IBM、Microsoft、Oracle、SAPがモバイルアプリ開発に熱視線
Microsoftが「iOS」「Android」アプリ開発者を支援する“したたかな狙い”(1/2 ページ)
IBM、Microsoft、Oracle、SAPの4大ベンダーが、モバイルアプリケーション開発市場でしのぎを削り始めた。各社の戦略を見ていこう。
基幹業務を担うビジネスアプリケーションに依存する企業が増えるのに伴い、大手独立系ソフトウェアベンダー(ISV)各社は、モバイル構想に役立つツールを開発者や顧客企業に提供する取り組みを進めている。
IBM、Microsoft、SAP、Oracleなどのベンダーが提供するビジネスアプリケーションのユーザー企業は、これらのアプリケーションをモバイル化する作業を始めたようだ。一方、ベンダー各社も最近になってようやく、出来合いのモバイルアプリケーションや、既存アプリケーションのモバイル化を支援するツールの提供を開始した。
併せて読みたいお薦め記事
悲喜こもごものモバイルアプリ開発
- Appleの開発言語「Swift」は「素晴らしい!」、IBM担当者が感動した理由は
- iPhoneアプリ開発で「心が折れない」ために知っておくべきこと
- なぜ「社長の一押しモバイルアプリ」は現場で使われないのか
検証、「HTML5で業務アプリができる」は本当か
IBM
IBMは2012年にクロスプラットフォーム開発ベンダーのWorklightを買収した後、自社の「MobileFirst」製品群の下で広範なモバイル関連ツールを発表した。同社のモバイル戦略の中心となるのは、アナリティクス、アプリケーション、クラウドコンピューティングインフラ、エンタープライズモビリティ管理(EMM)だ。これらの製品/技術を連係し、さらにMBaaS(サービスとしてのモバイルバックエンド)やモバイルアプリケーション用のRAD(高速開発)ツールを追加することにより、インフラとアプリケーションのモバイル化のための強力な環境の提供を目指す。
同社は「Linux」のサーバサイド環境や「OS X」でクラウドアプリケーションを利用できるようにするために、Appleのプログラミング言語「Swift」のサポートも追加した。さらにイベント駆動型プログラミングサービス「OpenWhisk」も開発した。OpenWhiskはマウスクリックなどの操作が発生したり、他のプログラムからのメッセージが到着したりしたとき、アプリケーションをどう挙動させるかを定義できる。OpenWhiskを利用すれば、独立性の高い小規模なサービス(マイクロサービス)を組み合わせる「マイクロサービスアーキテクチャ」という開発手法に基づいたアプリケーション開発が可能だ。
Microsoft
2014年にサトヤ・ナデラ氏がMicrosoftの新最高経営責任者(CEO)に就任して以来、同社はモバイルアプリケーションの開発を容易にすべく、「Windows」「Office 365」「Microsoft Azure」「SharePoint」「Visual Studio」を連係する取り組みを進めてきた。一方で同社のスマートフォン「Windows Phone」は、Appleの「iOS」やGoogleの「Android」搭載デバイスから後れを取っている。
こうした状況を考えれば、Microsoftが2016年2月にクロスプラットフォーム開発ベンダーのXamarinを買収したのは、タイムリーだったといえる。MicrosoftのVisual Studioを使ってiOSやAndroid、Windows用のネイティブアプリケーションを開発できる強力なツールを提供するXamarinの高い技術力は、Microsoftの将来の鍵となりそうだ。
Xamarin環境で開発したアプリケーションは、ネイティブAPIをフルに利用することで、優れたユーザーエクスペリエンスと強力なパフォーマンスを提供する。開発者にとって重要なポイントとなるのが、プログラミング言語「C#」のスキルと、開発実行環境「.NET Framework」のライブラリを使って、全てのモバイルOSに対して同じコードを書くだけでよくなることだ。
MicrosoftはAzureとXamarinを組み合わせることで、多様なOSやデバイス向けのアプリケーション開発手段を提供できる。MicrosoftはXamarinの買収後間もなく、Visual Studioの開発者全員にXamarinの同名ツールを無償で提供することを決めた。顧客企業に対して、Microsoft製品群を中心とした、クロスプラットフォームでのモバイルアプリケーション開発を促すのが狙いだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー