まずは小規模環境でお試し
「Windows 10」の“共有PCモード”とは? 意外に便利な機能を紹介
「Windows 10 Anniversary Update」は、複数ユーザーがPCを一時利用する環境を前提とした“共有PC”を作るモードを新たに導入した。公共施設や企業の共用スペースといったシーンで活躍するかもしれない。
「Windows 10」の共有PCモードは、特定のタイプのワーカーにとって便利な機能だ。IT管理者はこの新機能をよく理解しておく必要がある。
共有PCモードは、「Windows 10 Anniversary Update」(Windows 10バージョン1607)で搭載された。管理者はこの構成オプションにより、複数ユーザーによるアクセスを想定して社内のPCをセットアップできる。例えば、IT部門は、顧客や臨時従業員が共有PCを使えるようにするために、このオプションを活用できる。
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「Windows 10」で不具合が起きたときは
Microsoftは共有PCモードの設計に当たって、管理のオーバーヘッドを最小限に抑え、PCが空いている時間をメンテナンスに利用できるようにした。共有PCモードはWindows 10 Pro、Education、Enterpriseで提供している。
Microsoftは共有PCモードをサポートするために、SharedPC構成サービスプロバイダー(CSP)も導入した。このCSPは、共有PCモードの管理に必要なオプションを表示するインタフェースだ。管理者が共有デスクトップを管理するには、CSPをサポートするモバイルデバイス管理(MDM)ツールを使うか、Windowsイメージングおよび構成デザイナー(WICD)により、SharedPC CSPを使用するプロビジョニングパッケージを作成し、これを適用する。
Windows 10の共有PCモードのユーザー
共有PCモードでは、デスクトップに一度にログオンできるユーザーは1人に限られる。共有PCがActive Directory(AD)またはAzure ADドメインに参加している場合、そのドメイン内の全てのユーザーは標準ユーザーとしてログオンできる。Azure AD Premiumアカウントを使用している組織は、ユーザーが管理者権限でログオンできるように構成することもできる。
Windowsはデフォルトでは、ドメインに参加したアカウントをキャッシュし、ディスク容量が少なくなると、アクセス順が最も古いアカウントから削除する。ADユーザーがデスクトップからログオフすると、IT部門が設定したWindows 10共有PCモードの構成に基づいて、Windowsはそのアカウントを自動的に削除する。管理者は、この削除を実行するタイミングを指定するしきい値を構成することや、ドメインに参加したアカウントをユーザーのログオフ直後に削除するよう共有PCモードを構成することができる。
共有PCモードでは、IT部門はデスクトップを、匿名ゲストがユーザー資格情報の入力やユーザー認証を省略してアクセスできるようにセットアップすることもできる。この場合、Windowsは、ゲストユーザーのログオン時に一時的なローカルアカウントを作成し、ログオフ直後にそのアカウントを削除する。
ただし、Microsoftはセキュリティや信頼性の観点から、共有デスクトップでローカル管理者アカウントを構成することを勧めていない。ローカル管理者アカウントを維持する必要がある場合、IT部門は、Windows 10共有PCモードをセットアップする前に、このアカウントを作成しなければならない。Windowsは、この機能が有効になる前に存在していたユーザーアカウントについては、自動的に保持するようになっている。
共有PCの豊富な構成オプション
Microsoftは、Windows 10デバイスのさまざまな機能を管理するための幅広いCSPを提供している。各CSPは、デバイス構成の読み取りや変更を容易にするインタフェースとして機能する。CSPの設定は、対象デバイスのレジストリキーやファイルに直接マップされるからだ。
SharedPC CSPにより、管理者は各種のツールでWindows 10共有PCモードを構成できる。他のCSPと同様に、SharedPC CSPは、Open Mobile Alliance Device Management(OMA DM)標準に準拠している。OMA DM標準は、モバイルデバイスを管理するためのプロトコルなどのメカニズムを規定するものだ。デスクトップを含む全てのWindows 10デバイスは現在、MDM管理機能に対応していることから、MDMツールでCSPを使って、管理対象デスクトップで共有PCモードをセットアップすることもできる。
SharedPC CSPで利用できるデバイス設定は、以下の3つのカテゴリーに分かれている。
有効化
このカテゴリーの設定は「EnableSharedPCMode」しかない。この設定は、Windows 10共有PCモードを有効または無効にする。他の設定を適用するには、この設定のオプションを「True」に設定する必要がある。
アカウント管理
このカテゴリーには、アカウントの削除とキャッシングのポリシーの構成、アカウントの自動管理の有効化、共有デスクトップへのログオン時に許可されるアカウントタイプの構成に必要な設定などが含まれる。例えば、IT部門は、サインイン方法を制御する「AccountModel」設定で、「Only guest」[任意のユーザーがローカル標準(管理者以外)アカウントにサインインできる]、「Domain-joined only」(ユーザーはActive DirectoryまたはAzure ADアカウントにサインインできる)、「Domain-joined and guest」(ユーザーはActive Directory、Azure AD、ローカル標準アカウントのいずれかにサインインできる)のいずれかを指定できる。また、管理者は「EnableAccountManager」設定で、アカウントの自動管理を有効にできる。
カスタマイズ
このカテゴリーには、電源管理、メンテナンスの開始時刻、PCのスリープ状態解除時のサインイン、タイムアウト、教育機関での使用などのポリシーに固有の設定が含まれる。例えば、「SleepTimeout」設定では、デスクトップがアイドル状態になって何秒経過したらスリープ状態に切り替えるかを指定する。「MaintenanceStartTime」設定では、毎日のシステムメンテナンスの開始時刻を指定する。
共有PCモードの管理
意外なことではないが、Microsoftはドキュメントで、「Microsoft Intune」(以下、Intune)を使った共有PCモードの管理について重点的に解説している。Intuneは、IT部門があらゆるWindows 10デスクトップおよびモバイルデバイスの管理に利用できるクラウドベースの管理基盤だ。前述したSharedPC CSPで利用できる共有PCモードの設定オプションは、OMA-URI(Uniform Resource Identifier)設定としてIntuneのポリシーに追加される。これによってIntuneで共有PCモードの設定をカスタマイズできるようになる。
共有PCモードを管理するには、WICDでプロビジョニングパッケージを作成し、これを適用するという方法もある。WICDツールは、Windowsアセスメント&デプロイメントキット(ADK)に含まれており、IT部門はこのツールを使って幅広い管理タスクを実行できる。例えば、サードパーティードライバの追加、Windows 10イメージの構成ポリシーの表示、プロビジョニング応答ファイルの作成、プロビジョニングパッケージの構築などが可能だ。プロビジョニングパッケージは、カスタマイズを加えたWindows 10イメージを含むファイルを指す。MicrosoftはSharedPC CSPをWICDに含めているため、構成プロセスの一環としてWindows 10共有PCモードを構成することが可能だ。
管理者が共有PC設定をデスクトップに適用すると、Windowsは電源管理、パーソナライズ、ログオン、ユーザープロファイル、Windowsコンポーネントなどに関連する多数のローカルグループポリシーを構成する。これらのポリシーの一部は、共有PC設定で直接構成されるが、それら以外は共有PCモードを最適化するように自動的に構成される。
Windows 10共有PCモードはまだ比較的新しい機能であり、利用実績が少ない。ドキュメントも限られており、ユーザーコミュニティーでもあまり注目されていない。いきなり本格導入を目指すのではなく、まず小規模な環境で試してみよう。
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