一筋縄ではいかない
OpenStackのスケーラビリティはIT担当者にとって“我慢大会”
OpenStackのコンポーネントは絶えず進化しており、そのことが返ってOpenStackのスケーラビリティ向上を阻害している。この問題が根強いのはなぜか、どうすれば克服できるのかを見ていこう。
OSS(オープンソースソフトウェア)のクラウド構築基盤「OpenStack」のユーザーにとって、スケーラビリティはかねてより大きな問題となっている。OpenStackが進化を続けているからだ。OpenStackは、大規模なクラウドクラスタを構築、運用できるソフトウェアプラットフォームの提供を目的としている。だが以前から、このミッションの達成を妨げる弱点を抱えている。小規模なテスト用のサンドボックス環境ではうまく機能しても、初期運用後の大規模運用への移行が難航するケースが多い。
OpenStackのスケーラビリティを高めるのは一筋縄ではいかない。まず、多くのベンダーのOpenStack用プラグインやツールはスケーラブルではない。スケーラビリティの強化に役立つプロプライエタリなツールを提供するベンダーもあるが、こうしたツールにはロックインのリスクがある。
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OpenStackのスケーラビリティ問題を分割
OpenStackのスケーラビリティ問題の中心を占めるのは、ネットワークのようだ。OpenStackのネットワークモジュールである「Neutron」は、最大30程度のノードへのスケーリングにしか対応していない。これに対し、競合するパブリッククラウドサービスでは、既に数万台のサーバで数百万台の仮想マシン(VM)が稼働している。こうしたスケーラビリティの低さが、OpenStackを検討する企業が導入に二の足を踏む要因となってきた。
Neutronの問題の一因は、OpenStackのコアモジュールである「Nova」がサポートするネットワークモデルにある。このモデルのせいでクラスタサイズが制限され、仮想LAN(VLAN)の構築と解除が遅れてしまう。これは、OpenStackをサンドボックスで使用する上では支障にならないが、本番環境でスケールアウトが必要になると大きな問題になる。
MirantisやHewlett Packard Enterprise(HPE)など多くのOpenStackパートナーが、ソリューションの候補を考案してきた。だがSDN(Software-Defined Networking:コモディティ半導体を採用した安価なホワイトボックススイッチに低コストなソフトウェアで価値を付加するとうたわれている)が市場に登場してきており、MirantisなどのOpenStackパートナーは競争にさらされている。
ベンダーの管理下にあるOpenStackディストリビューションのようなターンキー型のプラットフォームを購入する場合は、ベンダーが多数のサーバラック間のネットワークについて、実用的なスケーラビリティを実証していることを確認しよう。具体的なセットアップの説明とテストを見たいと頼むとよいだろう。
OpenStackの「Heat」モジュールを利用した自動水平スケーリング(多数のVM起動)も、スケーラビリティに関しては問題がある。自動水平スケーリングは「Ceilometer」モジュールがVM内のワークロードを監視し、監視結果に応じてHeatが自動的にVM数を増減させるという仕組みだ。
OpenStackのディストリビューションはたくさんあり、これらには独自のモジュールが追加される一方で、残念ながら多くの場合、主要モジュールの一部が含まれていない。Ceilometerは省かれていることが多く、そのためにカスタム監視エージェントが必要になる。OpenStackのユースケースは多岐にわたるため、その相互運用においてバグが多発するのはほぼ確実だ。となると、選択肢はCeilometerが広く導入されるのを忍耐強く待つことしかない。
ロードバランサー機能にも同様の問題がある。Neutronはロードバランサーをサービスとして提供し、Heatはそれをフルサポートしている。しかし一部のディストリビューションではその機能が用意されておらず、代替手段を探す必要がある。GitHubで公開されているOSSの「HAProxy」プログラムが1つのソリューションになるかもしれない。
OpenStackのネットワーク問題の解決
OpenStackでは高度なネットワークオペレーションも、スケーラビリティに関わる厄介な問題に見舞われる。例えば仮想ネットワーク接続機能はちょっとした悪夢だ。接続の確認が簡単ではなく、ファイアウォールのように外部と接する機能の接続が失われる恐れがある。またサービスチェーンに新しいサービスを挿入することも困難だ。IT部門はサービスの接続性を破棄し、ゼロから再構築する必要がある。
接続が切れ、回復すると、スタートアップストーム(VDIにおけるブートストームとやや似ている)が発生することもある。その場合、数万ものノードが低速の暗号化プロセスと分散エージェントを使用して再接続しようとするため、ネットワークに過負荷が掛かり、IT部門は大わらわで事態の収拾に追われることになる。
OpenStackのスケーラビリティに関わるこうしたネットワークの問題は、部分的にはNovaに起因しており、セキュリティモジュールの「Keystone」もボトルネックになっている。Novaを注意深くチューニングすれば、こうした問題を大幅に減らし、ネットワークのセットアップをスピードアップできる。例えば、IT部門はNOVA APIワーカーおよびコンダクタワーカーを増やすことで、リンク作成のボトルネックを解消できる可能性がある。また、ネットワークサービスを分散する効率的な低フットプリントのプラットフォームである「OpenContrail」を利用して、Neutronの問題の一部に対処することもできる。
OpenStackのスケーラビリティ問題は絶えず変化していく。OpenStackのコンポーネントが進化しているからだ。ブログや記事を読んで、最新の情報や動向を常に把握しておこう。そして全体的に、オープンソースクラウドのメリットは絶大だが、その進化は大きな問題にもなることを念頭に置いておこう。
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