非専門家のためのヒント
クラウドのSLA設定に答えはあるのか? セキュリティ担当者が考えたい“必須項目”
最高情報セキュリティ責任者(CISO)がクラウドのサービスレベル契約(SLA)を策定する際に役に立つ幾つかのヒントを、セキュリティ情報の専門家が紹介する。
今でこそ当たり前となったクラウドだが、ほとんどの最高情報セキュリティ責任者(CISO)にとってクラウドは未知の領域だ。それでも、企業がクラウドサービスプロバイダーとの提携を決断すれば、CISOは企業のセキュリティ面を管理監督しなければならない。その場合、クラウドのサービスレベルアグリーメント(SLA)の作成や確認について企業が知っておくべきことは何だろうか。本稿では、クラウドの専門家ではないCISOがクラウドサービスやクラウドサービスセキュリティプロバイダーのSLAを策定するべき方法とクラウドプロバイダーとのSLAに組み込むべきものを紹介する。
サービスレベル契約(SLA)は企業にとって欠かせないものである。だが、その効果は、有効範囲、可用性、セキュリティ上の主要な領域に対処しているかどうかによって異なる。また、SLAの諸条件には、サービスの不履行によってSLAが満たされない場合の顧客に対する違約金や還付金も含めなければならない。企業の法務チームは、SLAが適切な文言によって企業を懸念事項から適切に守られるようにすることができる。
特にデータ保護とセキュリティにおいて、クラウドはSLAのプロセスに異なるアプローチを取り入れている。アクセス管理、ユーザーのプロビジョニングと管理、データベースの制御、リモートアクセス、サーバOSの強化、パッチ適用、脆弱性管理、ネットワークセキュリティといった従来の制御は、クラウドサービスでの運用方法と管理方法がそれぞれ異なる。
PCI Standards Security Councilが2013年2月に発行した「PCI DSS Cloud Computing Guidelines」では、さまざまなサービスモデルにおける顧客とクラウドサービスプロバイダー(CSP)の管理と責任の度合いについて説明されている。サービスモデルによっては、顧客がクラウド環境の管理とセキュリティに対して責任を負うことになる。SLAは、クラウドのサービスモデルと合致し、クラウドセキュリティに関する固有の責任と共通の責任を詳細に明記していなければならない。
「Amazon Web Services」など、一部のクラウドサービスでは、「AWS がクラウドのセキュリティを管理している一方で、クラウドにおけるセキュリティはお客様の責任となります」などと明記されている。
クラウドのSLAに組み込まなければならないもの
最近公開されたWiredの記事「Service Level Agreements in the Cloud: Who Cares?(クラウドにおけるサービスレベルアグリーメントを誰が気にするのか)」では、クラウドのSLAに対する基準が一覧で示されている。この基準には、“可用性”(業務時間中は99.99%、夜間や週末は99.9%など)、セキュリティとデータのプライバシー(格納および転送される全データの暗号化など)、データへのアクセス(読み取り可能な形式でプロバイダーからデータを取得できるなど)が含まれる。企業はデータのセキュリティに関して、格納されているデータや転送中のデータ全てに対するアクセス管理を確認する必要がある。これには、クラウドサービスに対するネイティブな暗号化方法またはサードパーティー企業が提供する暗号化方法のいずれか、役割ベースのアクセス制御が含まれる。その他には、データの位置、変更管理、スムーズな移行に必要な撤退戦略も挙げられている。
クライアントである企業は、クラウドのSLAの記述が自社に関連付けられていることを確認する必要がある。多くの場合、クラウドのSLAは特定の地域の可用性を網羅するように書かれており、特定企業の可用性については書かれていない。その結果として、ある地域で特定の企業にだけ悪影響を与えるサービス停止があったとしても、クラウドサービスプロバイダーはサービスがSLAの要件の範囲内だと主張できてしまう。災害復旧、問題解決、変更管理にも、これと同じことが当てはまる。
クラウドのSLAには、責任条項、契約解除条項、監査条項の制限も含めなければならない。これにより、合意済みのSLAの正確さを評価する際に、より強固な主体性と影響力が得られる。クラウドサービスプロバイダーが抵抗したり追加料金を請求したりしてくる可能性はあるが、これらの条項とSLAについて交渉することは重要である。ひどい目に遭うよりは、クラウドサービスプロバイダーに立ち向かってみることをお勧めする。
それから、クラウドセキュリティについても学習されたい。Cloud Security Allianceのメンバーになり、クラウドセキュリティのトレーニングを探したり、SANS Instituteや(ISC)2などの名高い企業からクラウドセキュリティの認定資格を取得したりするのも良いだろう。全体的に見て、クラウド環境のデータ保護では適切なところに焦点を当て続けることが重要だ。CISO以上に自社のクラウドセキュリティを懸念している人物はいない。
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