期的に社員情報をCSVファイルで出力し、勤怠給与システムに投入するといった具合に、手動でシステム連係を実現していた。これも自動化し、システム間でタイムリーに社員情報が反映できるようになった。
山本氏は効率化のコツを次のように語る。「アカウント管理に限りませんが、工数が多いから人を増やすという発想は持たないようにしています。どう効率化していけるかを追求し続けており、そのためにkintoneを活用していく予定です」
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