ChatOpsで進化するIT部門のコミュニケーション【第1回】
メールからチャットへ――「Slack」「LINE」が変える情報共有と開発手法(1/2 ページ)
業務における情報伝達手段がメールからチャットに変化している。同じく開発・運用の現場でも、チャットをハブとして利用し、情報共有の効率化やITの自動化を進める「ChatOps」という考え方が浮上している。
これまで、業務におけるコミュニケーションの手段といえばメールが主流であった。それが今、「Slack」や「ChatWork」「HipChat」などのチャットサービスに置き換わりつつある。チャットが業務に必要な情報を集約したり、ビジネス、開発、運用を連携させるハブの役割を果たしたりするようになったからだ。今回はチャットの歴史から、注目されるようになった理由やDevOpsとの関係性などを解説する。
チャットとメッセンジャーの歴史
「チャット」は、ネットワークを介したリアルタイムなコミュニケーションのことである。基本的に文字をやりとりするテキストチャットのことを指す。他にも、音声をやりとりするボイスチャットや、動画をやりとりするビデオチャットも存在する。
チャットと「メッセンジャー」の違いは、ユーザーの規模やサービスの利用形態にある。チャットは複数人が参加し、トピックごとに部屋を分けて比較的長い文をやりとりすることが多い。それに対してメッセンジャーは、個人や少人数で、短い会話をやりとりすることが多い。チャットは主にWebブラウザ経由で利用し、メッセンジャーはWebブラウザ経由に加えアプリケーションをインストールして利用することが多い。
古くからあるチャットとして、IRC(Internet Relay Chat)がある。IRCは1988年に登場し、ユーザー同士がサーバを介して会話する。サーバは企業内に構築したり、インターネットに公開されているものを利用したりする。「ボット」(Bot)と呼ばれるプログラムを常駐させることで、指示を与えて他のサービスから情報を取得することもできる。しかし、標準機能では過去のログを閲覧できず、ファイルの送受信機能も不十分といった問題が存在した。
その後、「Skype」「Skype for Business」「LINE」といったメッセンジャーが登場した。これらのメッセンジャーではファイル共有ができたり、音声や動画で通話できたりと、IRCより高機能である。また、クライアントPCだけでなくスマートフォンにも対応しているため、今日でも多くのユーザーが利用している。しかし、IRCのように規格が公開されていないものもあり、他サービスとの連係に難があった。
そこで登場したのがSlackやChatWork、HipChatなど、さまざまなサービスと簡単に連係できるチャットサービスである。リッチなUI(ユーザーインタフェース)やマルチデバイスへの対応、履歴の検索やファイルの共有などのモダンな機能を備えている。いわば、チャットとメッセンジャーの“いいとこ取り”をしたサービスである。このようなチャットサービスが、コミュニケーションの手段としてだけでなく、さまざまな情報共有のハブとして注目されるようになってきた。
情報共有のハブとしてのチャット
これまで業務に必要な情報の共有・通知には、メールを使うことが主流だった。しかし、大量のメールをフィルタリングしたり、重要度を付けたりするのは簡単ではない。複数人への共有や通知の整理、リアルタイム性ではチャットが優れているといえるだろう。
例えばSlackでは、「All your tools in one place」(全てのツールを1つの場所で)というスローガンを掲げている。Slackと連係可能なサービスは、SlackのWebサイト「App Directory」で一覧を確認できる。連係できるサービスは、「GitHub」(バージョン管理)のような開発者向けのものだけでなく、「Google Calendar」(スケジュール管理)や「Trello」(タスク管理)など一般ユーザー向けのものもある。Slackでは数回のクリックと認証だけでこれらのサービスと連係可能だ。また、チャットサービスが標準で連係機能を提供していない場合には、APIを通じて連係する方法もある。
チャットとの連係によって、チャットサービスの画面に「毎朝1日の予定をサマリーで表示する」「会議の開始時間にアラートを出す」など、通知を受けることができる。部署やプロジェクトごとにチャットルーム(複数人が入る部屋)を作れば、通知の整理も簡単だ。自分に関連するチャットルームに入ることで、よりスムーズにコミュニケーションができるようになるだろう。
通知とコミュニケーションが同じプラットフォームで行えるのもチャットの大きな魅力である。例えば、製品に関するユーザーからの問い合わせがあった際、そのことがチャットサービスに通知されると、その通知を基に複数の関係者で会話を始めることができる。そこでは「誰がその問い合わせに対応するのか」を調整したり、製品の問題には開発者も交えて議論したりすることもスムーズだ。
このようにチャットには、メールだけでは難しかった情報共有のハブとしての機能が注目されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ChatOpsで進化するIT部門のコミュニケーション
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
AI時代の自律的なパートナー 「データエージェント」構築&活用ガイド -
製品資料
使用中のデータを保護して安全な共同開発へ、クラウド時代のデータセキュリティ -
製品資料
“AIによる高速な脆弱性検出”対策を行う、RHELの統合セキュリティ機能とは? -
製品資料
企業ITを支える定番Linuxの運用管理、手動の限界を乗り越える手法とは? -
製品資料
AIとクラウドネイティブの課題を解決する、シンプルで費用対効果に優れた方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
2
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
3
イーロン・マスク氏が生成AI「Grok」をオープン化する“語られない狙い”
-
4
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
5
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
6
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
9
ライオンが脱レガシーシステムのパートナーに「Google Cloud」を採用した理由
-
10
Azure Red Hat OpenShiftは脱VMware問題の救世主になるか? 技術資料で解説
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
5
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
8
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
オープンウェイトLLMの推論最適化事例:ローカル環境で応答速度を約15分の1へ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー