「App-V」「UE-V」が「Windows 10 Enterprise」に搭載へ
「Windows 10」次期更新で「Pro」ユーザーが迫られる“究極の選択”(1/2 ページ)
Windows 10の大型アップデート「Windows 10 Anniversary Update」には、企業向けの新ツールや新機能が備わる。だが「Windows 10 Pro」のユーザー企業は落胆するかもしれない。
「Windows 10 Anniversary Update」は、Microsoftが既存の「Windows 10」ユーザー向けに2016年8月2日にリリースする大型アップデートだ。企業向けの高度なセキュリティ機能に加え、Microsoftの仮想化ツールである「Application Virtualization(App-V)」「User Experience Virtualization(UE-V)」を搭載する。
中~大規模企業向けエディション「Windows 10 Enterprise」のユーザー企業には、App-VやUE-VをOSの一部として提供する。これらのツールを使うために必須だったボリュームライセンスプログラム「ソフトウェアアシュアランス」(SA)の契約は、ボリュームライセンスの内容によっては不要となる。
一方で現在、小規模企業向けエディション「Windows 10 Pro」でApp-VとUE-Vを使用しているユーザー企業が、今後も両ツールの最新版を使い続けたい場合、Windows 10 Enterpriseへ移行する必要がある。それには時間もコストもかかる。
Windows 10 Proユーザーの戸惑い
「戸惑うWindows 10 Proユーザー企業もあるだろう」と、調査会社IDCのアナリスト、ロバート・ヤング氏は語る。大規模なIT部門であれば、Windows 10 ProからWindows 10 Enterpriseへ移行してApp-VとUE-Vを使い続けるのも手だ。だが中堅・中小企業(SMB)は、これを機にVMwareのアプリケーション仮想化ツール「VMware ThinApp」などの競合製品へ移行する可能性がある、と同氏は指摘する。
一方でApp-VとUE-VがOSに搭載されるということならば、現在Windows 10 Enterpriseと競合他社のアプリケーション仮想化ツールを使用しているIT部門は、App-VとUE-Vへの切り替えを検討するようになるだろう。
IDCによれば、2015年に販売されたWindows 10の法人向けライセンスは、約8割をWindows 10 Proが占めたという。「MicrosoftはこうしたWindows 10 Proユーザー企業にEnterpriseエディションへの移行を促そうとしている」とヤング氏は指摘する。
1年前にWindows 10をリリースした際、Microsoftは従来のWindowsの上位エディションを利用していた企業に対し、Proエディションへのアップグレードを無償で提供した。だが、この無償期間は2016年7月29日で終了する(Windows 10 Enterpriseは最初から無償アップグレードの対象ではない)。
投資銀行Needham BankのIT担当上級副社長ジェームズ・ゴードン氏は「MicrosoftがWindows 10を1年間無償で提供してきた理由がはっきりしてきた」と語る。Proエディションにアップグレードした企業にとっては、今後、必要な機能が無料ではなくなるということだ。「こうした企業は『Windows 7』へ戻るわけにもいかず、立場的に弱い。微妙な変化について1年前に予告しなかったのは非常に残念なことだ」(ゴードン氏)
App-VとUE-Vは現在、SAを契約した法人向けのWindows関連ツール群「Microsoft Desktop Optimization Pack」(MDOP)を通じて提供されている。App-VとUE-VがWindows 10 Enterpriseに搭載されれば、両ツールのアップデートやパッチはWindows 10の自動アップデートに組み込まれる。従ってIT管理者は今後、これらのツールを個別に管理する必要がなくなる。医療技術事業者MillarのIT管理者であるスティーブン・パワーズ氏によれば、App-VはさらにWindows 10非対応のレガシーアプリケーションをWindows 10搭載クライアントPCに配布するのにも役立つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
AI時代のITインフラ戦略とは? 販売代理店が知っておきたい最新トレンド
-
8
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
9
人間のせいでAIエージェントの生産性が上がらない
-
10
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー